○前原委員 まず、総理に伺います。
総理は、平成三十年度の予算審議の中で、再三、歳出改革とあわせて経済成長をさせなければ財政再建はできないと言われてきました。もちろん、経済成長と歳出改革というのはともに必要だと考えますけれども、経済成長と歳出改革で財政再建はできるとお考えですか。
○安倍内閣総理大臣 経済を成長させることなくして財政の健全化はない。
PBで見て、その年のPBを黒字化するということは、もちろん歳出を大幅に削減するだけでこれは可能でありますが、いわば、私たち、累積債務の対GDP比を、これを減少させていくということで取り組んでいるわけでございまして、当然そのためには、経済を成長させる、デフレから脱却をして経済を成長させることによって税収はふえていく、そして同時に、歳出を削減していくことによって財政を健全化していきたい、このように考えております。
○前原委員 確かにこの五年間で税収はふえました。そして、新規発行国債の額は減りました。しかし、平成三十年度の予算を見ておりますと、一般会計の歳出歳入の規模は九十七・七兆円ですね。そして、歳出の国債費は約二十三兆円、四分の一ですよね。そして、この二十三兆円のうち、十四兆円が元本の返済、そして利息の返済が約九兆円ですね。そして、九十七兆円の中で、税収見込みが六十兆円弱ということですから、税外収入等を除いたもので新規発行の国債をしなくてはいけないのは三十四兆円ですね。
つまりは、この五年間で、総理の言われるように、経済は成長させた、税収は上がった、そして新規発行国債の額は減った。しかし、現状の足元において、まだ、差引き二十兆円、新たに国債を累積させるような予算しか組めないわけですよ。
私が聞いているのは、経済成長とそして歳出改革だけで本当に財政再建ができますかということを聞いているんです。総理の答弁についてだから、総理にお答えいただきたいと思います。
○麻生国務大臣 今、委員長から御指名をいただきましたので。
少なくとも、できるかということですけれども、まずこれはやらねばならぬ一番大事なところなんだと思っておりますので、アベノミクスの取組によって、少なくともGDPが五十六兆円か、増加しておりますし、企業収益は間違いなく増加しております。加えて、雇用とか所得環境というような、いわゆる国民総生産のうちで占める消費の中の大きな部分なんですが、そういったものも確実に出てきておりますので、経済を好循環にさせていくという方向では間違いなく来ているんだと思いますので、これだけで全てができるかといえば、なかなかそんな簡単な話ではありませんので、私どもとしては、今、この九十七兆円のうち約三割が社会保障関係ということになり、それが、少子高齢化が顕著に進んでいく状況の中にありましては、その比率が年間で約一兆円ずつぐらい伸びていくような試算もありましたので、こういったものはきちんと一定の限度におさめるということで、三年間で一兆五千億ということで、年間約五千億ということでやらせていただいて、その目安というものに関しましてはきちんと三年間で達成をさせていただいておりますし、国債の新規の発行額も約十一兆減らしてきておりますので。
そういった意味では、健全財政化の話も遅々としては進んでいないというように見られるかもしれませんけれども、以前に比べて間違いなく、この数年間、そういった方向は確実にしっかりとした道筋をつけてきたと思っておりますので、そういった意味では、今回の予算編成に当たりましても、その方向に沿って引き続ききちんとやらせていただきたいということに思っておりますので、プライマリーバランス等々いろいろな問題を抱えておりますのは御存じのとおりですけれども、私どもとしては、そういったものを含めて、この夏までに、きちんとしたプライマリーバランスの目標というものをきちんと立て直して、私どもとしては骨太方針の中でお示しをさせていただきたいと考えております。
○安倍内閣総理大臣 簡単に申し上げますと、いわばこの収入、入るをはかるということにおいては、いわば税収をふやしていくということについては、経済成長、それとまた歳入改革もあるんだろうと思います。我々、消費税については安倍政権において三%既に上げておりますし、あと二%引き上げていく予定でございます。それと歳出改革を行っていく。
ですから、基本的には税収をふやしていくということと歳出の改革を行っていくということでありますが、大きく見れば、この税収をふやしていくということにおいては、税収、経済ということプラス歳入改革の中においては、税等ということについても当然考えることであろうと思っています。
