○岸委員長 次に、前原誠司君。
○前原委員 おはようございます。国民民主党の前原です。
まず、対外有償軍事援助、以下FMSと言わせていただきますけれども、このことにつきまして質問させていただきたいと思います。
まず、お配りをしている表、資料の一枚目をごらんをいただきたいというふうに思います。(資料1)
これはFMSによる装備の取得について、それぞれの推移が書かれているわけでありますけれども、これはかなり昔から始まっているんですね。
一九五六年から、日米相互防衛援助協定、MDA協定に基づいてFMS調達を実施しているということで、アメリカがFMSを取決めをしたのは百六十カ国ぐらいある、こういうことであります。そして、日本でありますけれども、二〇一一年は四百三十一億だったものが、ここの表一に書かせていただいているように急激にふえてきまして、平成三十一年度予算案では七千十三億円に及んでいる、こういうことであります。
後で議論いたしますけれども、メリット、デメリットあるわけでありますが、今後更にふえるのか、あるいは、これが天なのか横ばいなのか減るのか、その見通しを、まず防衛大臣、お答えください。
○岩屋国務大臣 FMSは、もう前原先生に申し上げるまでもなく、経済的な利益を目的とした装備品販売ではなくて、米国が安全保障政策の一環として同盟国に装備品を有償で提供するという仕組みでございますが、ふえてきていることは御指摘のとおりでございます。
特に、F35Aの調達を開始した平成二十四年度以降、FMS調達額が増加傾向にございます。
これは、イージスシステムやF35A戦闘機といった我が国防衛に不可欠な装備品はFMSでしか調達することができないということが理由でございまして、これも今指摘がありましたように、平成三十一年度予算での調達額、計上額は、契約ベースで七千十三億円、前年度対比二千九百十一億円増で、過去最大となっております。
今後の見通しについて、現時点で確定的にお答えすることは困難ですけれども、昨年決定した中期防においても、F35Aなどをこれから買い足していく、調達を引き続き実施していくということにしておりますので、今後も相当の水準で推移していくものというふうに考えておりますが、そういう主要装備の調達が一段落する段階も私はやってくるのではないかというふうに考えているところです。
○前原委員 今、防衛大臣が言及されました新大綱、そして中期防に別表がございますよね。私、きょう質問するに当たって、防衛省の方に、これから五年間の見通しを出してほしいということを申し上げました。でも、答えは出せません、こういうことでありました。
もちろん、確固としたものを出せということではありません。そんな、一億違ったら言っていることと違うじゃないかなんということを言うことではなくて、今後、きょう質問をする趣旨というのは、いかに日本の防衛産業基盤を強化するかということとこのFMSというのはトレードオフになるわけですよ。つまり、一定の防衛費というものは決まっているわけですから、ある程度ふやしたとしても、ほとんど変わらないわけですね。
この間、あるおもしろいグラフを見たんです。平成二年の税収が大体六十兆円ぐらい、これはバブルの一番最後のときなんですね。このときの税収が六十兆円ぐらい。今も大体六十兆円ぐらいじゃないですか。基幹三税は変わりましたよ、法人税、所得税、消費税と、内訳は変わっていますけれども、それでも大体一緒なんです。
それで、歳出について、ほとんどのものが変わっていなくて、二つだけ変わっているんですよ。
全然歳出が違うわけです、平成二年と今は全然違うわけです。でも税収はほぼ一緒。何が変わっているか。社会保障費と国債費が膨大にふえているんですよ。
つまりは、何が言いたいかというと、科学技術費とか、防衛費もほとんど変わっていない。つまりは、この借金漬けの中で、そして科技費とか、それから防衛費も含めて、あるいは公共事業、これは浮き沈みはありますけれども、そういったところのいわゆる一般支出についてはほとんど変わっていなくて、高齢化に基づく社会保障費と、それから、借金が多くなったので金利を抑えたとしても国債費が膨大にふえている、こういう状況なんですね。つまりは、なかなか防衛費は今のを前提としたってふえないだろうということになれば、FMSと国内産業基盤の強化というものはトレードオフの関係になるわけですね。
したがって、もう一度私申し上げますけれども、この防衛大綱も別表が出されている、そして中期防も別表が出されている。特に中期防などには、かなり具体的な、今後五年間で整備する陸海空における装備品、書かれていますよね。ということは、ある程度わかるんじゃないんですか。
