前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第196回国会 衆議院国土交通委員会2018/05/23

○前原委員 国民民主党の前原です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

国土交通委員会で石井大臣に質問するのは恐らく初めてだと思います。基本的な事柄が中心でありますので、基本的には大臣にお答えをいただきたいと思いますし、また、実務的なところはほかの方でも結構でございますので、基本的には大臣にお答えをいただきたいと思います。

まず、国交省の使命というか役割について、少し大きな話をさせていただきたいと思うわけでありますけれども、大臣がどういう思いでこの国交大臣をされているのかというところを伺っておきたいと思います。

もちろん国交省というのは、国土保全、これは海上保安庁も含めて日本の国土を守るということ、それから災害対策、災害復旧復興、また、インフラの整備、維持管理、こういった極めて重要な役割があるわけでありますけれども、国土交通省は経済官庁ですよね。記者さんたちも経済部の方が来られているということで、この国土交通省というのは経済官庁でありますが、この経済官庁としての国土交通省を大臣はどのようにお考えになっているかということをまずお聞かせをいただきたいと思います。

 

○石井国務大臣 国土交通省はさまざまな役割がございますけれども、私が一番重要な役割と考えておりますのは、何といいましても、国民の安全、安心の確保、これが第一だと思っております。

その上で、今委員から御指摘いただきましたように、経済官庁という側面もございます。国民が豊かさを感じられるような社会を築いていくために、我々としても最大限貢献をしていきたいというふうに思っております。

 

○前原委員 私は、二〇〇九年から一年間、国土交通省におりましたけれども、そのときに、ちょうどリーマン・ショックの後でして、どうやったら日本の経済がよくなるかということをいやが応でも考えなきゃいけない状況でございました。

そのときに国土交通省の中に成長戦略会議というのをつくりまして、座長が当時の武田製薬の長谷川さんにやっていただき、いろいろな有識者の方に入っていただいて成長戦略会議をつくって考え方をまとめたわけでありますけれども、この考え方、省議決定はしておりますけれども、大臣、これについての内容を御存じですか。

 

○石井国務大臣 恐縮ですが、存じ上げておりません。

 

○前原委員 ぜひまたお時間のあるときでも見ていただいたら結構なんですが、五つの成長戦略というのを決めて、一つは海洋です。そのときに、国際コンテナ戦略港湾とか国際バルク戦略港湾、あるいは拠点港湾、例えば日本海側の拠点港湾とかクルーズ拠点港湾とか、こういうものを決めた。特に集中と選択というのを行いまして、国の直轄の港が百二十六から六十六まで減る、そのかわり、減らした分を、今のような、いわゆる国際港などに指定をしたりする。

それから、二つ目は観光です。これは、インバウンドをふやすということの中でさまざまな取組を、ビザの緩和、あるいは業界との連携というものをやらせていただいた。

三番目が航空です。この航空については、羽田の国際化とか、関空、伊丹の統合の話とか、オープンスカイ、こういったもの、あとは空燃税の減免、こういうことを書かせていただいている。

四つ目が国際展開、官民連携ということで、インフラの海外輸出、パッケージ輸出とか、官民連携というのは、これはPPP、PFI、コンセッション、こういうものを進めていくということ。

それから、五つ目が住宅、都市でありまして、例えば一つの例で申し上げると、住宅でいうとサ

高住とか、それから、都市のところでいうと、REITを建てかえにも使えるようにという形に変

える。

こういったことを五つの分野で省議決定までしております。その中で、取り組まれていること、取り組まれていないこともあろうかと思いますけれども、ぜひ大臣には、経済官庁であるということと、成長を担うさまざまなエンジンが国交省の中にはあるということの中で一度お目通しをいただければと思いますし、きょうの質問は、その中から幾つか掘り下げて質問をさせていただきたい、こう思っております。

まずコンセッションについて伺いたいと思いますけれども、政府は、PPP/PFI推進アクションプランというのをつくっておりますね。このプランにおいて、空港、有料道路、水道、下水道、文教施設、公営住宅、MICE施設、クルーズターミナル、この各分野をコンセッション推進の重点分野と設定しているんです。

つまり、政府としては、今申し上げたものをコンセッション推進の重点分野に設定をしているわけでありますけれども、このうち、有料道路分野のみが特区制度を使わないとコンセッションが活用できない仕組みになっているんです、特区制度を使わないと。