○前原委員 委員長、これは総理を招いての総括ですから、財務大臣は今までずっと聞いているんですよ。総理に当ててください。そうしないととめますよ、質問を。そのための総理出席でしょう。委員長、それをしっかり踏まえて答弁者を、お答えください。
今総理が言われたように、私が聞きたかったのはそこなんです。歳入改革も必要なんですよ。経済成長も歳出改革も必要だけれども、しかしながら、経済さえ成長させればそれで全てが済むようなことにはならないんですね。
この五年間で、一の資料をごらんください(資料1)、これは主要OECD加盟国のGDP、赤が実質、そして黒が名目でありますけれども、確かにこの五年間、日本も成長している。しかし、一番下の世界全体を見ていただくと、この五年間というのは世界経済はよかったんですね。
そして、ほかの先進国、OECD加盟国を見ると、日本が必ずしも飛び抜けていいというわけでもないし、むしろほかの国でいいところはもっとあるということを考えれば、私は、異次元の金融緩和と世界経済の好調さというものが、言ってみれば、日本のある程度の成長を支えてきたということだというふうに思います。
さて、その上で、先ほど麻生財務大臣が言及されましたので、その話に入っていきたいというふうに思いますけれども、内閣府は、ことしの一月二十三日に、中期の経済財政に関する試算を経済財政諮問会議に出されましたね。去年一月に出されたものと比べると、去年は経済再生ケースと言われていたものが成長実現ケースというものに変わっていますね。
二の資料をごらんください(資料2)。上の表の、上が今回出された成長実現ケース、その下にあるのが経済再生ケースでありますけれども、単純に、実質、名目、両方とものGDP成長率を見ていただくと、下方修正しているわけですね。
つまりは、これも総理にお答えいただきたいわけでありますが、今まで政府、内閣府が出していたいわゆる経済再生ケースというものは、楽観的過ぎた、過大な経済成長を前提にしていたということでよろしいですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 今御指摘をいただいた点については、これは、本年一月の中長期の経済財政に関する試算は、過去の実績や足元の経済状況を組み込んだ現実的な試算にすべきとの経済財政諮問会議の議論を踏まえて作成をしたものであります。
例えば、TFP、全要素生産性でありますが、上昇率について、前回の試算の経済再生ケースでは二〇二〇年代初頭にかけて二・二%まで上昇する想定で試算をしていたところでありますが、今回の試算の成長実現ケースでは、日本経済がデフレ状況に入る前に実際に経験した上昇幅とペースで上昇するとして、五年間で足元の〇・七%から一・五%まで上昇する想定で試算をしているところであります。
○前原委員 直接お答えになられませんでしたけれども、要は、下方修正していることを認められたことになるわけですね。
じゃ、成長実現ケースとは何かということですが、この内閣府の出しているものでいいますと、アベノミクスで掲げたデフレ脱却、経済再生という目標に向けて、政策効果が過去の実績も踏まえたより現実的なペースで発現する形、こういうことですね。後でTFPの話は議論いたしますけれども、まず、これ自身も現実的かというところを伺いたいと思います。
直近の二〇一七年、これは、内閣府副大臣、イエスかノーかでお答えください。二〇一七年は、内閣府の発表した実質GDP成長率は一・六、名目GDP成長率は一・四ではないですか。
○越智副大臣 そのとおりでございます。
○前原委員 じゃ、二をごらんください。
この上、二〇一七年、より現実的なペースで発現する形と書かれている成長実現ケースで、実質が一・九、名目は二・〇になっているじゃないですか。もう足元からおかしな数字を出しているんじゃないですか。
今、裁量労働の問題ででたらめなデータということが問題になっていますけれども、新たなプライマリーバランスを議論する、そして、私が根本的な問題としてお訴えをしている、経済成長だけで財政再建はできないという話をしていく中で、そのベースとなる資料において、もう足元からこれは改ざんされているじゃないですか。
一・六が実質で、一・四が名目でしょう。これは、成長実現ケースじゃなくて、ベースラインケースも同じ数値ですよ、申し上げておきますけれども。ベースラインケースでも同じ数字ですから。何でこんなでたらめな資料を出しているんですか、内閣府副大臣。
○越智副大臣 お答えいたします。
一月の二十三日に提出をいたしました中長期試算、この中長期試算というのは、経済財政諮問会議の審議のために参考として、内閣府が作成して提出するものでございます。
この試算は、経済、財政、社会保障を一体的にモデル化した内閣府の計量モデルを基礎としております。したがいまして、成長率、物価及び金利などはモデルから試算されるものでありまして、あらかじめ設定したものではございません。