つまり、今、先ほど大臣がおっしゃったように、大型の装備が一段落すればということはありますけれども、この中期防の別表には、どういう装備をこれから整備するかということが書かれているわけですから、どのぐらいでこのFMSというものが推移をするかということについて、余り時間を無駄にしたくないので、委員長、これを委員会に提出してもらうように理事会で取り計らっていただけませんか。
まず、その前提として、大臣、これは別表があるわけですから、推定値は出るわけでしょう。出していただけませんか、そういう建設的な議論をする前提として。
○岩屋国務大臣 なかなか、当然、FMSで調達せざるを得ないというものも、もちろんこれから調達するものの中にございますけれども、年度で、年度ごとの予算の策定の際にどういう方針で臨むかということを今確定的に申し上げることはちょっと難しいので、ちょっと勉強させてください。
○前原委員 勉強してください。そして、勉強していただいた上で、委員長、この安保委員会に提出をするようにお取り計らいをいただきたいと思います。
○岸委員長 後日、理事会で協議いたします。
○前原委員 FMSは、先ほど申し上げたように、メリット、デメリットがあるわけです。
このメリットには、一般では調達できない軍事機密性の高い装備などをアメリカから調達できる、そしてアメリカしか製造できない最新鋭の装備というのが調達できる、スケールメリットにより価格低減が期待できる、こういうことですよね。
これは、先ほど大臣もおっしゃったように、経済的な利益を目的とした装備品の販売ではなくとしているんですけれども、フォーリン・ミリタリー・セールスなんですよね。つまりは、セールスなわけですよ。つまりは、割高なものを買わされるのではないかという、そういった懸念というのはずっとあるわけですね。
しかも、このFMSについては、価格は見積りですよね。ですから、後に上昇することがあり得るわけです。納期は予定ですよね。おくれることもあるわけですね。それから、原則前払い。前払いだけれども、納入後に精算しますよということですけれども、未精算金がたくさんありますよね。
私、ある意味で、言葉を選ばないで申し上げると、不平等条約のようなものだと思うんですよ、このFMSというのは。これは、そう思われませんか。これだけ、言ってみれば、相手の言いなりになった買物を、いいものを売ってやるぞ、だから今申し上げたようなことはのめよ、こういう形になっているわけですね。
今回、新大綱、中期防には、調達の合理化を推進する、装備品の取得や履行状況の適時適切な管理に努めるという文言で、FMS取引の改善が盛り込まれているんですよ。このやはり問題意識は、大臣も共有されていると思うんですね。これをどのように具体的にアメリカと交渉して、どういう問題意識を持っておられて、どういうところを、大綱にも中期防にも、改善すると書いてあるわけですよ。では、どう改善されるんですか。具体的に御答弁ください。
○岩屋国務大臣 FMSについて、さまざまな課題があるというふうに我々も考えておりまして、例えば、価格の透明性であるとか、今御指摘があった精算遅延などの問題がありまして、これまでも、事務レベルのみならず大臣レベルの働きかけなども含めて、FMS調達の適正化ということに積極的に取り組んでおりますし、更にこの取組を強化していきたいというふうに思っております。
成果も少しずつ出てきておりまして、精算遅延については、平成二十九年度末の未精算額が前年に比べて百三億円減少いたしました。これは、米国政府に対しまして、優先的に精算処理すべき案件を共有する、それから、早期かつ効率的な精算の促進を我々が強く要請したことで、米国政府が速やかな精算処理に向けて取組を行っていただいた結果、こういう成果が生まれたというふうに考えております。
さらに、平成三十一年度概算要求から予算案の編成過程におきまして、米国政府との間でしっかり交渉、調整して価格の精査などを行った結果、E2Dを除く他の装備品については、概算要求時点から全体として約一千億円、費用を縮減することができました。
また、私も、一月、ワシントンに参りましたときに、シャナハン国防長官代行との間で、このFMSにかかわる諸課題の改善に関して、しっかり協力をしていきたいということを申し上げました。
シャナハン代行は民間会社の出身でもいらっしゃって、非常に問題意識を共有していただいたというふうに思っております。
