○前原委員 民主党の前原でございます。
まず、きょうは消費増税についてお話をしていきたいというふうに思っております。
安倍総理に二つほどまず確認をさせていただきたいと思います。午前中の稲田さんの質問にも御答弁をされていましたが、私の質問にもお答えをいただきたいと思います。 二〇一七年四月の八%から一〇%への消費税の引き上げということは、これは、百年に一度と言われるリーマン・ショック、ああいうようなことがない限りは必ずやるということ、そのことでよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 いわばリーマン・ショック級の国際的な大きな経済的なダメージがある出来事があるということを、これは百年に一度かどうかはわかりませんけれども、そういう事態になったと我々が判断するとき以外は、基本的には引き上げを行っていくというのが我々の考え方でございます。
○前原委員 ちょっと気になったんですが、「基本的には」というのは、「基本的」というのがつくと例外になっちゃうんですけれども、今の「基本的に」ということは、リーマン・ショック級のものがない限りは上げるという意味で「基本的」とおっしゃったのならそれはそれで結構ですが。
○安倍内閣総理大臣 まさにそういう意味で申し上げたところでございます。
○前原委員 そして、では、軽減税率というものが今与党の中で議論をされていると伺っておりますけれども、二〇一七年四月に、よっぽどのことがない限りは消費税を一〇%に上げる、そして軽減税率はそのときに一緒に導入するということが与党の方針として固まっているということでよろしいですか。
○麻生国務大臣 今御質問のありました軽減税率の制度を導入するということにつきましては、平成二十七年度の与党税制改正の大綱におきまして、「関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率一〇%時に導入する。」と書いてあります。また、「平成二十九年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進める。」という二点が一番きちんと書いてあるところなんですが、目下、今、結論を得るべく検討が進められていると承知しておりますので、私どもといたしましても、与党の検討が円滑に進むよう適切に対応して、引き続き与党のなさる議論を見守ってまいりたいというところであります。
○前原委員 総理にお答えをいただきたいんですね。自民党総裁として、自民党の税調会長をかえられました。野田毅先生という方は立派な方だと私は思いますけれども、その方をかえて、宮沢税調会長になったわけですね。専ら言われているのは、公明党との議論を加速化させるということだというふうに言われておりますが、総理の口から私は聞きたいんです。
二〇一七年四月に消費税を上げるときには軽減税率は同時に導入するという前提で宮沢税調会長に指示をされているのかどうなのか、自民党総裁としてお答えをいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 消費税の軽減税率制度については、昨年末の自民党の税制改正大綱、そしてまた選挙公約及び連立政権合意がございまして、その中において、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率一〇%時に導入する、そして、平成二十九年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について早急に具体的な検討を進めるとされているわけでございまして、これにのっとって作業を進めるように指示をしているところでございます。
○前原委員 ということは、総理、先ほど山井さんが臨時国会をということでありましたが、来年の通常国会においては、これは後で財務大臣に質問させていただきますけれども、仮に軽減税率を導入するということになりましたら、かなり作業が要りますよね。そうなるということは、来年の通常国会に、秋の臨時国会では間に合いませんから、四月に導入するということになれば。ということは、通常国会に関連の法案を出すということで指示をし、進めているということでよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 現在、まだ税調において、そしてまた与党において議論の過程にございますから、国会での審議日程についてまでここで申し上げるのはまだ少し早いのではないかと思いますが、あらゆる可能性について検討をしているところでございます。
○前原委員 なぜこの質問をしたかというと、きょうの本題の一つなんですね。
三党合意というのがありました。我が党が政権のときに、自民党、公明党との間で三党合意を行って、そして社会保障・税の一体改革を行ったわけです。それについては、国交大臣になられた石井大臣が政調会長として真摯に御対応いただいたということで、私もそのとき政調会長、カウンターパートでありましたので、改めて心から御礼を申し上げたいと思っております。
そのときに、法律には、税制抜本改革法第七条の一項に、低所得者対策、配慮という項目がありますね。これについては、幾つかのいわゆる、言ってみれば選択肢を設けていたわけです。総合合算制度、給付つき税額控除、そして軽減税率、これを言ってみれば低所得者対策ということにしたわけであります。