そういう意味で、試算の内容につきましては、種々の不確実性を伴うため相当な幅を持って理解される必要がある、そういったものでございます。
○前原委員 それは説明になっていないでしょう。だって、二〇一七年、実績の話ですよ。今、もう二〇一八年の二月の終わりですよ、きょうは。そして、一月二十三日に出されたものということは、大体もう、二〇一七年度じゃないんですよ、これは。二〇一七年ですよ。一七年のものを、そして、これからの中長期の経済試算で出すということになって、違いがあったら、これは是正するのが当たり前じゃないですか。こんなでたらめな議論で、これからプライマリーバランスの議論をするんですか。(発言する者あり)これは年度じゃないですよ。年度じゃない。年度じゃない。年ですよ。
そういう意味においては……あっ、いいですよ、どうぞ答えてください。
○越智副大臣 改めて申し上げます。
今申し上げました中長期試算につきましては、各年度の数値をお示ししているものだということをお含みおきいただきたいと思います。
○前原委員 今私が申し上げたこの一・六、一・四というのは、二〇一七年です。年度ではありません。年度ですね、これは。中長期試算は年度ですね。
そうしたら、これは年度で、これにぴったしくるんですね。ベースラインもこれにきているんですよ。(発言する者あり)いやいや、これはえらい違いよ。発射台がこれだけ違って、前提が変わってくるとなると、長期試算なんて成り立ちませんよ。こんないいかげんなものを出しているということ自体が大きな問題じゃないですか。
もう一つ申し上げましょう。
先ほど総理が言われたTFP、これは一・五というのはどういう数字ですか、一・五。デフレ前に実際経験した上昇幅とペース、五年間で〇・八%程度、それが足元の〇・七%とこの〇・八%を足して、先ほど二・二から一・五に引き下げられたとおっしゃったけれども、では、この〇・八というのは何ですか。どういう数字ですか。
○越智副大臣 TFPの計算根拠、前提についてお答えいたします。
一九八二年度から八七年度までの五年間で〇・八%程度の上昇をしている、その実績をもとにしまして、このペースで足元から上昇する、そういう計算でございます。
○前原委員 そのとおりなんですよ。
繰り返し申し上げますよ。今回は、いわゆる経済再生ケースから、より現実的なものに変えるということで、成長実現ケースとしたわけですね。
そして、〇・八というのは、今、越智副大臣がおっしゃったように、統計上データがとれる八〇年代以降で、そこは答えられなかったけれども、はしょられたけれども、最もTFP上昇率が高かったのが一九八二年から八七年の五年間なんですよ。つまりは、これはバブルのころですよ、バブルのころ。そして、日本全体の経済成長率を言うと、オイルショック以降から九〇年までが年率平均は四・三%の成長率、それ以降は一・〇しかないんですよ。
だんだんだんだん成長率が鈍化をしている中で、これからの成長が、人口も減り、そして少子高齢化で社会保障でたくさんのお世話にかかる人たちがふえて、バブルのころの一番最も高い五年間の〇・八を採用するというのはどういうことですか。必ず実現できるということですか。これは、TFPが変われば数字は全然変わってきますよ。何でこの〇・八を採用しているんですか。
○越智副大臣 今回のTFPの試算の前提につきまして、二つ申し上げます。
一つ目は、前回までは二・二%程度まで上昇するという水準の話でございましたが、今回はペースの話でございまして、年率で〇・一六%ずつ上昇して、そして五年間で〇・八ということでございます。
今御質問の、なぜ八二年から八七年なのかということでございますが、このTFPの実績がとれるようになりましたのが一九八〇年代に入りましてからこういった統計数字がとれるようになったということでございます。また一方で、デフレの状態に入ったその前の時期ということで、この五年間を選んで試算の根拠にしたということでございます。
○前原委員 答弁になっていないじゃないですか。
一番経済成長率がデフレ前に高かったところを持ってきて、これから実現できますという答えになっていないじゃないですか。
総理、二〇一七年の数字は、度だから、あともう一カ月すればわかるわけですよ、大体。二カ月かな。四月、五月ぐらいになれば、第四・四半期の数字が出ますよね。そのときに、年と年度では違いましたといって、大きな違いがなかったら、責任をとりますか。とれないと思うよ。
それから、TFP、一・五ということで、経済成長がデフレ前で一番高かったバブルのときの、