現在、防衛装備庁長官と、カウンターパートに当たる米国防安全保障協力庁長官との間で協議を行わせているところでございまして、こういった取組を通じて、このFMS調達の改善をしっかり果たしてまいりたいというふうに考えております。
○前原委員 一千億円縮減ができたというふうにおっしゃっていますけれども、当たり前のことなんですよ。つまりは、逆に言うと、今までは高いものを買わされていたということになるわけですね。つまり、縮減されて当たり前。しかも、この未精算額については、今の取決めでは、未精算額と計上するのは納入完了から二年を超えても精算が終了しないと。二年待たされて、それから先が未精算額でということになると、多分、一年とか一年前後になると、もっと金額が多くなるということになりますよね。
今、話合いをされるということは大事だと思います。日米間で、防衛当局、あるいは装備関係の、装備庁を含めて話をされるというのは大事だと思いますけれども、もう少し具体的なFMSに対する改善策というものについて、目に見える形でやはり国会に示していただかないと、国会というのは、予算を審議して、防衛予算、そして少しでも、今は防衛費の中でも、これは一番大臣がおわかりだと思いますけれども、なかなか訓練しようにも油とか弾が十二分にない、こういう状況ですよね。
こういうことを考えると、このFMSの中で、相当程度、防衛費の予算というものを効率化できる。効率化という言い方は、私は、適切ではないかもしれません。つまりは、適性化できると思うんですね。それを、今おっしゃったようなことも含めて、しっかりと、どういう合意を取り付けて。
ですから、ポイントはここにあるんですよ、先ほど申し上げたポイントは。いわゆる、価格は見積り、これを見直してもらう。一点。それから、納期もちゃんと明確に示してもらう。そして、精算については、もちろん機種によって違うかもしれませんが、しっかり明記をする。この三点について、ちゃんと、今のような曖昧なものではなく、納期は明確にする、そして価格もしっかりと出してもらう、話をして、見積りではなくて。そして、今申し上げたように、精算については期日を明確にする。この点をしっかりと交渉するということをおっしゃっていただけませんか。
○岩屋国務大臣 問題意識は共有させていただいております。
ただ、フォーリン・ミリタリー・セールスとはいえ、通常の商取引とは違うというFMSの特性ということもありますけれども、見積価格の問題、納期の問題、精算の問題等について、改善の余地があるし、改善しなければならないという問題意識を防衛省としても強く持っておりますし、そのことを米国側にも伝えて、今協議を行わせておりますので、前原先生おっしゃるとおり、やはり、その結果、こういうことができるようになったということが説明できるような成果をぜひ生み出していきたいと思っております。
今般、三十一年度予算案におけるE2Dなどの一括調達については、一括調達ですから、契約の本数を減少させて、事務作業の軽減につながることが期待されますから、精算なんかも早くなるんじゃないかなと思いますが、調達の仕方も工夫をする、米側の対応についても改善をしっかり求めていくということをしっかりやっていきたいと思っております。
○前原委員 またそれについては成果を報告していただきたいと思います。
次、F35についてでありますけれども、この新大綱、新中期防に合わせて、決定に合わせて、取得数を四十二機から百四十七機に変更するという閣議了解を行っております。そして、この閣議了解においては、二〇一九年以降に取得するF35については完成機輸入をするということになりましたね。
このF35の導入が決定されたのは二〇一一年の十二月なんです。これは、我々民主党政権のときで、私、政調会長だったので、よく覚えているんです。そのときに合わせて、いわゆる武器輸出三原則の見直しも行ったわけです。つまりは、共同開発、共同生産、きょうお話をしている問題意識そのままなんです。
つまりは、共同開発、共同生産は武器輸出三原則の原則から外す、そのことによって、国内しかつくれなかったら、ロットが少なくて、開発費が、要は完成品に乗ってしまいますので、高くて競争力がないから、それで海外から買ってしまうということになるので、少なくとも共同開発、共同生産はやろうと。そして、このF35においても、国内企業育成のために、一部の完成機を除いて、国内企業が製造に参画する仕組みをつくったんですよ。にもかかわらず、今回の閣議決定で、要は、言ってみれば完成品を輸入するということになったわけですね。
