○末松委員長 次に、前原誠司君。
○前原委員 北方領土問題についてお話を伺いたいと思います。
まず河野大臣、一九五六年の日ソ共同宣言というのは、有効であり、日本国政府として尊重する立場ですか。
○河野国務大臣 一九五六年の共同宣言は、国会でも御承認をいただいたものというふうに考えております。これを基礎に、平和条約の交渉の加速化を行ってまいりたいと思います。
○前原委員 一九九一年の日ソ共同声明というのは、有効であり、日本は尊重する立場ですか。
○河野国務大臣 これから平和条約の交渉を加速化しようということでございますので、これまでのことを含め、政府の考え方、方針を対外的に申し上げないというのが政府の方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。
○前原委員 千島列島の中に北方四島は含まれますか。
○河野国務大臣 申し上げましたように、これまでのことも含め、政府の考え方あるいは方針を対外的な場で申し上げないというのが政府の基本方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。
○前原委員 北方四島は日本の固有の領土ですか。
○河野国務大臣 政府の法的立場に変わりはございません。
○前原委員 一つまず申し上げたいのは、私は、いろんなこれから領土問題の交渉があっていいと思います。しかし、その上で、一九五六年からずっと議論をしてきて解決できなかった問題についていよいよ交渉になっているから、今までのことも含めて、交渉の過程にあるから何も申し上げませんということについては、私は真摯さに欠けていると思います。
なぜなら、先ほど一九九一年の日ソ共同声明のことを申し上げましたけれども、ある意味、河野外務大臣がよくわかっておられるのは、私のひっかけ質問にはひっかからなかったわけですよ。
日ソ共同宣言のときは、これは、その当時の自民党の党議決定も含めて、二島先行返還、二島継続協議なんですよ。しかし、一九九一年の日ソ共同声明から四島の帰属に変わっているんです。そこが一つの大きな変わり目になっているんです。
つまりは、二島先行返還、二島継続協議であった前提での日ソ共同宣言、一九五六年から、一九九一年以降は、四島の帰属を確定して領土問題を解決する、こういう形になっているんです。
したがいまして、この日ソ共同声明については、今後の交渉の過程の中で、そういうものを含めて交渉するんだということをおっしゃったということは、ある意味わかっておられることなんですが、一つ申し上げたいのは、先人の並々ならぬ努力があったんです、この問題については。そして、まさに時期を捉えて、そして先人たちが、相手の大統領、あるいは旧ソ連時代は総書記と相まみえて、秘密交渉も含めて、こういう問題を積み重ねてきたというのが日ソ、日ロの歴史の積み重ねなんです。
したがって、それについて全て今交渉するから、全部何もかも放り投げて、そして、交渉過程だから申し上げませんということは、これは余りにも真摯さに欠ける。
私、ずっと先ほどの答弁を聞いていると、前の国税庁長官と同じですよ。予算委員会で証人喚問に呼ばれて、刑事訴追の可能性がありますので答弁は差し控えます、全く同じに聞こえます。
なぜ今までの政府の立場を堂々と述べないんですか。今までの政府の立場はこうでした、しかし、これから自分も責任者として交渉に入りますと言えばいいじゃないですか。うやむやにするからいかぬのですよ。我々はそれを申し上げている。
これは総理もずるいんですよ。総理もずるい。総理はこう言っているんです、十一月二十六日の衆議院の予算委員会で。政府のこれまでの姿勢は一貫しており、領土問題を解決して平和条約を締結する、この方針に一切変わりはない。姿勢は一貫している、一切変わりないと言って、文言が変わっているんですよ。
それは何か。四島の帰属の問題を解決しというのが必ず入ってきた、今まで。それが入っていない。それが入っていなくて、政府のこれまでの姿勢は一貫している、方針に一切変わりはないと、外務大臣、言えますか。
○河野国務大臣 政府の姿勢は一貫しており、領土問題を解決して平和条約を締結する、この方針に変わりはございません。