一番高いところの五年間をとって、それは実現できますという前提でプライマリーバランスの議論をこれからやり直すんですか。こんなでたらめな統計で本当に日本の財政に責任を持てますか。お答えください。
○安倍内閣総理大臣 今、TFPについて、一・五にしたということについては越智副大臣から答弁をさせていただいたところでございます。
しかし、過去のTFPについてどこを見るべきかということについては、いろいろな議論があるとは思いますが、いわばTFPをとり始めて以降において、デフレ期をやはり除く、我々はもうデフレではないという状況になっているわけでございますから、デフレ期を除くというのは当然のことのように思うわけでございますし、これは、我々が特別に高くしている、TFPを高くしているということではなくて、例えば、我々の前の政権のときから大体TFPはこれぐらいにおいて試算をしていた、皆さんが政権をとっていたころから、大体この辺で試算をしていたのではないかというふうに記憶をしているところでございます。
いずれにいたしましても、ある程度の仮定を置かなければ将来の経済の見通しはできないわけでございまして、その仮定を置いた中においての、これは我々、見通しをお示しをしている。そうなるように、我々もさまざまな政策を総動員して結果を出していきたい、こう考えているところでございます。
○前原委員 夏に正式なPB黒字化の前提条件、そして試算を出されると聞いています。
もしこういう、もう一度いいかげんな、だって、〇・八って、本当にこれは、話を聞いておられる方、一九八二年から八七年のバブルの時期の、そしてまだ日本が人口がふえているときのそのものと、これからの、人口が減って少子高齢化が進んでいく、特に、多くの経済学者が、あるいはエコノミストが、オリンピックが終わった後の経済を心配している、こんな状況の中で、その数値を持ち出して、それだけ上がるんだという前提で、将来のいわゆる基礎的財政収支の議論が本当に真面目にまかり通るとは私は到底思えませんね。
したがって、これからその問題点を指摘しておきますから、同じような議論をするんだったら徹底的に厳しくやるということ、そして、これは同じような、資料の改ざんのような話だと私は思いますよ。(発言する者あり)いや、改ざんでしょう。二〇一七年、違うんだから。(発言する者あり)いや、では、そうしたら、今やじを飛ばした人も、年度のときに変わっていなかったら責任を持てるかという話ですよ。
そういう話を今しているわけで、しっかりとした、まあ、議論をするときは、そういう本当にみんなが納得できるベースで議論しましょうよ。そして、将来に対する、財政に対する責任を持った議論をしましょうよ。それをしっかりやってもらうことをまず要望しておきたいと思います。
日銀総裁、来られていますね。
さて、もう一度二ページをごらんいただきたいんですが、成長実現ケースというものをずっと見ていくと、二〇二六年に名目成長率と名目長期金利が逆転をします。この指摘は私は以前にもさせていただきました。
つまりは、この成長率、仮にこれがうまくいくとしてですよ、成長してうまくいくという前提でいった場合に、そうすると長期金利がどんどんどんどん高くなっていく、そうすると、一千兆円を超える国の長期債務というものの利払いがどんどん膨れ上がっていきますね、金利が上がれば。
今、これだけ財政に対して非常に緩い状況が続いているというのは、日銀の責任でもあるんですよ。なぜなら、異次元の金融緩和ということで、この五年間、金利を低くして、経済を活性化させるという目的がそれはあるでしょう。あるけれども、このことが結果的には財政健全化というものを緩くしている大きな要因になっているわけですね。まあ、黒田総裁はそのつもりは全くないとおっしゃると思います。
さて、そこで黒田総裁に明確にお答えいただきたいと思いますが、将来的には、この対名目GDP比も、下がり続けるんじゃなくて、名目金利と名目成長率が逆転をする状況が続けばまた発散に行くわけですよ。そのときに金利を低くするという圧力が出てきた場合、しかし、この場合は、もう完全に二%の物価の安定目標というのは、達成していますよね。財政が、利払いが膨れ上がるという理由の中で、日銀に対して金利を下げるという圧力が起きた場合、その場合、黒田総裁はどうされますか。
○黒田参考人 日本銀行が現在行っております長短金利操作つき量的・質的金融緩和というものは、あくまでも、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために行っているわけでございます。したがいまして、物価安定目標が達成され、経済も順調に成長している中で、現在のような大幅な金融緩和、強力な金融緩和政策がそのまま続くということは考えられないということだと思います。