総理にお答えいただきたいんです。では、なぜこの中から軽減税率を選んだのか、その理由を教えていただけませんか。
○安倍内閣総理大臣 現在の議論の状況としては、これまでも、自民党、公明党において低所得者対策として軽減税率の議論が続けられてきたところでありまして、平成二十九年四月の一〇%への引き上げ時に軽減税率の導入が間に合うよう、中小事業者の負担にも配慮しつつ、両党間でしっかりと検討し、具体案を取りまとめてもらいたいというふうに考えております。
なお、その中で、今、選択肢の一つ、これもあるではないかということで挙げられた給付つき税額控除については、所得の把握、資産の把握の問題や執行面での対応の可能性等の課題もあるものと承知をしておりますが、いずれにせよ、政府としても、与党における軽減税率制度の導入に向けた検討が円滑に進むように適切に対応してまいりたい、こう考えているところでございます。
○前原委員 私の質問はなぜ軽減税率を選んだのかという質問で、確認です。今総理は、いわゆる給付つき税額控除については、執行面での所得の把握等に問題があり、こういうことで軽減税率を選ばれたという御答弁と解してよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 課題としてそういう課題があるということを申し上げたわけであります。この選択肢の中からどれを選ぶかは、これはまさに与党における協議でもあるわけでございまして、その与党における協議の中におきましては、先ほど申し上げました連立与党の合意あるいは選挙における公約等もあるわけでございます。そうしたことも鑑みながら、先ほど申し上げたような指示をしたところでございます。
○前原委員 今の御答弁は、若干、天に唾する話なんです。
なぜかというと、所得の把握に問題ありということになれば、今から導入しようとしているマイナンバーに、みずから政府が問題を抱えている、つまりは、これの実施について問題を認識しているということの裏返しにほかならないんですね。
つまりは、マイナンバーというのは皆さん心配していますよ、国民のみんなが。その中で、給付つき税額控除をやるということになればマイナンバーの活用が必要でありましょう。そうすると、その所得の把握にマイナンバーが問題あるということを総理みずからおっしゃったことになりますよ。
○安倍内閣総理大臣 今私が申し上げたのは、問題があるということではなくて課題があるということを申し上げたわけでありまして、課題があると私の言ったことは、まさに課題があると申し上げたわけでありまして、給付つき税額控除については、軽減税率よりも低所得層に絞った効率的な支援が可能となるとの議論がある一方で、先ほど申し上げましたのは、まさに所得の把握や資産の把握といったそうした執行面での可能性の課題があるわけでございまして、そうしたまさに課題として申し上げているわけでありまして、これがあるからできないということではなくて、そういう検討が必要であるということを申し上げているわけでございます。
○前原委員 課題と問題の言葉の違いというのはあるかもしれませんが、では、もう一点から指摘しましょう。
財務省が、日本型軽減税率制度、還付ポイント制度というのを出されましたね。何かこれはいつかお蔵入りをしてしまって、国会が開催されていませんでしたけれども、それを議論するすべもなく、何かお蔵入りになりましたけれども。
これはマイナンバー制度を前提とした制度設計ではなかったんですか。つまりは、財務省の日本型軽減税率の制度、還付ポイント制度はマイナンバーを前提としたものじゃなかったんですか、財務大臣。
○麻生国務大臣 マイナンバーが法律的に通るであろうという前提で検討させていただいたというのは事実であります。
○前原委員 そうなんですよ。
整理いたしましょう。つまりは、マイナンバー制度に問題があると言っていない、課題だとおっしゃった。では、課題は克服すればいい。マイナンバー制度をしっかりと国民が理解をし、安心をして、そしてまさに正確な資産と所得の把握をできる、そして社会保障や税についての信頼できる国家をつくるための礎ですから、これは課題を克服しなきゃいけないんです。そして同時に、財務省が出した日本型軽減税率制度、還付ポイント制度というのはマイナンバー制度を前提としたものだったんですね。
さて、であれば、先ほどの質問に戻ると、軽減税率とそしていわゆる給付つき税額控除のどちらが有効なのかということを考えたときに、まさに総理が先ほど御答弁されたように、給付つき税額控除の方が、所得の低い方々に限って行うものであるので、より効率的であるということは総理みずからおっしゃいましたよね。
であれば、もし低所得者対策をするんだったら、何で、課題を克服して給付つき税額控除にしないんですか、軽減税率の導入なんですか。御答弁ください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおり、それは同じ認識だと思いますが、まさに所得の把握や資産の把握、これについては、先ほどおっしゃったように問題と言ってもいいんですが、そうした問題を、執行面においては課題として存在をするわけでありまして、そうした課題をどのように対処していくかということはあります。