○前原委員 四島の帰属問題を解決しということを除いても、領土問題を解決するということについて変わりない、こういう御飯論法です。御飯は食べていないけれども、パンは食べた。領土問題を解決すると言って、四島の帰属ということを明確に言わない。でも、領土問題を解決するという方針は変わっていないよね。
私は、国民に対して、国民の代表が集まっている国権の最高機関である国会の議論にしては極めて不誠実だということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
先ほど、四島は日本の固有の領土であるということについては法的には変わりないとおっしゃいましたね。つまりは、四島のそのいわゆる法的根拠には変わりないということは、四島は日本の固有の領土ということでよろしいんですね。
○河野国務大臣 政府の法的立場に変わりはございません。
○前原委員 これは大事な答弁なんですよ。政府の法的立場に変わりはないということは大事なことなんです。
それで、この法的立場は変わりはないけれども、いろいろな交渉の中でこれからさまざまなことがあるので明確なことは言えないということをおっしゃいました。じゃ、違う形でこれから質問をさせていただきたいと思います。
まず、その前提で、これは私は河野大臣にある意味プレゼントのような質問をしたいというふうに思うんです。
一九四五年の二月十一日にヤルタ協定というのが結ばれているんです。これは、ソ連のスターリン、それからアメリカのルーズベルト、イギリスのチャーチル、この三者が集まってヤルタ協定というのを結んでいました。これは、日本は当事者ではありませんのでこの協定には拘束されないという立場でありますが、このヤルタ協定の中に、千島列島がソ連に引き渡されることと書かれているんです。千島列島がソ連に引き渡されることと書かれている。
それで、日ソ共同宣言の中に何が書かれているかというと、歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すと書かれているんです。
私、ロシア語は全然わかりませんので、スパシーバぐらいしかわからないのでロシア語を読むことはできないんですが、もしあれだったら事務方でも結構ですけれども、質問通告しておりますので外務大臣に答弁をいただきたいんですが、ヤルタ協定に書かれている引き渡すというロシア語と、そして、日ソ共同宣言に書かれている引き渡すというロシア語は同じですか、違いますか。
○河野国務大臣 御指摘の、ヤルタ協定の中で使われている引き渡しというロシア語と日ソ共同宣言の中の引き渡しというロシア語の単語は、両方、ペレダーチャーという同じ単語が使用されていると承知しております。
○前原委員 同じ単語が使用されているんです。
それで、プーチンは何と言っているか。プーチン大統領は何と言っているかというと、この日ソ共同宣言について、歯舞諸島及び色丹島を日本に引き渡すと言っているが、それについてどのような基準が設けられて、どちらの主権になるかは記されていない、こう言っているわけです。
つまり、引き渡すということは書いてあるけれども、基準も設けられていないし、どちらの主権になるかも記されていない、こういうふうに彼は言っているわけですが、ヤルタ協定も、日本語訳を読むと、千島列島がソビエト連邦に引き渡されることしか書いていないんです。しかし、それをもって彼らは、自分の国に言ってみれば主権があるということを認めさせて、そして、言ってみれば実効支配を今もしている、こういうことなんです。
ということは、プーチン大統領の日本に対するこういった発言というものは、ヤルタ協定からすると同じ言葉を使っているので、引き渡すというのは主権も含めて引き渡すということじゃないですかということを堂々と言えばいいんじゃないですか。
○河野国務大臣 これから交渉を加速化させようということでございますので、交渉相手のコメント、発言、特に、交渉の場以外でのコメント、発言についてこちらから何か申し上げるのは差し控平えたいと思います。
やはり、交渉は交渉の場でこれはしっかりとやっていきたいと思っておりますが、交渉の場以外でのコメントが、これは当然相手にも伝わります。
相手にも伝われば相手方のリアクションを生むことにもなり、それが更にさまざま影響を広げていくということになるわけでございます。
