前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第201回国会 衆議院予算委員会2020/02/17

○棚橋委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申出があります。元君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

 

○前原委員 会派を代表して、最後の質問をさせていただきます。質問通告していないことなんですけれども、安倍総理、ずっと私この議論を聞いていまして、この予算委員会、ずっと聞いていまして、今内閣支持率が各種世論調査で落ち始めておりますが、その大きな理由というのは、やはりこの桜を見る会の説明に納得されていない国民の皆様方が多い。
大体七割以上の方が納得されていないということなんですが、総理が何か、国民あるいは我々を納得させる、そして、そのわだかまりを氷解させる、そういう努力を何かされたらどうですか。何かされたらどうですか。されないから、こういう議論を、新型コロナウイルスの問題もあるにもかかわらず、内外いろいろな問題があるにもかかわらず、ここはやはり一国の総理として、この問題を、終止符を打つということで、何らかの、国民あるいはこの国会内でのわだかまりを、みんなが、ああ、そうだったのかというふうに氷解するようなものを、御自身で努力して、何か工夫されませんか。

 

○安倍内閣総理大臣 今までも努力をしてまいりましたし、これからも御質問があれば誠意を持ってお答えをさせていただきたい、このように思います。

 

○前原委員 残念ですね。国民の七割以上が信頼していない。それについて、しっかりと、やはりみずからが氷解させることをできるのは、私は安倍総理しかおられないと思います。残念です。さて、まず私は郵政三事業の話をさせていただきたいと思います。二〇〇五年の八月八日に、小泉純一郎元総理が衆議院を解散されました。その解散をされた理由は何だったかというと、郵政民営化について参議院で否決をされたということで解散をされたわけであります。
きょう、私、この質問をするに当たりまして、あの小泉元総理の記者会見、鬼気迫る記者会見、もう一度見させていただいて、今どうだったのか。
官でできるものは官にやった方がいいということについては、私は一定の理解をしていましたし、そして、この十五年間、この郵政民営化というもの、三事業というものが、では、当初目指していた形になっているのかどうなのか。そういう検証をさせていただきたいと思います。
増田新社長、郵政、来られているというふうに思いますけれども、まず、時間がおくれてお待たせしたことをおわびを申し上げたいと思います。まず、皆様方にお配りしている資料の一枚目をごらんいただきたいと思います。
今どうなっているかということでありますが、二〇一二年のいわゆる法改正によりまして、この日本郵政という持ち株会社のもとに三つの会社というものが存在をしております。日本郵便という
一番左のものは、これは日本郵政が一〇〇%株式を保有するということ。そして、ゆうちょ銀行、かんぽ生命というものにつきましては、これは将来的には全部株をいわゆる上場するということになっておりますが、今は日本郵政が、ゆうちょ銀行については八九%、かんぽ生命については六四・五%持っている、こういうことであります。
さて、今、かんぽ生命の話で、いろいろな不正取引、不正な販売があったということで問題になって、業務停止を金融庁からなされているということでありますが、きょう、私は、かんぽ生命の問題ではなくて、ゆうちょの抱える問題について少し、まず、前半は増田社長と議論をし、そして、後半は総理と議論をさせていただきたいというふうに思っております。次に、二枚目の資料をごらんいただきたいと思います。
この赤い折れ線グラフ、これは全て株価の推移でありますけれども、赤い折れ線グラフは日経平均であります。そして、緑がゆうちょ銀行、そして、青がかんぽ生命ということでございまして、きょう取り上げるゆうちょ銀行というのは、ずっと低迷をしているわけであります。
まず、日本郵政の増田社長に質問したいと思います。日本郵政がゆうちょ銀行の株式を約三十三億三千七百三万株保有されていると思いますが、有価証券報告書によりますと、簿価が約五兆七千八百億円と記載されています。ゆうちょ銀行一株当たりの簿価は五兆七千八百億円を三十三億三千七百三万株で割った数字、千七百三十二円と考えていいかどうか、お答えください。

 

○増田参考人 日本郵政の増田でございます。お答え申し上げます。
有価証券報告書におきまして、それぞれの会社の数値は今委員が御指摘のとおりでございます。したがいまして、一株当たり幾らかということについて、私どもで公表しているものではございませんけれども、それを計算をいたしますと、今御指摘の価格になるということかと思います。

 