その中において、先ほど申し上げましたように、給付つき税額控除については、これは私の認識として申し上げているわけでございますが、あとは、党において、党の税調において、方法論として、今どうしていくべきかということについて議論をしているところであって、その中において軽減税率制度の検討が進められているところであるということでございます。
○前原委員 まず左上(配布資料)をごらんいただきますと、軽減税率というもの、これは、緑の折れ線グラフが消費税一〇%、そして青の線が五%ということであります。八%にもうなっているんですけれども、一応五%で表はつくらせていただいたんですが、例えば、酒とか外食を除く食料や書籍、出版物というものを軽減税率にした場合、緑の線から青い線に下がるだけなんですね。つまりは、右に行けば行くほど所得の多い方々でありますけれども、多い方々も一緒に下がるんです、軽減税率は。
それに対して、オレンジ、赤く見えている線は、これは給付つき税額控除、あるいはその前提のいわゆる総合合算制度と言ってもいいでしょう。所得を限って、それ以下の方々に対して集中的にやるので、総理がおっしゃったように、これの方が効率的なんです。 つまりは、逆進性対策とか低所得者対策については、軽減税率よりもこの給付つき税額控除、あるいはその前提の総合合算制度の方が効率がいいんですよ。
右(配布資料)を見ていただきましょう。
右は、これは「OECD二十か国における軽減税率の再分配効果」ということなんですが、これは青い線がいわゆる軽減税率によってどのぐらいのお金が返ってくるかということを示したもので、上は全体です、つまり全体が軽減税率になった場合。下は食料品がなった場合でありますけれども、どちらも、なだらかか急かの差はありますけれども、右に行けば行くほど所得が多いという意味ですね。つまりは、軽減税率は、所得の多い人ほど減税になるんです、絶対額として。
全く逆進性対策にならないとは言いませんよ。この右の折れ線グラフに書いてあるように、右肩下がりになっているということは、ある程度の逆進性対策になっているわけですね。しかし、左側に書いてあるような、所得を限って給付つき税額控除をするというよりは、明らかに軽減税率というのは効果が薄い、あるいはお金をかける割合として極めて非効率だということでありますけれども、先ほど、課題は克服したらいいと。だって、マイナンバー制度を導入されることですから、課題は克服すべきですよ。
であれば、なぜ、もう一度同じ質問をします。何で軽減税率なんですか。給付つき税額控除じゃ何でないんですか。何で軽減税率なんですか。その理由がわからない。
○安倍内閣総理大臣 これは、まさに、それぞれ一長一短が私はあるんだろうと思います。
しかし、確かに、給付つき税額控除については、低所得者に対して効率的に給付が行くということにはなるわけでございます。低所得者対応にはなる。他方、課題があるということも申し上げたわけでございます。
そしてまた、複数税率について、これは、いわば所得が多い人ほど軽減の恩恵をこうむる。これは、どういう品目にするかということにもよってくるんだろう、どれぐらいのものに限っていくかということについてもこれは影響を受けるんだろうと思うわけでございますが、そうしたことも含めて、今与党の方において御議論をいただいているところでございます。
○前原委員 給付つき税額控除は一長一短があるとおっしゃいました。
百歩譲って、私は、マイナンバー制度を導入したら所得の把握、資産の把握ができるからデメリットはない、絶対に低所得者対策、むしろ軽減税率よりもよっぽど給付つき税額控除の方がいいということは改めて申し上げたいと思いますが、むしろ軽減税率のデメリットというのも多いんですね。
それは、国民からすると、軽減税率にしてもらう方が買うとき安いからそれはいいわというのは、それはそうですけれども、日本の財政状況と、あと、お話をするように、先ほど山井さんや岡田代表がおっしゃった話をまた私も同じようにさせていただきますけれども、日本が抱えている課題を考えたときに、デメリットが多いんじゃないか。
つまりは、軽減税率を導入した場合には、まず一つは、財源に穴があきますよね、財務大臣(配布資料)。全ての飲食料品でやった場合、二%で一・四兆円ですよ。酒類を除いた場合で一・三兆円。そして、生鮮食品だけだったら三千四百億、お米だけだったら四百億、こういうことですよね。穴があくということが一つ。
二つ目、事業者がすごく大変ですよね、中小企業事業者は特に。
財務大臣、一言でお答えいただきたいんですが、軽減税率を導入すると、税額票、インボイスというのは必要になりますよね。
○麻生国務大臣 一言は難しいんですが。インボイス、いろいろなものがありますが、ユーロ、欧州みたいな形のインボイスということを考えておられるんだったら、手間がかかることは確かです。
○前原委員 どういうものを導入されるかということはまさに麻生財務大臣がお決めになることだというふうに思いますが、いずれにしても、中小企業者からすると煩瑣になるということですね。
穴があく、手続的に難しい、そして、申し上げたように、非効率的なんです、軽減税率というのは。
さて、違う観点からお話をしたいというふうに思うんですが、これ(配布資料)は実は前々回の予算委員会で質問をさせていただいたときに使ったパネルなんです。総理、ちょっとこれをごらんいただけますか。五です。左上に五と書いてあるもの。