つまりは、先ほど大臣は問題意識を共有するとおっしゃっていただいたにもかかわらず、国内産業の基盤を強化するために、国内企業が製造に参画する仕組みをつくったにもかかわらず、輸入機で全て補うということになった場合において、それは安くなったと思いますよ。幾ら安くなったか、また事務方に聞きますけれども。安くなったと思いますけれども、でも、国内産業基盤というものが、それだけまた薄くなるということになりますよね。
まず、事務方で結構ですので、このいわゆる閣議了解、変更することによって幾ら安くなるんですか。
○鈴木(敦)政府参考人 申しわけございません、ただいま、ちょっと、今手元に資料を持ってございませんが、FACOからより安価な完成機の輸入ということに変えることによって数十億の単価……(前原委員「一機当たり」と呼ぶ)一機当たりでございます、安くなっていると。
○前原委員 また正確な数字は教えてください。つまり、一機当たり数十億。大きい金額であることは間違いありません。
しかし、国内企業が参画する道が閉ざされるんですね、これで。私が今申し上げた問題意識、変更してしまったことによって、金額は少なくなった、しかしながら、国内企業の基盤強化というもの、企業が参画して防衛基盤というものが強化されるということについては、このF35については失われてしまった。どう思われますか。
○岩屋国務大臣 正直申し上げて、FACOという仕組みをやめるということは苦渋の決断でありました。
ただ、F35というものを百機を超えて追加調達するというふうになったときに、やはり全体のコストということも考えざるを得ないというふうに考えました。
平成三十四年までは、このFACOを通じた製造機というものも取得する予定でございますので、この間のそのFACOを通じた調達によって、一定程度、将来戦闘機関連の研究開発事業等の実施によって、この技術基盤の維持、育成、高度化というものに資する、そういう知見は一定程度習得できたのではないかというふうに思っておりまして、やはりこういったものを、今後のF35の整備であるとかF2後継機の検討段階では、できるだけ国内産業というものがそこに参画できるような道を探っていくという方向性を今回示したわけですけれども、そういうところに活用していく方途をしっかり考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
○前原委員 苦渋の決断だったということなんですが、やはりこの国内産業基盤、防衛基盤を整えようと思ったら年月がかかりますし、後で申し上げるとおり、今申し上げましょうか、時間も割愛するために。
お配りをしている資料の二つ目をごらんください。(資料2)これは、主要防衛関連企業の売上高に占める防衛省の契約金額の割合ということで、防衛省につくっていただきました。一番大きな防衛関連企業というのは三菱重工ですが、六・〇%なんですね。これは、私がこの世界に入らせていただいたときは一〇%を超えていましたよ。それが今はもう六%台になってきている。一番大きな比率の川崎重工でも一一%、ほかのところなんて、もう四・一とか二・二とか五・一とか一・二とか、こんなものですよね。
つまりは、言葉は悪いですけれども、おつき合いとかボランティアの世界に入ってきて、どうやって、言ってみれば国内防衛産業基盤という、言葉はいいけれども、本気で長期的にその姿を見せてあげて、そして意欲を、ビジネスですから、今、本当、ボランティアというのは、コマツなんかは撤退しますよね、陸上自衛隊の装甲車から。だから、そういうような状況になるわけです。
そして、このF35は、二〇一一年の導入以来、国内産業にかかわってもらうということで、千八百七十億円の設備投資を促すということを支援してきたんじゃないですか、防衛省は。そうでしょう。それを支援してきて、今度はやりませんということになる。
私は、これはまさに大きな矛盾で、トランプさんに言われて、そして、要はアメリカから買えと言われて、はいはい、アメリカから大量に買いますよということの中で、結局、安倍総理は、国内防衛産業基盤の強化というものに逆行するような、まさに国益に反するような私は決定をされていると思いますよ。そう思われませんか。そしてこの千八百七十億、設備投資を三社に対してやってきたということに矛盾することになりませんか。
○岩屋国務大臣 それがゆえに、先ほど苦渋の決断だというふうに申し上げたところでございます。