ただ、米国の例を見てもおわかりいただけます
ように、やはり、中央銀行としては経済に何かショックがあるようなことは避けなければなりませんので、仮に二%が達成されて金融政策が正常化されていくという過程におきましても、かなり緩やかに、また経済金融情勢を十分勘案しながら、正常化が進められていくということになるとは思います。
○前原委員 私の質問にダイレクトにお答えいただけますか。
この財政というものを、言ってみれば、また拡大、発散基調になる、それを防ぐために政治的に金融政策というものを求められた場合に、安定的に二%を超えているわけですよ、こういう場合は。名目金利が成長率を上回っているということは。その場合に、いわゆる金融政策、つまりは金利を下げる政策を行えますかという質問をしているわけです。
○黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、日本銀行の使命というのは、日本銀行法に二つ書いてございまして、一つが物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということ、もう一つは、金融システム、金融の円滑な運営が行われるようにいわゆる金融の安定を図るという、この二つでございます。したがいまして、その二つの使命、目的に従って行うということでありまして、何か財政ファイナンスのようなことをするというようなことは、日本銀行法に定めております日本銀行の目的、使命には入っていないということでございます。
○前原委員 時間がわずかになってきましたので、最後に総理にお伺いしたいと思います。
三の表を見ていただけますか(資料3)。国民負担率。
これは去年も予算委員会で、総理とこの同じ表、数字はアップデートしますので、数字は変わってはいるわけでありますけれども、日本は相変わらず、国民負担率というのは四二・五で変わらないわけですね。
総理も恐らく同じ思いだと思いますけれども、教育に力を入れていかなきゃいけない。特にAI、人工知能というものが、これからこれを制する国が言ってみれば世界を制する、経済のみならず軍事でも同じだと思います。
これについて、この間私、ある方からショッキングな、財界の方から話を聞きました。AIエンジニアと言われる人たちの数、日本は四、五万人だそうです。アメリカはその十倍ぐらい。中国は百二十万人。インドは二百万人ぐらいいるそうです。圧倒的にこの分野での人材育成におくれをとっていると言われています。
今回、AIが大事だということで、過去最大の、前年度比三割増しの予算がAI関係でとられていますけれども、七百七十億円。しかし、アメリカは五千億円、中国は四千五百億円。これは民生を入れていませんから政府だけでありますけれども。全然桁が違う話なんですね。
先ほどの教育の話もしかり、そしてこのAIの話もしかり、さまざまな問題もしかり、歳出改革でやらなきゃいけないところはあるけれども、しかし、本当にこれからの日本の真の成長、あるいは日本のこれからの競争力強化というものを考えた場合に、こういった分野にこそもっとお金をかけなきゃいけないということになれば、租税負担率というものをそもそも見直す中で、新たな財源というものを国民の皆さん方にお願いをし、そして堂々と予算をつけていき、日本の国力を強化するという視点をしっかりと捉えないと、きょう野田前総理がおられますけれども、社会保障・税の一体改革というのはそういう意味合いがあったわけです。これを更に推し進めていく中で、国民負担率の見直しをし、しかし必要なところについては予算をとる、そういった私は方向性が必要だと思いますが、総理、どうお考えですか。
○安倍内閣総理大臣 あるべき国民負担率ということをあらかじめ決めておくことは難しいんだろうと思うわけでありますが、国民の負担を適正で負担可能な範囲にとどめ、同時に、今後とも国民の活力を損なわないことに留意をしつつ、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など、歳出削減に取り組んでいきたい、こう考えております。
そこで、昨年の選挙においては、消費税を我々は基本的には引き上げますよということをお約束し、しかしその中身について変えさせていただく、それは、教育へ投資をしていく、子育て世代に投資をしていきますということを訴えまして、選挙に臨んだところでございます。
今、前原委員がおっしゃったように、これから何が必要かということについては、国民としっかりとコミュニケーションをとりながら、あるべき負担のあり方ということは考えていく必要があるんだろう、こう考えております。
○前原委員 終わります。
(議事速記録より)