しかも、この特区制度の対象は、地方道路公社の有料道に限られておりまして、例えば、NEXCOなどの、高速道路保有機構が持つ有料道路は含まれていない、こういうことになっているわけでありますが、ほかの分野と違って有料道路分野だけ、では、なぜ、政府全体としてはこの分野を重点分野に設定をしているにもかかわらず、有料道路だけが特区制度になっていて、そして保有機構に入っているものは含まれないという仕立てになっているのか、御答弁をいただきたいと思います。

 

○石川政府参考人 ちょっと経緯を説明をさせて……(前原委員「経緯はわかっています」と呼ぶ)(石井国務大臣「私がよくわかっていない」と呼ぶ)

お答えいたします。

地方道路公社が管理いたします有料道路につきましては、道路整備特別措置法に基づき、公的主体である公社に限って有料徴収を可能としているため、コンセッション方式を活用することができないとされていたところでございますが、平成二十七年の構造改革特別区域法の改正において道路整備特別措置法の特例を設けることによりまして、公社管理有料道路につきまして、公社が運営権を設定し、民間事業者が道路の運営や料金の収受を行うコンセッション方式の導入を可能としたものです。

また、全国的な措置でなく特区として導入した理由につきましては、まず、今回の特例により、愛知県道路公社におけるコンセッションを試行的に実施をいたしまして、民間の運営による効果、課題等を検証、評価しながら全国展開の是非を判断すべきものと考えたためでございます。

 

○前原委員 では、今の御答弁をいただいた続きで質問いたしますけれども、この愛知県の道路公社の案件はうまくいっていますか。そして、どれだけの、公社で行った場合よりも、より高い収益というものが得られるという想定をされていますか。

 

○石川政府参考人 お答えいたします。

愛知県道路公社におけますコンセッション事業につきましては、道路分野における初めてのコンセッション事業として、愛知県道路公社を管理者、愛知道路コンセッション株式会社を運営権者といたしまして、平成二十八年十月一日より運営が開始されているところでございます。

これまでのところ愛知県からは、公社管理時と同様の管理水準やサービス水準を維持しながら運営が行われており、また、民間ノウハウを活用したパーキングエリアにおける地域活性化の取組や、地域の魅力と交通安全をPRするイベントの開催など、意欲的に事業に取り組んでいるというふうに伺っております。

国土交通省といたしましては、愛知道路コンセッション株式会社が民間の知恵と工夫を最大限に生かしながら、効率性はもとより、利用者の安全、安心が確保され、良質なサービスが提供されることを期待しております。

 

○前原委員 局長、私の質問に答えておられないんです。つまりは、特区でやってどれぐらいの収益が上がりましたかということを聞いているわけです。私が答えます。

要は、三十年間で公社の場合は一千百六十九億円だったものが、民間に任せて千三百九十一億円の収支になるわけですよ。つまりは約二百億円ぐらい改善するわけです。二百億円、三十年間で、このコンセッション方式をやった方がプラスになるという、言ってみれば特区における試行というもの、試しに行うということについてプラスになるわけです。

それで、特区って何ですか。ここから大臣にお答えいただきたいんですけれども、特区というのは、うまくいくところが幾つか出てきたら、それを全面展開、普遍的にやっていくというのが特区の考え方ではないでしょうか。

ということになれば、愛知県のほかには、きのうレクを伺うと、千葉県が同じようなことをやろうとされているという話を聞いておりますけれども、公社は結構あるんですよ。なくなっている公社もありますけれども、解散した公社は、二年前の三月の時点なので数が変わっているかもしれませんが、地方道路公社三十二、解散されたものが十二あるわけでありますが、三十二からあるわけです。その公社が、いわばこのコンセッション方式を、先ほど局長が御答弁されたように、特例制度でやれるわけですよ。

愛知県では成功を一定程度おさめているということになれば、この特区制度を普遍的にやるということを行うべきじゃないですか。

 

○石井国務大臣 平成二十七年の構造改革特区法の改正によりまして、地方公共団体が特区計画を作成、申請して認定されることによりまして、愛知県だけではなく、全国の公社の管理道路についてコンセッション方式の活用が可能となっております。

現時点では、愛知県以外からは、公社管理道路のコンセッションの実施に関する具体的な提案はいただいておりませんけれども、この愛知県の公社の先行事例について、他の道路公社へのコンセッション事業の適用拡大を図るために、情報提供を始めとした横展開を積極的に図ってまいりたいと考えております。