○前原委員 きょうの終わり値は千十一円でありまして、簿価の五八・四%なんですね。日本郵政の四半期報告書には、取得原価の水準にまで回復する可能性が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要と書かれているが、まだ減損損失は計上しないんですか。

 

○増田参考人 お答え申し上げます。当社も減損のルールというものを持っておりますけれども、これは当然、一般の企業がお持ちになっているものと同じようなルールを持っているところでございます。そのルールの概要を申し上げますと、一般的なルールと同じでございますが、当社が保有している株式について、時価が著しく下落、それから回復可能性がないという場合に減損処理を行うということとしているわけでございますが、私どもはまだそういう判断をしていないということでございます。

 

○前原委員 今見ていただきましたように、ずっと下がり続けているわけですね。それで、回復しないという判断が、なぜ行われているかということは不思議であります。
是非は後で問いたいと思いますけれども、日本公認会計士協会が定めた金融商品会計に関する実務指針によれば、株価が取得価格に比べて五〇%以上下落した場合には、合理的な反証がない限り、時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなければならないとしている。この会計処理の原則については、認識をし、従いますか。

 

○増田参考人 お答え申し上げます。私もそういったルールが存在するということは十分承知をいたしておりますし、当社は上場企業として社会的な責任もございますので、そうしたルールに従ってこれからも経営をしていく、こういうことでございます。

 

○前原委員 先ほどお認めになりましたように、一株当たりの簿価は千七百三十二円なので、その半分、八百六十六円を下回れば減損処理を行わなければいけないということになります。きょうの終わり値は千十一円ということで、先ほど申し上げたように、五八・四%までおりているということで、かなりだらだら下がり始めている。どれだけ減損処理をするかというと、五兆七千八百億円の半分ですから、二兆八千九百億円以上、つまりは三兆円近い減損処理をしなきゃいけなくなるというような状況になってきているということであります。ここからは、私は、新たに社長になられた増田さんに、ぜひエールを送りたいと思っているんです。
一つは、私、国土交通大臣をさせていただいたときに、日本航空というものを再生をやらせていただきまして、これについては、当初は、会社側からの説明というものについて、うのみにしませんでした。みずからタスクフォースというものをつくらせていただいて、そして、デューデリジェンス、資産査定というものを行って、本当にどうなっているんだろうか、自分自身で信頼できるかどうかということを、ちゃんとチェックするということをやらせてもらいました。
ぜひ、私は、ここからの御答弁というのは、恐らく、日本郵政の事務方の方々は、今までの延長線上での答弁をつくっていると思います、答弁ラインは。でも、それをやられると、恐らく、増田社長は、その答弁にまた引っ張られて、新たな社長になられたということに対してのメリットを生かすことができないことになると思いますので、ぜひ私は、そこは、少しおどすようですけれども、腹をくくって御答弁をいただきたい、このように思います。
私は、ゆうちょ銀行というものはなぜ株価が上がらないのか、ハンディを背負っているからだと思います。幾つかのハンディを申し上げます。一つは、異次元の金融緩和、低金利ですね。でも、これは、金融機関、全部一緒であります。二つ目。二つ目は、郵政民営化法により、日本郵政がゆうちょ銀行株の二分の一以上を処分しない限り、国の関与が強いからという理由で、他の
金融機関とは対等に競争できない規制を受けているんですよ。例えば、資金の貸付けができないなどの、業務が制約されている。また、預け入れ限度額が設けられている。これは去年の四月に倍になりましたけれども、それでも二千六百万円ですね。それから、子会社を保有したり、他の企業との合併や会社の分割、事業の譲渡、譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を得られなければならないということで、対等な競争ができないんですよ。
特に、貸付けができないというのが大きなポイントでして、金融機関で最大の総資産を持つのは三菱UFJフィナンシャル・グループです、三百十一兆円。それに次ぐのが、実はゆうちょ銀行なんですね、二百九兆円。三菱UFJフィナンシャル・グループは、総資産の三〇から四〇%を貸付けに回して利ざやを稼いでいます。じゃ、ゆうちょ銀行というのは、ほとんどない、二・五%ぐらい。全然対等な競争ができないということなんですね。
そして、三つ目。高過ぎる株式の配当性向。これを伺います。御存じであればお答えください、御存じでなければ私が答えますので。ゆうちょ銀行の配当性向は、二〇一八年度の実績、二〇一九年度の予想、幾らですか。

 