特に、これまで数十年にわたり、違う立場の中で交渉、話合いをやってきたわけでございますので、さまざまなお考えの方が両サイドあるいは第三者、いらっしゃるわけで、そうした影響を防ぐためにも、政府としては、極力、交渉の場で相手に対して我が方の主張を申し上げる、交渉の場で相手から聞いたことについてお答えをするというのを交渉の基本方針にしております。
前原外務大臣のときにこの日ロの問題でさまざま御決断があったということも承知をしておりますが、そうしたさまざまな先人の積み重ねの上に今日があり、その上で両首脳が交渉を加速化させようということを合意するに至ったわけでございますので、しっかりと平和条約が締結できるように、そこは粘り強く交渉してまいりたいと思います。
○前原委員 私が外務大臣のときに、毎月のようにラブロフ外相とは会ったり、あるいは電話会談をいたしました。彼が一回、えらいけんまくで電話会談で怒ってきたことがあって、それは、日本の新聞報道を見て、これは事実なのかということを確認をしてきたわけです。
私が申し上げたのは、まあマスコミの人には申しわけないけれども、あることないこと書かれていますよと。したがって、もし何か懸念事項があれば、マスコミを通じて議論するんじゃなくて、交渉当人同士で議論しましょうということを私もラブロフ外相に申し上げました。そういう意味では、今河野外務大臣がおっしゃったことはよくわかります。
今私が申し上げたことについてはこれ以上申し上げませんが、ヤルタ協定の引渡しという文言と、そして日ソ共同宣言の引き渡すという文言は同じだということを踏まえてぜひ交渉していただきたい、このように思います。
それから、平和条約、平和条約って何か言うんですけれども、平和条約って一体どんなものになるんだろう。こういう疑問が恐らく多くの国民の皆さん方にあると思うんです。平和条約ってどんな形になるんだろう。どんな形になるんですか。
○河野国務大臣 一般的に平和条約と言われているときにその要素として主なものは、戦争状態が終結したということ、さらに、それに伴う領土問題の解決、そして戦争賠償などにかかわる問題の解決、こうしたものが要素として含まれるものと理解しております。
○前原委員 おっしゃったように一般的な平和条約というのは、戦争状態の終結、それから賠償請求権問題の処理、それから国境線の画定、今外務大臣がおっしゃったとおりです。
他方でこの戦争状態の終結、賠償請求権の問題の処理というのは、日ソ共同宣言で終わっているんじゃないですか。
○河野国務大臣 これから平和条約の締結交渉を行うわけでございますので、その交渉の中身、考え方について、外で申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○前原委員 繰り返す必要はないかもしれませんが、共同宣言の中には、戦争状態の終結と、そして賠償請求権問題については書かれているんです。
日ソ共同宣言についてはもう書かれていますので、要はこれから何がポイントになってくるかというと、今外務大臣がおっしゃったように、国境線の画定ということになります。もちろんそれは北方領土という国境線だけれども、お互いの国土の承認をし合うということになります。
さて、尖閣は我々の領土だということをソ連に了承させますか。
○河野国務大臣 尖閣諸島が我が国の領土であることは何ら疑いがないことでございますので、これはロシアが承認するとかしないとか、そういう問題ではございません。これは日本の領土であることに間違いございません。
○前原委員 今、若干最後がひっかかるんですけれども、日本の立場はそうです。日本の立場はそうですが、彼らが日本の考え方と一緒だよと言うことが、平和条約、国境線の画定においては必要なんじゃないですか。
つまりは、彼らがどう言うのではなくて、日本の立場を彼らに理解させるということが必要なんじゃないですか。
○河野国務大臣 おっしゃっている意味がよくわからないんですけれども、特にそうしたことを云々ということでは多分ないんだろうと思っております。
○前原委員 多分わかっておられると思うんです。中国との問題がありますね。中国、ロシア、これは表面的には非常にうまくいっているということでありますが、それはお互い国同士です。しかも、数千キロメートルの国境を接している大国同士の中でいろいろな思いがある。
中国は注視していますよ、この平和条約が、国境線の画定、尖閣についてロシアはどう言うか。