 

○前原委員 今大臣が御答弁された中身を私なりに解釈しますと、愛知県はうまくいった、うまくいった例があるんだから、ほかの地方道路公社も、こういう仕組みがありますからできるだけ使ってくださいということを情報提供していこう、こういう御答弁だったと思うんです。もちろんタイムスケジュールはあると思います、どのぐらいの試行期間を置くのかということはあると思うんですが、特区というのは、うまくいったらこれは全面展開していくというのが特区の私は役割だと思いますので、今まさに大臣が御答弁されたように、情報提供していくということは、前向きに考えておられるということであれば、全体がいわゆるコンセッションが道路においてもできるようにということを考えるべきではないかという質問をさせていただいております。いかがですか。

 

○石井国務大臣 愛知県の事例をもう少しよく勉強しなければいけないというふうに思っています。

愛知県の場合、この道路公社の場合は、ある意味でドル箱路線といいますか、非常に収益の高い、上がる路線があって、全体八つの路線をコンセッションをやれているという面がございます。

各県の道路公社では必ずしもそういう路線があるとは限りませんので、どういう方式にしたらいいのか、何というんでしょうか、つまみ食いだけされるということになりますとちょっと困る面もございますので、もう少しよく愛知県の事例を研究して横展開をしていきたいというふうに思っています。

 

○前原委員 おっしゃることは理解はできるんです。

そうなると、実はここ、本丸があるんですよ、この話は。つまりは地方公社じゃないんです。NEXCOなんです。あるいは首都高であり、阪神であり、本四であり、こういったいわゆる高速道路の償還主義というものを見直して、そして、ある意味での恒久有料です。こういった形にしていくということに、この話を突き詰めていけばつながるんではないかという話なんですね。それはちょっと後で質問させていただきます。

その質問をする上で一つおもしろい事例があるので、紹介させてもらいたいと思います。

福岡県の八木山バイパスというのがございますけれども、建設費の償還を終えて無料化したんです、この有料道路を。そしたら交通量が倍増して、朝夕を中心に渋滞が頻発して、人身事故は三倍になった。つまり、無料化してこういう形になったんです。これはまずいということで、最近一年では三時間から七時間の通行どめが六回発生しているということで、福岡県などが四車線化を要望している、こういうことなんです。(発言する者あり)よく御存じで、福岡選出の議員さんがお二人並んで、鳩山さんもおられるから三人おられた。(発言する者あり)四人おられる。皆さんおわかりだと思いますけれども、飯塚とあれは篠栗でしたかね、そのところを結んでいるところでありますけれども……(発言する者あり)えっ、鬼木さんの選挙区ですか。(発言する者あり)宮内さん。鬼木さんじゃなかった、失礼しました。

何を言おうとしていたのか忘れました。そうそう、ですから、償還が終わって、無償化したら混雑をして事故が多発する、渋滞ができるということ、だから無償化どうなのかということを言っているんじゃないんです。これからこの道路は四車線化して、片側一車線を二車線化して、そしてもう一遍有料道路に戻そう、こういう考え方をされているわけです。

それで、今の法律の仕組みというのはどうなっているかというと、現行制度は再有料化には建設投資を必要とする、したがって、この八木山バイパスも車線の拡幅の投資を行うということで、それをすると再有料化ができる、こういうことになるわけであります。

かように、償還が終わっても維持管理は必要だし、お金がかかるし、老朽化対策が必要だし。そして、これは、高速道路の無償化、我々の政権のときに無償化の議論にもあったわけですけれども、無償化するところと有料化で残しておくべきところというのは、やはり、お金を払って混雑したら話にならない、あるいは、無料化して混雑したら高速道路の役割を果たさないということの中でどう峻別するかという社会実験をやっていたわけでありますけれども、こういう形で考えると、要は、恒久有料ということをしっかりと今後、地方公社だけではなくて、全体的にも考えるということが必要になってくると考えるわけでありますが、大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

 

○石井国務大臣 我が国の高速道路については、厳しい財政状況のもと、早期に道路を整備するために、建設や維持管理費を料金収入で賄う有料道路制度を導入しておりまして、原則は、償還期間満了後は無料開放することとしております。

こうした中、老朽化が進む高速道路の更新について計画的に実施をするため、平成二十六年に道路法を改正をいたしまして、料金徴収年限を十五年間延長しまして二〇六五年までとしたところでありますが、その際の道路法改正時の附帯決議におきましては、償還満了後においても維持管理費用について利用者負担とすることを検討とされております。