○増田参考人 お答え申し上げます。
配当性向は、我が社は大変ほかの金融機関よりも高く、七〇%近くございます。これは、実は、当初、投資家の皆さん方の中でも、個人の皆さん方が大変多く当社の株式を引き受けていただいたということもございまして、そうした皆さん方、当社の株式を保有して、長く保有していただけるという個人の株主さんが多いということもございまして、当社の配当政策としてこうした高い配当性向をこれまでも維持をしてきた、このように聞いているところでございまして、これはこれで、私も、一つの当社としての経営方針としてしっかりしたものだったと思っております。

 

○前原委員 今お答えいただきましたように、二〇一八年度の実績が七〇・四%、そして二〇一九年度の予想が六九・四%、おっしゃったように約七割なんですね。じゃ、メガバンク三行はどれぐらいかというと、三割程度です。地銀で無配のものを除くと、地銀の配当性向は二五%ぐらいです、平均して。ということは、利益の七割を配当に回すということは、三割しか投資できないんですよ。ほかのメガバンクは七割を投資しているということでありまして、これから見ても、じゃ、将来的に、将来に備えて投資ができているのかどうなのか。個人の株主ということをおっしゃいましたけれども、ここで差がついていっているということであります。
本来ならば利潤に合わせて配当性向を決めるというのに、一株当たり五十円ということを、上半期二十五円、下半期二十五円というのを固定しているから、結局、純利益は二千六百六十一億円ですよ。前年度比マイナス二四・五%。つまりは、前年度よりも四分の一も純利益が減っているにもかかわらず、配当性向は同じにしちゃっているわけです。つまりは、払う配当金を固定しちゃっているからですよね。
先ほど、一ページの図をもう一遍ごらんいただきたいんですけれども、配当で個人とおっしゃいますけれども、日本郵政が八九%持っているんです、九〇%持っているんですよ。つまりは、日本郵政を支えるためにこの配当性向が高いのではないか。そして、日本郵政は、約六割を政府に渡しているんです。つまりは、個人ということをおっしゃったけれども、実態は、日本郵政、そして政府のいい財布に使われてしまっている、こういうことであります。
さて、増田社長、どうぞお答えいただきたいんですが、二〇二〇年度までは仕方ないですよね、もうこれは五十円払うということが決まっちゃっていますから。二〇二一年度以降のいわゆる業務計画において、やはり、先ほど申し上げたように、利潤に合わせてそして配当を決める、そして前向きな投資をもっとするというように変えるべきじゃないですか。

 

○増田参考人 お答え申し上げます。二〇二一年からどういう経営をするかというのは、これから、我が社は三カ年ごとの中期経営計画というものを決めまして、その中でこれから決めていくということでございますので、まだ、現在の中期経営計画があと一年残っております。そして、今、委員冒頭で御指摘いただいたような、かんぽのいわゆる不正事案も抱えておりまして、来年の実績が少しやはり見通ししづらい状況があります。
そうした中でこれから当社が成長をどういうふうに遂げていくかということをつくっていくものですから、まだ今の段階で申し上げる段階にはございませんけれども、ただ一方で、実はこれだけ申し上げておきたいのは、投資家の皆さん方のこれまでの当社に対して持っておりました期待というものもございますので、これは配当に対しての期待というのは多うございます。これは私も直接、投資家の皆さん方、個人の方からも聞いておりますので、そうしたことも十分に考えて次期中期経営計画を決めていかなければいけない、このように思っております。

 