戦略的にも、尖閣も含めて日本の領土、主権というものを認めさせるということの方が、これは、国家戦略としても、日本の立場としても極めて重要なことじゃないですか。
○河野国務大臣 この日ロの平和条約交渉は、戦略的にもさまざまな重要な要素を含んでいるわけでございます。
○前原委員 ちゃんと答えてください。
○河野国務大臣 戦略的に重要な要素をさまざま含んでいると申し上げております。
○前原委員 では、その上で、尖閣については日本の領土だと認めてもらうということは大事なことじゃないですか。
○河野国務大臣 尖閣諸島について、これはもう日本固有の領土でございます。
○前原委員 わかっております。今聞いているのは、ロシアに認定してもらうということが大事じゃないですかということを聞いております。
○河野国務大臣 繰り返すようで恐縮でございますが、尖閣諸島は、これは日本の領土であるということに間違いございません。
○前原委員 竹島はどうですか。
○河野国務大臣 竹島も日本固有の領土であります。
○前原委員 じゃ、別の視点から伺いましょう。クリミア、ウクライナ東部をロシアの領土と認めますか。
○河野国務大臣 クリミアあるいはウクライナの問題については、これは平和裏に解決されることが望ましいと日本政府は考えております。
○前原委員 過去のみずからの答弁というのを私も全て持っておりますけれども、今までの答弁をもう一度していただけませんか。
クリミア、そしてウクライナ東部、どういうお答えをされているのか。これは誰のものなのか。
力によって変更されたものではないのか。どうですか。
○河野国務大臣 クリミアあるいはウクライナの問題は、平和裏に解決されることが重要だというふうに考えております。
○前原委員 答えてもらっていません。これは物すごく大事な問題なんです。ひょっとしたら、日ロ平和条約が結べなくなる一つの大きな要因になるかもしれませんよ。
ロシアが、クリミアを認めろ、ウクライナ東部を認めろ、そうでなければ平和条約を結ばないと言う可能性、十二分にありますよ。だって国境線の画定なんですよ、平和条約というのは。
いいですか、国境線の画定というのは、確かに係争地域もそうだけれども、先ほど申し上げたように、日本の立場、尖閣、竹島、これは日本の固有の領土である、これを相手に認めさせること、相手からすると、クリミア、ウクライナ東部、これはロシアのものであると認めさせること、これは極めて大事なディールになってきますよ。日本もそのディールは使わなきゃいけない、尖閣の問題は。
この問題で平和裏に解決されなかったらいいけれども、望みますということですけれども、そういう形に今なっていないし、見通しとしてはますます固定化、複雑化していますよ。
ロシアからクリミアを認めろ、ウクライナ東部を認めろと言われたときに、認めますか。
○河野国務大臣 これから交渉が始まるわけでございますので、交渉の内容について対外的に申し上げるのは差し控えているところでございますが、仮定の問題でもございます、仮定の御質問でもございますので、差し控えたいと思います。
○前原委員 日本国民はこの北方領土の問題については、長年解決しなかった問題であり、大臣に対して僣越ですけれども、日ソ共同宣言の方向性については大方の国民が私は理解をするんじゃないかと思います。つまり、二島先行返還、二島継続協議といういわゆる日ソ共同宣言の方向性についてはおおむね理解すると思いますが、平和条約というものを結んだときに、その平和条約の中に書くかどうかは別ですよ、それはまさに交渉事ですから。お互いの国境線というものをどう認め合うのかということも含めて、もし、先ほど大臣が、これは平和条約をなぜ結びたいかというと、戦後を終わらせたいということと同時に、この間安保委員会でも外務大臣には質問いたしましたけれども、これから数十年、数世紀にわたって日本の最大の外交課題は、中国とどうつき合うかなんですよ。
強大化する中国とどうつき合うか。その中で、だからインド太平洋戦略とか、ロシアとどううまく戦略的につき合っていくかとか、そういうさまざまなことをまさにパズルにして外交を行っているのが河野外務大臣でしょう。