また、社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会におきましても、今後の検討課題といたしまして、今後の維持修繕・更新に係る財源の確保については、更新事業の進捗や技術の進展等も踏まえつつ、税金による負担との関係も含め、償還満了後の料金徴収や大型車対距離課金の導入などについて、引き続き精力的に検討すべきとされているところでございます。

こういった料金徴収期間のあり方については、今御紹介したような提言等もございますので、私どもとしては、引き続き議論を深めていきたいというふうに考えております。

 

○前原委員 そういう議論はあったということをわかった上で、大臣がどのように、つまり政府として、繰り返し申し上げますけれども、コンセッションをこの分野においては進めていくということの一つが道路なんです。そして、特区で愛知はうまくいっている、そしてほかのところも手を挙げてもらいたい。しかし本丸は、やはり全国をカバーしている高速道路なんです。

先ほど大臣がおっしゃったように、まず、民営化するときに三十年を四十五年に延ばしたわけです。そして今御答弁されたように、平成二十六年に、このときに償還期間をまた十五年延ばしているわけです。ということは、平成七十七年まで償還期間をどんどん延ばしていっているわけです。

では、それは延ばし続ければいいだろう、固定資産税の問題もあるかもしれない、そういうのはあるかもしれませんけれども、やはり、維持や管理、そして老朽化対策、そして、先ほどの八木山バイパスの例も含めて、無償化することによってより混雑をし、その道路の優位性というものが失われる場合もあるというようなことを考えたときに、この高速道路のいわゆる恒久有料化、それをコンセッション方式でやるかどうかは別にして、そういうことはしっかりとやはり検討課題にして、大臣のリーダーシップで、そういうものについて附帯決議等もあるのであれば、あるいはそういった提言があるのであれば、考えますというようなことをぜひ私は御答弁をいただきたいと思いますが、いかがですか。

 

○石井国務大臣 道路法を改正したばかりでございますので、この償還期間をまた直ちに変えるというのは事実上は難しいかと思いますが、今御指摘いただいたことは非常に重要なことと認識をしております。私どもとしても、しっかりと議論を深めていきたいというふうに思っております。

 

○前原委員 ぜひ前向きに御検討いただければというふうに思います。

もう一つの分野、水の分野で一つ、二つ質問をさせていただきたいわけであります。

東日本大震災の後、あれは五月、連休の後だったと思いますけれども、あれは、三月十一日に地震が起きて、五月、ゴールデンウイークの後だったと思いますけれども、その前にも何度か被災地にも足を運ばせていただいておりましたけれども、仙台に行きまして村井知事とお話をして、仙台空港と、それから宮城県の海岸もいわゆる上下水道が壊滅的な打撃を受けているということの中で、特に小さな町では技術者も亡くなられている、犠牲になられているということも含めて、宮城県が広域的な水道のいわゆるグループをつくって、空港とそれから上下水道については、いわゆる公設民営というコンセッションでやられればいかがですかという提案をさせていただきました。

ちょうど関空、伊丹の統合をやって、それで第一号としてこういうコンセッションのやり方というのが一つ進みつつあるところでありましたので、そういう提案をさせていただきました。

そのときに、結果的には空港についてはコンセッションをやられるということだったんですが、水道については、これは熱心に検討されたんですよ、検討されたけれどもなかなかできなかった。平成二十九年、去年ですか、まだ宮城県はデューデリでやられているんです、これについて。

この国会に、国会はあとわずかになりましたけれども、改正水道法というのが出てまいります。この水道というものも、後で質問をさせていただく海外展開ということを考えれば、この分野においてコンセッションというものをしっかりと定着させるということも大事だと思いますが、この改正水道法というものが前提になれば、宮城県や、あるいはほかの自治体というものは、浜松なんかもこれは前向きに考えておられるという話を仄聞したことがありますけれども、この水道のコンセッションというのは実現できるんですか。どうお考えですか。

 

○石崎政府参考人 御指摘いただきましたとおり、内閣府の方でこのPPP、PFIにつきましてアクションプランを定めて、上下水道、上水道、下水道双方とも、重点分野として推薦をさせていただいてございます。