○前原委員 先ほど申し上げたように、八九%は日本郵政ですからね。ですから、一割しかないわけですよ、そこは。ということを考えると、この配当性向、高い配当性向を見直すということは、私は一つの今後の、やはり逆転していくために、攻めの経営に行くために大きなポイントだと思います。これは、ただ、社長だけでは決められませんので、後で、これは政府が株主ですから、政府に伺いたいと思います。
もう一つの大きな制約というのは、巨額の委託手数料なんですね。この低金利、融資ができないなどの制約、高い配当性向のほかに、ゆうちょ銀行には、日本郵便への巨額の委託手数料というハンディがあります。年間手数料は約六千億円。まあ、昨年四月から費用の一部を独立行政法人を通しての交付金という形にはなりましたが、年間約六千億円が日本郵便に渡るという構図は、変わりはありません。
表三をごらんいただきたいと思います。三枚目の資料をごらんいただけますか。
この上を見ていただきますと、一番右が最近でありますけれども、日本郵便の金融窓口事業においてどこが一番貢献しているかというと、一番大きく貢献しているのはこの銀行手数料、つまりゆうちょの手数料六千億なんですね。半分近くをゆうちょが、言ってみれば支えているということです。ちなみに、かんぽの三千五百億円余りと足すと、一兆円近くをゆうちょとかんぽで支えている、こういうことなんですね。
特定郵便局は約二万四千カ所あります。そして、一般企業の売上げに相当するゆうちょ銀行の昨年度の経常利益、収益は、一兆八千四百五十三億円です。これも前年度から一〇%ぐらい減っていますね。そして、つまりは、三分の一ぐらいをこの郵便の委託料に払わなきゃいけない構造になっているわけですね。
しかも、これは日本郵政も認めておられますけれども、二〇一八年から四年間、外為為替益が約二千五百億円生じています。ということは、二〇二二年度から売上げが剥落するんですね、この分を。うなずいておられますけれども、マーケットでは外債の壁と言われています。これについての是非は、時間がないので問いません。
現在、この委託手数料、さっきの配当と同じで、ゆうちょ銀行の経営状況に関係なく、直営店二百三十三カ所で実際にかかったコストをもとに機械的に算出されているということでありますが、経営状況と日本郵便の利用価値、ゆうちょからして、日本郵便の利用価値という観点からこの委託手数料というものを算出するということに、二〇二一年度以降変えるべきじゃないですか、機械的にじゃなくて。どう思われますか。

 

○増田参考人 お答え申し上げます。ゆうちょ銀行の委託手数料でございますけれども、今御指摘のとおり六千億、これは郵便の全国のネットワークを維持するというために拠出をされているものと理解をしておりまして、実は、当グループ全体の中では、全国にございます郵便のネットワークというのは大変重要なものでございまして、制度の根幹でございます。
したがいまして、この点については、随分これまでも、立法府の方でもいろいろ御議論があったと承知をいたしておりますけれども、私としては、この全国のネットワークをきちんと維持するということは前提にやはりこの問題は考えていかなければいけないということからいたしますと、極力、経費の節減はさまざまな努力でしていくにしても、しかるべく、必要な手数料はゆうちょ銀行に御負担をいただくということが必要であると。また、これは外債の話もございましたけれども、次の中期経営計画の中でどういう水準が必要なのかということは十分考えながら、今後の経営に当たっていきたいと考えております。

 

○前原委員 総理に伺いたいと思います。今までのやりとりを聞いていただいたと思うんですが、増田社長が例えばどういう答弁をされても、先ほど図で、チャートで見ていただいたように、政府のもとに日本郵政があって、日本郵政のもとにいわゆる三事業、三社というものがございます。したがって、最終的に政府がどう考えるのかということが大事であります。
メガバンクや地銀などは今すごい低金利ですね、異次元の金融緩和で。それから、インターネットバンキングなんかがあるわけです。こういうことで、今、メガや地銀はどういうことをやっているかというと、これは総理も御承知のとおり、店舗数を減らし、ATMの数を減らし、人員を減らして、一生懸命、必死に生き残りを図ろうとしているわけですね。他方で、ゆうちょ銀行は、貸出しがまずできない、そういうハンディがある。そして、経営状況に関係なく高い配当性向と委託手数料を余儀なくされている。これで、ほかの金融機関と公平な競争が可能だと思われますか。

 

○安倍内閣総理大臣 郵政民営化のそもそもの出発点について最初御紹介をいただいたところでございますが、この郵政民営化については、民間に委ねることが可能なものはできる限りこれに委ねることが、より自由で活力ある経済社会の実現に資するとの考え方のもとに行われてきたところでございます。と同時に、今委員が言われたように、ずっと今まで郵政事業が担ってきたユニバーサルサービス等、公的な責任について、それも担っていただきながらやっていく上にはどうしたらいいかということで設計をしたというのがそもそもの出発点であり、その中で、この郵政事業においてもさまざまな、いわば責任を負いながら事業を展開をしているということが、他のメガバンク等々とは……
(前原委員「質問にお答えください」と呼ぶ)
済みません。比べて違うんだろうと思います。そこで、郵政民営化のプロセスについては、郵政民営化委員会のもとで総合的な検証が行われておりまして、人口減少や低金利、確かに委員が言われたような環境の長期化を踏まえて、新たな成長分野を構築するとともに、業務の適正化を行うことが求められているわけでありますが、まさに新たな成長分野を構築していくことが求められているんだろうな、このように思うところでございます。