平和条約を結んで一段日ロの関係を上げるということであれば、それがまさに、対中政策の一つの大きなカードにしていこうという戦略的な意図は持っておられると思います。それは持っていなかったらおかしい。誰が外務大臣をやっても総理をやってもそうであるはずです。だから向こうも、返還されたあるいは引き渡されたところには米軍基地は置かないのかということを言っているわけです、向こうも。
この領土問題というのは、いいかげんな形で棚上げできない問題ですよ。特に、力で変更されたものを認めるということになれば、中国の、南シナ海での岩礁を領土だと言って国際仲裁裁判所の決定についても聞く耳を持たないということにも、それも力で認めたんだから仕方がないねということになってしまいますよ、ダブルスタンダードになりますから。力で変更したものについてはだめだということを言い続けなきゃいけない。
日ロ交渉においてもそういう普遍的な価値というものは守って交渉するということをお約束いただけませんか。
○河野国務大臣 国際社会の中で普遍的な価値というのは当然に尊重されるべきものだというふうに考えております。
○前原委員 私が求めた答弁ではない点が多々ありましたけれども、宮腰大臣に質問をさせていただきたいというふうに思います。
私も外務大臣もそうですが、沖縄北方担当大臣をさせていただき、北方領土も沖縄の問題も私も思い入れを持って取り組ませていただきましたし、大臣が今まで議員としてこの両方の問題に本当に真摯に熱心に取り組まれてきたことということはよく存じ上げておりますので、本当にすばらしい方が大臣になっていただいたと、御活躍を心から期待をしているところであります。
沖縄についてお話を伺いたいというふうに思うわけでありますが、来年の二月二十四日に県民投票がございます。これは、いわゆる辺野古の基地の問題についての県民投票ということであります。
どういう結果になるのかわかりません。
大臣のお立場というのは、私もこの辺野古の問題というのは沖縄の皆さん方に大変御迷惑をおかけをしたけれども、しかし、これについては、普天間飛行場という極めて世界でも最も危険な基地をなくすために代替地として申しわけないけれどもつくらせてほしい、そのかわり、普天間の返還あるいはほかの基地の返還も含めてしっかりとそういったいわゆる跡地対策、経済対策、こういうこともしっかりやっていこうということを、防衛大臣でない沖縄担当大臣である宮腰大臣が熱心にやはり説かれるということが私は大事なことだというふうに思います。
以前の自民党の方々より私は今の自民党の方々というのは、沖縄の方々に寄り添っている方々というのは余りおられないんじゃないかという気がするんです。梶山先生にしても野中先生にしても、沖縄の方々と本当に膝を突き合わせて、泡盛を飲んで、そして沖縄の将来について語っておられた方々がたくさんおられます。我々もそれをまねして沖縄の方々と今まで接してきました。
やはりそういう、政府の立場は政府の立場だけれども、あなた方のことは本当に真剣に考えている、あなた方の振興、そして、基地があるために皆様方の発展というものが阻害されている、だから自分はこういう沖縄に協力したいんだということを、二月二十四日の前後、別に前だからということじゃなくて、後も含めてやはりしっかりと私はおっしゃるべきだと思いますし、今までの取り組まれ方からすると、大臣にはその資格は十二分
に、僣越な言い方ですけれどもあるのではないかと私は思います。
この二月二十四日のいわゆる県民投票を踏まえて、沖縄担当大臣として何が自分のやるべきことなのかというふうにお考えになられますか。
○宮腰国務大臣 県民投票につきましては、地方公共団体における独自の条例に係る事柄でありますので、そのことについて言及は差し控えたいと思いますが、その結果いかんにかかわらず、沖縄県の抱えておいでになる問題を一つ一つ前に進めていくということが担当大臣としては最も大事ではないかというふうに思っております。
地理的優位性、いろいろな優位性があるんですけれども、十分に生かし切れていないというのが今の沖縄の現状ではないか。そこを一つ一つ丁寧に後押しをしていく、国としてやるべきことはもうしっかりやっていくというのが担当大臣の仕事だというふうに思っております。
沖縄の振興を一口で申し上げるのは大変難しい。
北部は北部の問題を抱えておいでになる。さらには、離島地域は離島地域としての問題を抱えておいでになる。また、御案内のとおりでありますけれども、小規模な離島は高校もない。十五の春、島立ち、こういう構造的な問題も抱えておいでになる。そういうところに、沖縄県みずからの力ではいかんともしがたい部分もある。