現行の水道法に基づきましても、水道をコンセッション方式でやるというのは法制としても可能でございますし、また、御指摘いただいた宮城県においても、上水道、下水道に関して、現在、積極的な検討をしていただいてございます。

また、今回、水道法が改正されますと、管理者が市町村のまま、そのままコンセッションをするということができますので、一歩またやりやすくなるという面がございます。

そういう面でも、今回、コンセッションの方で水道法の改正をかけていると聞いてございます。

 

○前原委員 今お答えいただいたとおり、改正水道法でありますと、今だと自治体が、言ってみれば、この水道を持つのか、あるいは民間が持つのか、二者択一になっちゃうわけです。だから、今もできることはできるんですよ。しかし、天変地異などの起きやすいこの日本列島において全体のリスクをなかなかとれない、こういうことなんです。

それで、実際に自治体が持ちながらも、その運営について民間に委託ができるということになればかなりプラスになるというふうに思うわけでありますが、私が伺いたかったのは、検討されている宮城県とかあるいは浜松市というのは、その改正水道法、つまりは、今の水道法ではできなくはないですけれども、それだけリスクを負えないということを多分おっしゃっていると思うんです。これは議論されていると思うんです、国交省さんの方でも。

その際に、改正水道法だったら全て、全てとはちょっと言い過ぎかもしれませんが、いわゆる自治体が逡巡していることについてクリアできるのかどうなのか。その点について御答弁いただけますか。

 

○石崎政府参考人 基本的に、コンセッション、現行水道法でやる場合にも、公共団体があくまで所有権を持って、最終的な責任を持った状態で運営を民営に任せるという方式でございます。その任せる分野、分担をどのくらいにするかというような考え方の中で改正水道法ができた方が、より自由度が広がるという面でございます。

ただ、いずれにしましても、それにはどういう形で公と民が役割分担を持つかというのは、それぞれの公共団体がそれぞれの特性に応じて判断すべきものでございます。水道法ができた方がよりその自由度が上がるといった意味で宮城県等も改正を期待しているというふうに聞いてございます。

 

○前原委員 石崎さん、私の認識では、現在の水道法は、自治体の持っている水道事業に関する認可を取り消して、そして民間に移すという、法的には完全に責任が自治体から民間に移る形でしかコンセッションが活用できないという認識なんです、私は。今の御答弁はちょっと違うんですけれども、そこはまた、よりお詳しいのはそちらの方だと思いますので、要は私が申し上げたいのは、水道というものもコンセッションを広げていくためにこの改正水道法で事足りるのか。つまりは、浜松市やあるいは宮城県といったところが、考えておられるところが改正水道法でそれがクリアできるものでなければいけない。

そういう問題意識を持っているということで私は質問させていただきましたので、水道も広めていくという意味においては、そういったものを担保されているという確認をぜひしていただきたいという意味で質問をしたということでありますが、大臣、何かありますか。

 

○石井国務大臣 恐縮ですが、水道は厚労省の方の所管なものですから、私どもは下水道については申し上げられるのですけれども、実は、下水道も本年四月から浜松市において、コンセッション、事業者による事業運営が開始をされまして、そのほか、それに続いて今検討をしている自治体としましては、奈良市ですとか、神奈川の三浦市ですとか、高知県の須崎市、山口県宇部市、宮城県村田町の五つの市、町がございます。

ただ、まだ下水道のコンセッション、先行事例が少なく、各自治体における理解やノウハウが不足してございますので、私どもは、先行事例の案件形成に向けてガイドラインの策定を行ったり、あるいは先進的な事例の共有を図る、そのほか、コンセッション方式を導入しようとする地方公共団体に対して導入可能性調査や施設の資産評価に係る財政的支援などを行っておりまして、今後とも必要な支援を実施をしてまいりたいと思っております。

 

○前原委員 役所の所管でいうと水道は厚労省であったり農水省であったり、あるいは下水道は違うというのはあるかもしれない、下水道もほかのところもございますが。海外に展開するとか、あるいは自治体においては一括してやりたいというところもあろうと思いますので、私が申し上げたのは、コンセッションというやり方だと、その分、民間の知恵、資金を活用して、国民に対するサービスが費用面でも中身においても向上する、それをしっかりと担保をしていただきたいということで質問をしているということで、ぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。

次の質問に移らせていただきたいというふうに思いますが、飛ばすことで、答弁のために来ていただいている方はちょっと申しわけない面も出てくるかもしれませんが、次はライドシェアについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