 

○前原委員 質問に答えていただいていません。私は、他の金融機関とこれだけハンディがあって公平な競争ができますかと聞いております。

 

○安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、そもそもの出発点については御紹介をさせていただいたわけでございます。その中において、相当大きなスケールの規模はあるわけでございまして、それを生かしながら、しかし同時に、それを生かして新たな分野でやっていただきたい、こう我々は期待をしているところでございます。条件については、全くそれは、いわば他のメガバンクと比べれば背負っているものもあるということでございますが、同時に、当初の出発点、他の銀行等と比べて、いわば彼らが不利にならないようにしなければいけないという議論の中において決まったものでありますが、いずれにせよ、これから検証を進める中において議論が深まっていくことを期待したいと思います。

 

○前原委員 私は、二万四千の特定郵便局を維持するということには賛成ですし、その前提で議論したいと思っているんですが、きょう申し上げたように、表で、図でごらんをいただいたように、このままだったら、ずっと株価は下がり続けますよ、ゆうちょは。
つまりは、新たな成長戦略といったって、これだけ競争条件が違えば無理ですよ。高い配当性向、そして委託料、そして貸付けができない、そして、日本郵政の株が二分の一を下回らない限りは、まさにほかと対等な競争ができない。つまりは、こういう状況にまずやる。
つまり、私は、大事なことは、三つ、きょう申し上げました。一つは、配当性向が高いということについて、しっかりとやはり見直すべきではないか。高い手数料についても、ちゃんと、日本郵便の企業価値と、そしてゆうちょ銀行の経営状況を勘案して、まとめられるようにすべきではないか。そして、何よりも大事なことは、これはかんぽもそうですけれども、やはり、二分の一以上持っていると、郵政民営化法において、国の関与が強いからといって、競争が対等にできないんですよ。すぐにゼロにしろと私は言っているのではない。早く二分の一を下回ることによって、この競争条件というものを対等にして、そのことの方が、私は、むしろ株価が上がり、ゆうちょ銀行の潜在力が伸びるという状況ができると思いますよ。むしろ、その手足を縛っているのが、まさにこの二分の一以上保有している今の状況じゃないですか。そう思われませんか。そして、それが本来の郵政民営化、民でできることについては官でやらずに民でやるという原点に立ち返ったときに、そういうことを行っていくことが大事になると思われませんか。

 

○安倍内閣総理大臣 郵政民営化を進めるに当たってどういう基本姿勢かということは、先ほどお話をしたとおりであります。ユニバーサルサービスをこれは確保する、これは大体同じ考え方。しかし、一方、その中で、さまざまな課題があって、企業価値を上げることがなかなかそう簡単ではないという、企業価値を、今のままで企業価値を上げることを考えなければいけないんですが、それはなかなか難しい、困難もあるのではないかということなんだろう、こう思うわけでございますが、いずれにせよ、ユニバーサルサービスを確保しつつ、利用者利便の向上を図るとともに、企業価値を上げる、また地域の活性化にも取り組むことが重要でありますが、そういう意味においてもこの役割を果たしていただきたい、こう思うところでございますが、現行制度のもとで、日本郵政グループが適切に業務を行うことによって、そうした企業価値を上げる努力を実際に進めていくことを期待しているところでございます。

 

○前原委員 総理、ちょっとこれ、勉強してもらった方がいいと思います。僣越ですけれども、きょう私が申し上げたことは、二万四千のネットワークを守るために、ゆうちょ、かんぽにお金を出させるという発想ではなくて、ゆうちょ、かんぽが自由に業務を行えるような環境をつくることが、むしろ二万四千のネットワークを支えるようなことになるんです。
つまりは、今のままだったら、ほかの金融機関と対等に戦えない状況の中でさまざまなことをやらされているということ、潜在能力が生かされていないわけですよ。ですから、少なくとも、この日本郵政が持つゆうちょ、かんぽの株を五割以下にする。そのことによって、他の金融機関と公正な、公平な競争条件をしていくことが、むしろ、このいわゆる競争条件を高めて、結果として、逆説に聞こえるかもしれませんが、それがネットワークを保てる大きな要因になるということを私は申し上げているんですよ。わかられますか。お答えください。

 