そういうところを政府としてしっかりとどう後押しをしていくか。最終的なゴールは沖縄県の自立的発展、その条件を、あるいは環境をどうつくっていくか。その後押しをするのが我々の仕事ではないかというふうに考えております。
○前原委員 私も鳩山内閣のときに国土交通大臣
兼沖縄北方担当大臣をさせていただいて、ちょうど国土交通大臣もやらせていただいておりましたので、二本目の滑走路をつくりたいというのが最も大きな沖縄県の御要望でございましたので、その決定もさせていただきました。
また、野田政権ときの政調会長として、これは仲井真知事でいらっしゃいましたけれども、とにかく沖縄の予算というものは三千億円規模を何とかなし遂げて、そして沖縄振興計画というのは、沖縄が返還されたのは一九七二年ですから、十年、十年、十年、十年、四十年やってきて、この最後の十年だとおっしゃっていたわけです、仲井真さん。ここで、いわゆる今大臣がおっしゃったように、お国の力をさほどかりなくても沖縄が自立的
にテークオフする。最後の、沖縄が返還されて五十年のときには、今までと違う形で自立して発展をしていく。これもやはり沖縄の方々の尊厳とか自負心とか、そういうものに寄り添う意味では極めて大事なことだというふうに私は思っております。
昔は、基地の問題と経済の問題というものをリンクさせるということは、これは自民党政権も含めて、厳に慎むべきだというのが政府、国会の中の雰囲気でありました。私はこれからもそうあるべきだろうというふうに思います。基地の問題と関係なく、基地の問題で言うことを聞かなかったら予算減らすぞ、そういう方、第二次安倍政権でも若干おられましたよね。私はこれはよくないと思いますよ。基地の問題は基地の問題。
先ほど申し上げたように、基地があるがゆえに沖縄は発展し切れていないんです。だって、全国の七二%の施設・区域が集中していて、沖縄本島の二〇%ですよ、基地は。しかも、銃剣とブルドーザーで基地がつくられたということの中で、いいところに基地がつくられているわけですよ。嘉手納町に至っては町の八三%が基地ですから。
そういう意味では、やはり、沖縄の自立的な発展のために資することをやっていくということが大事だと思います。
我々は、二本目の滑走路あるいは予算、それから、これは我々がやったことで一括交付金というのを沖縄だけ残していただいていますけれども、宮腰カラーとしては何をそれにプラスして、自分が担当大臣のときに沖縄の自立的発展のためにこれはやろう、今までの大臣とは違う、これはやろうということでやる意気込みを持っておられますか。
○宮腰国務大臣 那覇空港第二滑走路はもうすぐ完成いたします。これは、与野党問わず、沖縄県の発展に大きく資する事業であるということで推進をしてまいったと思います。インバウンドもふえて、ハワイと肩を並べるぐらいまで来た。しかし、残念ながら、県民所得、まだまだ内地に比べて低いのが大半でありまして、中には四百万を超える所得のある地域もあるわけですけれども、全体的にはやはりまだまだだというふうに思ってお
ります。
県民所得をしっかり上げていく、そのためには、やはりこの一次産業、二次産業、三次産業、しっかりとバランスのとれた形で、一つに偏ることなく、それぞれが生かしていけるような産業構造にしていく必要があるのではないかというふうに思います。
一昨年の統計で、例えば沖縄県の農業産出額、二十一年ぶりに一千億円を超えた。これから輸出もにらんで、単なる生産だけではなくて、付加価値もつけた上で、もっともっと沖縄県の農業が元気になる。そういうことを一つ一つ後押しをしていくのが大事なのではないかなと。特区のやはりもっとさらなる有効活用なども必要だと思います。
そのほかには、やはり離島地域をたくさん抱えておいでになるので、その離島であるがゆえの条件不利性をしっかりと国の後押しで解消もしていくということによって、離島であっても内地と同じ条件で勝負ができる、そういう環境をしっかりとつくっていくということが大事なのではないか。
まだまだ微力でありますが、一生懸命頑張りたいと思います。
○前原委員 今まで以上に沖縄に愛を持って取り組んでいただければと思います。終わります。