タクシー業界がおっしゃっているように、アメリカなどで行われているウーバーという仕組みをそのまま日本に持ってきてライドシェアをやるということについては、私は反対であります。

他方で、幾つかの点で、全くノーですよということで抗し切れない部分があるんではないかという面があり、そこをどううまくハンドリングしていくかということが大事なことではないかと思って、質問をさせていただきたいというふうに思うわけであります。

私の選挙区は京都の市内ではありますけれども、北半分が、いわゆる山間地の限界集落が点在をしているところでありまして、京都市内なんですよ、京都市内なんですが、京都市内の一番北部に広河原という場所があるのでありますけれども、その広河原まで行っている京都バスは一日三往復しかありません。三往復だけで、町中に出るのに、バスで町中に出たことがありますが、車でも一時間半ぐらいかかる。タクシーを呼んでも一時間半、来てもらうのにかかる。こういうようなところです。久多というところは、北ではないんですけれども、もっとなかなかタクシーとかが来てもらい

にくいところなんです。

しかも、御承知のとおりそういった限界集落というのは、住まれている方々はほとんど御高齢の方々であります。そういう方々が、例えば病院に行きたいとか、あるいは買物に行きたいとかいう場合において、公共交通機関であるバスというのは三往復しかない。それから、タクシーを呼んでもなかなか来てもらえないし、むちゃくちゃ高い、値段的に。

こういうことを考えたときに、ライドシェアという考え方を、むしろ私は地元のタクシー会社の方々に、しっかりと取り入れるようなことをやった方がいいんじゃないかということを申し上げているわけです。これについて大臣の御答弁をいただきたいことが一つ。

もう一つは、タクシー業界のみならず、人手不足というのは非常に今深刻化しておりますし、タクシーの運転手さんの高齢化がかなり進んでいると思うんです。タクシーに乗ると、大丈夫かというのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、七十歳以上の方々もかなり多いですし、きのう国交省のレクを伺ったときには、ドライバーの平均年齢が五十八歳ぐらいじゃないか、こういうお答えもございました。

このいわゆる労働者不足そして高齢化、それは自動運転が確立をすればまた違う話になってくるかもしれませんが、それはまだ私は先の話だと思うんです。そういった、今申し上げた二つの要素、過疎地における、特に高齢者の足を考えたときにどうするのかということと、それから、ドライバーの数が少なくなり、そして少子高齢化が進んでいるということを考えたときに、単にライドシェアはだめだというようなことで果たして済むのかという問題意識を持っていますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

 

○石井国務大臣 タクシーは、ドア・ツー・ドアの輸送を提供できる公共交通機関として、住民の日常生活の足の確保に重要な役割を担っております。

タクシー事業者が配車アプリを活用して、地域住民に利用しやすく、効率的に配車が行えるサービス提供を行うことは、地域公共交通の利便性向上に資するものであると考えております。主要な配車アプリの導入状況を見ますと、全国各地のタクシー事業者が、アプリによる配車への対応を既に始めているところでございます。

また、地域住民の日常生活の足の確保のためのタクシー事業者の取組としましては、通常のタクシーサービスを提供することに加えまして、地方公共団体と連携をして、乗り合いタクシーの運行、いわゆるデマンドタクシーですね、の運行を積極的に行っております。平成二十八年度末時点で、全国で四千百七十四コースの乗り合いタクシーが運行されております。

タクシー事業者は、継続的に地方公共団体を訪問されて、地域のニーズに応じたタクシーサービスの提案を行い、地域の移動手段の確保に更に貢献するよう取り組んでいただいておりますので、国土交通省といたしましては、地方運輸局を通じまして、タクシー事業者と地方公共団体との連携強化についてしっかりと支援していきたいと考えております。

 

○前原委員 アプリの話をされました。後で質問しようと思っていたことですが、インバウンドがふえてきて、そして、海外から日本のタクシーの配車というものを行えないのかということで、韓国あるいは中国、それからウーバー、こういった、韓国はカカオですか、それから中国は滴滴、そしてウーバー、こういったところが大手のタクシー会社と協力しながら、今おっしゃったようなアプリを使っての配車サービスというものをやっているということもあわせて、私はそういったものがどんどん進んでいくということについて、むしろ、タクシー業界が全く努力されていないということを申し上げるつもりはありませんが、ただ、私は一番初めに伺いたかったのは、観光客というのは二の次だと言うつもりはありませんが、大事なことですので、インバウンドをふやすということは。ただ、生活の足として今おっしゃった乗り合いのようなものというのは、実際、先ほど私が申し上げた地域ではないんですよ。ないですし、そしてまた、タクシーもそんな山の中は走っていないわけです。配車アプリを使ったところで、そんなすぐ近くにタクシーなんかないわけですよ。