アメリカから言われてということではなくて、先生御案内のとおり、近代化改修に向かないF15九十九機は新しい機種に代替しなければいけない、やはりここは最新鋭のF35にかえることが適当だという判断は、我が国が主体的に行ったところでございます。
しかし、一機当たり数十億の追加のコストがかかる、完成機に比べると一・五倍近い値段になっていく、それをFACOという形で百五機追加購入するということが、調達するということが適切であるかどうかというところを真剣に考えた結果、苦渋の決断として、FACOというやり方をやめるという判断に至ったわけでありますけれども、ここで培った知見というものは今後の国内産業の発展のために活用していかなきゃいけない、それはそれでしっかりと方策を練っていかなければいけないというふうに思っております。
○前原委員 百五機プラスということのその根拠もわかりませんし、そして、先ほど数十億とおっしゃったことも精査してもらって、数十億も、九十九億から十億までありますから全然違うわけですよ、それによって。ですから、そういう意味においては、そこは精査して、がこの間聞いたのは、これは間違っているかもしれませんが、二十億程度だったんですね、一機当たり。もうちょっと高いですか。それは、では精査していただくとして、それは後で結構ですので出していただいて、やはり国内基盤をどういうふうに強化するかということが大事だと思うんです。
その問題意識は、一番初めにこのお二人に、河野外務大臣と岩屋防衛大臣に私が初めてこの安保委員会で質問、お二人が大臣になられて、そろわれたときに質問させていただいたのは、日米同盟は重要だと。中国の強大化。北朝鮮は核、ミサイルを開発して、後で質問しますように、さまざまな悪さをしている。INF全廃条約、これにロシアは違反をしている。あらゆる周辺環境は非常に悪化していると言っても過言ではない。その中で日米同盟、もちろん自衛隊の力と日米同盟維持強化というのは大事であるけれども、これはトランプのみならず、アメリカ・ファーストの考え方の中で、しかも、先ほどから申し上げているように、FMSも含めて弱いところを突いてくるわけですよ。
つまりは、アメリカの装備を買えというようなこと。つまりは、日米同盟というものは大事だけれども、アメリカに完全に組み込まれてしまって、日本の脆弱性というものがアメリカから見ると明らかなんですよね。
この間、議論させていただきましたけれども、どこがアメリカに首根っこをつかまれているのかということで申し上げると、一つは、核を含めた抑止力ですね。二つ目は、やられたらやり返す能力がない、敵地攻撃能力がない。三つ目は、装備。
これは、アメリカから買っているものでやっている、今までも含めて、主要装備は。それから、情報ですよね。
だから、この大きな四つがアメリカに首根っこをつかまれていたら、それは、アメリカから言われることについて、周辺環境がより悪くなったら、わかりましたと言わざるを得ないという面があるというのは一定認めますよ。だからこそ、時間をかけてでも、日本の自律性、独自性というものをどう高めるかということをあわせてやっていかなければ、いつまでたってもアメリカがアジアの中で本当に日本の庇護者となってくれるかどうかもわからない。となると、みずからの足場、防衛基盤というものを強化するという前提に立って、だからこそ、武器輸出三原則の見直し、共同開発、共同生産、F35の導入のときに国内産業の関与ということをやろうとしたわけで、それをまた変えちゃったわけですよ、ちゃぶ台返しをしちゃったわけです。これは大変な問題だということは、私は改めて申し上げておきたいと思います。
では、先ほど少しお話をされた、F2の後継機。これについては、「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手」と新中期防に書かれていますよね。これは、要は、この国際協力を視野にということは、いわゆる共同開発、共同生産というものをベースに考えるということでいいんですか。まさか、いわゆる既存機の改修とかではなくて、こういう形で新たなものを日本が主体となってつくるということでよろしいんですか。
○岩屋国務大臣 今般、F2の後継機については、今御指摘があったように、「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」という方向性を示したところですけれども、この考え方は、将来戦闘機については、まず、将来の航空優勢に必要な能力、次世代技術も適用できる拡張性、改修の自由度、国内企業の関与、これが大事だと思っておりますけれども、そして開発、取得のコストという五つの視点でこれから検討を深めていかなければいけないと思っておりまして、開発に当たって我が国が主導的な役割を果たすことが必要だというふうに考えております。