○麻生国務大臣 おっしゃっていることは、二万四千、大事なことです。これはユニバーサルサービスというものを維持するときの必要最低条件みたいな話にもなりましたから、あのときのお話の経緯を御記憶かと思いますけれども。その上で、二万四千はキープを今のところされておるわけです。
それで、今、この株式をいかにして二分の一以下にするか。これ、ちょっと、私どもの判断ではなくて、これは郵便局を経営される郵政会社が経営判断をされるということになるんだと思いますが。それで、競争条件が等しくなるというけれども、そこはちょっと、前原先生、余り融資とかいうような話に、やれるんじゃないかとお思いでしょうけれども、今、融資する能力は郵便局にありませんから。それは、今、銀行だって金貸すところがなくて、みんな探しているところに、郵便局が出てきていきなりそんなにとれるはずもありませんから、そういった意味で、そこは余り期待される部分じゃないんだと思うんです。
もっと別のところでというと、ちょっとこれは経営の話になりますので、ちょっとそちらの話だと思いますので、そこら辺の努力をちょっと今からされていくというので、少々時間をいただかないかぬところだろうなとは思います。

 

○前原委員 麻生財務大臣、本質的な答弁をされたんです。つまり、そんな能力はありませんよと。金を貸し出して、それを運用する能力はありませんよと。そのとおりですよ。でも、それは、その壁を越えてあげない限りは、ずっとその能力はつきませんよ。つまりは、制約されているから、そのことを考えなくていい。考えなくていいから、そういった能力を持たない。当たり前のことじゃないですか。
私は、余り日本郵政をばかにしない方がいいと思いますよ。つまり、先ほどから申し上げているように、決めるのは日本郵政だとおっしゃったんで、じゃ、増田社長、どう思われますか、私が言っていること。
日本郵政が二分の一を下回る株にして、ゆうちょ、かんぽが郵政民営化法に定められている制約、制限というものが外されて、自由な競争条件になる方が、この二つの会社というものが伸びると思われませんか。社長、就任して、そういうふうにした方がいいというふうに思われませんか。専門的なこと、聞かなきゃわからないとおっしゃったんで、ここで言った方が勝ちですよ。こうしたいですと、私はこうしたいですと、こうしたら、ゆうちょやかんぽはもっと能力が伸びますとおっしゃったら、今、麻生大臣、専門家はこちらですからとおっしゃったんで、聞いてくださいますよ。どうですか。

 

○増田参考人 お答えを申し上げます。まず、制度の根幹、枠組みのことについて、私がいろいろ申し上げるのは差し控えたい。といいますのは、今の与えられております民営化法の枠組みの中で、活動については一定の制約が上乗せ規制でございます。これを前提に業務を遂行していかなければなりませんが、今お話ございましたとおり、当社の持っております、ゆうちょ、かんぽの株式、五〇%以下になりますと、認可から届出に変わりますので、私どもとしては、できるだけ早く法律の文言どおり株式を売却して、そして、いろいろな商品を売り出す上でのそういう創意工夫をできるだけ凝らせるようにしていきたいというふうに考えておりますが、その上で、やはり、当社の持っております人的なリソース等も一方で十分踏まえて、これからどういうことを展開していくかということを考えていく必要がございます。
いずれにしても、大変難しい問題ではありますが、それをきちんと運営していくのが、私、経営者に課せられた役割でございますし、具体的な売出しの際には、これまでも国とよく連携をして、御相談をしながら株式を売り出してきたという経緯もございますので、委員の御指摘、十分受けとめまして、これからしっかりとした経営に臨んでいきたいと思っております。

 

○前原委員 増田社長でよかったのかという議論は、失礼ながらあるんですよね。つまりは、金融についてお詳しくはない。知事をやられた、そして総務大臣もされた、そして行政の経験はおありだ、その点では立派な方だというのは誰もがわかっている。
だけれども、私は、今の少しお話を伺ってがっかりしたのは、やはり、この金融というものの能力をどう引き出すのか、そして、むしろそれを、対等な競争の条件につくことによって、その二万四千を守っていくという発想の転換をしない限り、株価はどんどんどんどんどんどん下がって、結果的ににっちもさっちもいかなくなって、先ほど申し上げたように、減損処理をして、多額のいわゆる毀損が出ましたというようなことに、これはもう時間との闘いになっていると思いますよ。その意識をしっかり持って私は経営に当たられることを期待をして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。

一覧へ戻る


前原誠司Facebookページ
前原誠司事務所 twitter
10MTVオピニオンPremium