したがって、白タクを私は認めるということについてはもちろんそれは絶対反対なわけでありますけれども、タクシー会社が地域住民と協力をしながら、例えば契約を結んで、そして乗り合いみたいなものをしていくというような形で、少し違った協力の仕方というものを、その地域のタクシー会社が中心となってやるということについて後押しをするということがあってもいいんじゃないかと思うわけです。

先ほど大臣のおっしゃったことがいろいろな地域で取り組まれているということは私も認識をしておりますけれども、それにはまらない地域というのがあるんです。そういった地域においては、地域住民に相乗りをさせてもらうというようなことがやはりあってしかるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点についていかがかということを質問させていただきます。

 

○石井国務大臣 先ほどの答弁で御紹介させていただいた以外にも、例えば、自家用有償旅客運送ですとか、あるいは、いわゆるボランティアでやる分については、その実費等を支払うことはそれは許されていますので、その場合を、どの程度が実質的なお礼として認められるのかとか、そういったところについて必要な枠組みの整理も行いながら、このタクシーが、あるいは自動車が、公共交通、バスやタクシーの少ない地域でいかに地域の足を支えていくようになるか、いろいろなケースで我々も勉強していきたいというふうに考えています。

 

○前原委員 国交省には地方運輸局がありますし、地域に応じたニーズ、問題点というのは上がってくると思いますので、そういった多様な取組というものをしっかりとそういう出先機関で頑張っていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

では、最後に一問、質問をさせていただきたいと思いますが、いわゆるインバウンド増加に伴う違法行為です。特に京都なんかは、白タクというのが、関空を始め大変散見をされていて、警察も、あるいは国交省さんも頑張っていただいていると思うんですが、検挙数が極めて少ない。恐らく氷山の一角にもなっていないのではないかと私は皮膚感覚で思うわけでありますけれども、むしろこういったものを徹底的に取り締まるということが業界に対するサポートになるというふうに思うわけでありますけれども、現状をどう認識をされていて、そしてさらに、私は氷山の一角だと思いますよ、今検挙できているのは。氷山の一角だと思いますけれども、こういったものについて更にしっかり取り締まるためにはどうしたらいいかということを、大臣、それから警察から答弁をいただきたいと思います。

 

○石井国務大臣 御指摘の訪日中国人に対する白タク行為は、道路運送法違反であり、利用者の安全、安心の観点から問題がございます。

国土交通省では、このような白タク対策につきまして、警察庁、法務省、業界団体等と連携をし、各地で取締りを強化するとともに、中国語等での注意喚起のチラシの作成、配布を行っております。

本年は、訪日中国人が増加をいたします二月十五日から二十一日の春節の休暇に合わせまして、取締りや啓発活動を強化をいたしました。

また、昨年、中国政府に対しまして、中国国内における制度の周知やマッチング事業者への指導につき協力要請を行いました。その後、本年の春節期間前に、在京中国大使館のホームページにおいて二回にわたり、訪日中国人に対し、営業許可がない車両は安全上の問題が無視できないため、利用しないよう注意喚起がなされたところでございます。

これらの対策を行う中で、これは報道等でありますが、昨年は三件七名検挙、本年は五月までの間で八件十一名、道路運送法違反等の疑いで検挙されたと承知をしております。

引き続き、関係機関と連携をしてしっかり対策に取り組んでいきたいと思っております。

 

○西村委員長 長谷川審議官。

既に時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

 

○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

御指摘ございましたいわゆる中国資金の白タク行為につきましては、道路運送法に違反する犯罪でございまして、利用者の安全確保の観点からも問題があるものと認識してございます。

警察におきましては、こうした白タク行為に関連する情報の収集ですとか、あるいはその検挙、これに努めてまいるとともに、国土交通省等、関係機関、団体等との連携によりまして、その排除に向けた諸対策を引き続き推進してまいりたいと考えております。

 

○前原委員 終わります。ありがとうございました。

一覧へ戻る


前原誠司Facebookページ
前原誠司事務所 twitter
10MTVオピニオンPremium