とはいえ、我が国だけでというのは、なかなかこの時代、やはり困難なのかなと。F35とて九カ国の共同開発でございましたが、我が国があくまでも主導する形で、国際共同開発、研究開発ということを視野に、これからしっかり検討していきたいと考えています。
○前原委員 もうおととしになりますかね、アメリカに行って、いわゆるアメリカの防衛産業というところも回らせていただきました。そのときに、このF35というのは第五世代ですよね。超音速、ステルス、こういった機能を持つということで。
そして、ほかのアメリカの防衛産業は、次をもう研究をしている。これはもう大臣おわかりだと思いますけれども、AIを駆使したアンマンドですよね、無人。これがもう基本ですね。こういうものをやろうとしている。
これを、時代の趨勢に合わせて防衛産業基盤を強化するということになれば、日本がそして中心とおっしゃいましたよね。そういうことも含めて、人材、技術、そういうものを本当に今から準備をして、そしてかかわっていかない限り、それこそ先ほど申し上げたように、日本の防衛基盤、防衛産業をしっかりと支えながらですよ。だから、本当に、F35のことについては、私は残念でならないですよ。
こういうことも含めて、人材育成もしっかり、技術の開発もしっかりやりながら、そしてF2の後継機についてはまさに日本が主体となるという意思を持たないと、またこれはFMSになっちゃいますよ。そうはさせないという意思を、ここではっきり防衛大臣として示されるべきじゃないですか。
○岩屋国務大臣 方向性については、先ほど申し上げたとおりでございます。FACOをやめるに至ったのは本当に苦渋の決断でしたけれども、そのF35も、我が国が開発に参画した戦闘機ではないわけですね。したがって、私は、このF2の後継機については、さまざま各界からの御提言もいただいておりますけれども、やはり我が国が主導の開発というものを、国際協力も視野に入れながらスタートさせていかなきゃいけないというふうに考えております。
先ほど前原先生から、国内の主要防衛関連企業、非常に防衛需要が少ないではないかという御指摘がありました。それについても問題意識を持っておりますが、そもそも、装備移転が全くできないという状態が長く長く続いてきたわけで、民主党政権のときにまず取りかかっていただいて、そして自民党政権で三原則の見直しもしっかりとさせていただいたわけでありますけれども、やはり、今後、あくまでも我が国の安全保障に資するということが前提ですけれども、国際共同開発、生産というものが視野に入ってこないと、自衛隊だけが顧客であるという状況の中で国内防衛産業を発展させるというのはなかなかに、もちろん最大限の努力はしますが、そう容易なことではないというふうに思っておりまして、今後、もちろん国会、国民の皆さんの御理解もいただきながら、国際共同開発、また、それによるしっかりとした原則のもとの装備移転などもできるようになっていくという状況をつくった中で、国内産業の基盤を更にしっかりさせていくことができるのではないかなと考えております。
○前原委員 これは大臣、生意気な言い方をしますけれども、末は博士か大臣かと。大臣というのはすごく大事なポストですよね、また尊敬もされてきた。大臣になられたら、やはり何かに対して命をかけて、政治生命をかけて、あるいは本当に命もかけてまで何かやり切るという私は気構えが必要だと思います。
その中において、日米同盟は大事、しかし、アメリカもどうなるかわからない、ポスト・トランプ、どうなるかわからないということの中で、どうやって自分で自分の国を守れるような状況をつくるかということの戦略の大変重要な岐路にあるんだ。逆に言うと、セットバックしちゃったわけですよ、このF35では。だから、そういうやはり問題意識をしっかり持っていただいて、自分が責任を持って、F2後継機については日本が主体的にかかわるような状況で、そして防衛産業もちゃんと育てるんだという意識を持ってやっていただきたい。それは要望しておきます。
さて、今度は北朝鮮の話に移りたいと思います。今度、外務大臣にお答えをいただきたいと思いますが、先ほど同僚議員が国連の北朝鮮制裁委員会の報告書についても質問されておりましたけれども、改めてお答えをいただきたいんですけれども、これについては、国連の対北政策の履行状況をまとめたもので、安保理メンバー国は既に了承しているという報道があります。(資料3)非常任理事国として、この中身については了承されているということでよろしいですか。
○河野国務大臣 今、日本は安保理メンバーでございません。
○前原委員 失礼しました。非常任理事国じゃなかったでしたっけ。失礼しました。この中身は御存じ。
○河野国務大臣 この報告書はまだ公表されておりませんので、これについてコメントすることは、申しわけありません、差し控えたいと思います。
○前原委員 これを読むと、中身については差し控えるということでありますが、瀬取り、つまりは、北朝鮮の石炭についての瀬取りが数多く行われているということと、それから、サイバー攻撃ですね。日本のビットコインなどについてもこの北朝鮮がかかわっていて、そして五回の攻撃を成功させて、推計で五億七千百万ドルの被害が出たということに書かれているわけであります。
こういう、いわゆる核、ミサイルだけではなくて、サイバー、そして国連制裁違反のいわゆる瀬取り、こういうものが行われているということが公表される、これはもう今月内に公表されますから、今は知らないということで答弁はされないのかもしれませんが、今月公表されることですから、これについてはしっかりと認識をされた上で、また話をさせていただきたいというふうに思います。
その上で、まず、きょうは内閣府の浮島大臣に来ていただいていますが、オリンピックの、北朝鮮に東京五輪のIDを付与せず、こういう報道がございます。
これは事前に我が事務所でヒアリングをさせていただきまして、これについては実際問題、今申し上げたように、北朝鮮というのは、核、ミサイルのみならず、サイバー攻撃、こういったこともやって、そして、過去には拉致の問題も起こしている。そして、制裁逃れもやっている。極めて日本にとってはけしからぬ国である、世界にとってもけしからぬ国であるということは間違いがないというふうに思いますね。
他方で、このオリンピックというものについては、オリンピック憲章がございますね、五輪憲章。
こういうことが書いてあります。「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」と書かれている。この北朝鮮の現実の問題と、そして、このオリンピック憲章というものを考えたときに、IDを付与しなかったことということについての判断というものは妥当だと考えられるかどうか、その点についてお答えください。
○浮島副大臣 今お尋ねありましたIDの付与の件に関してでございますけれども、組織委員会が各国そして地域のオリンピック委員会、NOCでございますけれども、これに対して、東京に関する基礎的な情報を提供するために専用のウエブサイトで行わせていただいているものでございます。基礎的な情報というのは、ホテルなり、あと会場へのアクセス等の情報でございますけれども、この北朝鮮のNOCへのIDの付与につきましても、既に組織委員会において対応されて今おります。
それと、今委員の方から御指摘ありましたオリンピックの憲章においてでございますけれども、このオリンピズムの根本原則の一つといたしまして、国等による差別の禁止、これを定めておりまして、組織委員会においては同憲章を踏まえまして、適切な対応をしっかりと検討していくということに認識を持っております。
○前原委員 オリンピック、来年ですね。そして、次に少し時間があれば外務大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、この日朝の話というものもこれから行っていかなくてはいけないという、極めて政治的にも、そしてオリンピック憲章というものに照らし合わせて、そして、当然ながら北朝鮮は逆にそういったものを利用してくるでしょう。
また、この間の平昌の冬季五輪を見ても、南北共同チームなどということも考えられる。それで、今、日韓関係というのは極めて厳冬期に入っておりますね。これは、オリンピックではあります、政治には関係ないということでありますが、かなりハンドリングの難しい話に私はなってくるのではないかというふうに思っております。そして、IOCに、言ってみれば、批判をされないような状況もつくらなくてはいけないということだと思います。
その点を、つまり北朝鮮のさまざまな過去の行状、あしき行状、そして日韓関係が今厳冬期に入っている、そして南北というものが協力をしてくるということ、そういったさまざまな政治的な背景も含めてこの点については考えなくてはいけないというふうに思っておりますけれども、今後、このマネジメントをしていく上で、今回の付与せずでありますけれども、今度オリンピックになったら、たくさんの人が、選手のみならず、いろいろな人たちが来る。入管を我々信じたいと思いますけれども、さまざまな意図を持った人たちが来るかもしれないという状況の中で、批判を浴びないためにどのような準備をされているのか、その点についてお答えください。
○浮島副大臣 東京大会の、北朝鮮を含めた各国そして参加国につきましてはIOCが決定し、各競技の国際団体、IFでございますけれども、合意に基づく出場資格ということを得ることになっております。
一方で、我が国は、今御指摘ありましたけれども、独自の対北朝鮮措置といたしまして、北朝鮮の籍者の我が国への入国は原則として認めないこととしていることの関係でございまして、我が国への入国が意向が示された場合には、政府として、例外的に入国を認めるべき特別な事情があるか否か、これをしっかり個別に検討することになるものと承知をいたしているところでございます。
○前原委員 しっかりとそこは、先ほど申し上げたように、いろいろなところで、言ってみれば、批判の口実を与えないように取り組むということと同時に、オリンピックの成功ということも大事なことでありますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。先般、米朝首脳会談がありまして、私もトランプ大統領についてはいろいろ意見はあります。ありますが、下手な合意はしなくてよかったという思いでありまして、合意文書に署名しなかったことは大変私はよかったことだというふうに思いますが、ただ、他方で、ミサイル発射基地というものを稼働させようとしているとか、あるいは恐らく、アメリカが指摘したように、寧辺以外のところでさまざまな核関連施設を稼働しているという可能性もあるということですね。
そして、この米朝会談に対して、拉致問題を取り上げたことに対して、日本に対して厳しい、言ってみれば対外的なコメントを出している、発表しているということであります。
北朝鮮という国は、対外的に口汚くののしるということはいっぱいありますので、まだ抑えているトーンかなぐらいに私は思っておりますけれども、ただ、拉致問題というのは、安倍政権が始まったときから、あるいは第一次安倍政権が始まったときからずっと言われ続けていて、何ら進展をしていないということであります。
これについては、やはり私は直接話をするということが最も大事だというふうに思いますけれども、日朝の直接協議、交渉について、外務大臣としての展望、考え方を聞かせてもらいたいと思います。
○河野国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、このたびの米朝の会談の中で、トランプ大統領から、最初の短いテタテの中で、そして少人数の夕食会の中で、拉致問題に関する提起がございました。
また、最近、北朝鮮の外務大臣がさまざまな国との外相会談を行うと、多くの国の外務大臣がこの拉致問題を北朝鮮に対して提起をしてくださる、また、その結果をさまざまな形で情報をインプットしてくれる、そういう状況にある中で、今、日本としては、北京の大使館ルートを始め、幾つかのルートで北朝鮮とやりとりをしているところでございます。
総理も、自分が次は向き合ってという発言をされておりますので、いずれかのタイミングでそうしたことができれば、当然に拉致問題も議題になるわけでございます。
さまざま、やりとりを今しているところというふうに申し上げたいと思います。
○前原委員 これで終わりますけれども、六カ国協議がまだ生きているときに、さまざま、私もその立場でいさせていただいたこともありますけれども、つまりは、そういう多国間協議の場で拉致の問題を取り上げるなということを、北朝鮮以外の当事者、六カ国協議の参加国から言われたこともありますし、そういう意見を聞いたこともあります。
私はやはり、もちろんさまざまな国を通じて働きかけるということも大事ですけれども、最終的には、やはりみずからが直接話をして、そしてみずからが向き合ってこの問題については解決するしかないと思いますよ。
その点について、しっかりとやっていただきたいということを申し上げ、また、INFについてはまた次回質問させていただくということを申し上げて、質問を終わります。