年金生活者というのは、今、三千九百五十万人おられるんですね。そのうち、年金収入のみで暮らしている方は六二%です。その方々で、夫婦世帯の方とか、あるいは単身世帯の方々とか、同居世帯の方々がおられるんですが、夫婦世帯の方々は、かつかつ黒字。しかし、貯蓄額は、三百万円未満の方が三二%。単身世帯でいうと、男子の方も女子の方も月々赤字ですよ。つまり、年金では生活できない。そして、三百万円未満の貯蓄の方が四四%、四三%、それぞれおられる。
左上をもう一度見ていただくと、約四千万人のうち一千万人以上の方が基礎年金だけで生活しているということですね。
総理、基礎年金というのは満額四十年間払ってどのぐらいかは御存じですよね。大体六万五千円ぐらい。二十五年からもらえるということになったら、二十五年しか払っていない人は、八分の五ですから、四万円ですよね、大体。そういうかつかつの生活をしている人がまさにこれだけおられるわけです。
これ(配布資料)が、年金生活者の将来の推計なんですね。左上、六ページ。今、約四千万人の年金生活者がおられますけれども、この先、年金生活者はどんどんどんどんふえていきます。そして他方で、賃金生活者はどんどんどんどん減っていくんですね。減っていく。
安倍総理は、私からすると、賃金を上げろということについて賛否両論ありますけれども、デフレから脱却する、内部留保がたまった、円安で株は上がっているし、であれば賃金を企業に上げさせるということについて、わからないでもありません。それは総理がやることかどうかということについては私は意見が異なりますが、それはわからないでもない。
でも、総理、年金生活者が賃金生活者と二〇三〇年ごろには一緒になるんですね。となると、経済でデフレ脱却をするんだ、そして賃金を上げろ、賃金を上げろということを言っていても、経済活動をする半分ぐらいの方が年金生活者になってくるわけですよ、これから。
となると、全体で六二%の方が年金だけで生活をされている、一千万人以上の方々がまさに基礎年金だけで生活されている、そして、これからマクロ経済スライドがフルで発動されて〇・九ポイントずつ、どんどんどんどん年金は目減りしていきますよね。これで本当にこれから高齢者の方々は生活できていくと思われますか。そして、この年金制度はこのままでいいと思われますか。その点についてお答えいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 マクロ経済スライドについて、〇・九%、これはフルに効力を発揮するというふうにおっしゃった意味は、まさに、デフレ下においてはデフレスライドは長い間させてきませんでしたから、このマクロ経済スライドは機能していなかったのでありますが、インフレ期になって〇・九というものがだんだんきいてくるわけでございますが、しかし、それによって年金財政は均衡するというのがこの仕組みでございますから、このマクロ経済スライドがきく経済状況をつくっていかないと年金財政自体がこれは危うくなっていくということではないか。ですから、それは、そういう状況をつくりつつあるわけであります。
他方、今、前原委員がおっしゃったように、デフレから脱却していけば、ある程度物価が上がっていくわけであります。しかし、同時に、それには〇・九まではついていかないというのは、実際そういう仕組みにすることによって年金財政を持続可能なものにしたわけでございまして、これは御理解をいただきたいと思います。
他方、年金の支給額で全て賄えるかということでございますが、国民年金につきましては、やはり全て賄う額を国民年金で確保していくということは今でも難しいわけでありまして、それまで、やはりある程度の蓄えはお願いをしますよということでございます。
他方、厚生年金の方は、これはいわば、それまでに負担している額も大きいという中において、厚生年金の中において、被用者年金の中においてそこは賄っていけることができる額を確保していきたい、こう思っているところでございます。
○前原委員 一億総活躍、私はそれができればいい社会だと思いますよ。そういう方向性、的か矢か、的とおっしゃいましたけれども、それについて、私は、その方向性について文句を言うつもりはありません。合計特殊出生率一・八、それはやるべきだと私も思いますよ。ちなみに、一・八でも人口は減り続けますからね。二・〇七ぐらいないと人口はある程度のところで横ばいになりませんから、一・八でも難しいけれども、それでも人口は減り続けるということで、まずはそれをやるということは大事であります。
もう一遍ちょっと五ページ(配布資料)をごらんいただきますと、こういう状況で下流老人ということが今社会問題になっているわけですね。それは、総理がおっしゃって、またこの間、塩崎厚生労働大臣が答弁されました。つまりは、年金だけで生活をする前提になっていないと。そうかもしれないけれども、今もう既にこうなって、貯蓄もない人がたくさんいるわけですよ。今さら働けと言われても働きようがない。年金はそういう話じゃなかったんですよと言われたって、もう前提として、こういうまさに大変な状況に置かれている人たち、基礎年金のみで生活している人が一千万人以上いるわけですね。こういう方々をしっかりと支えていこうと思ったら、ある程度の財源というのは必要になるんじゃないですか。
そして、きょう岡田代表や山井さんがおっしゃったように、一・八という出生率というものをちゃんと担保していこうと思ったら、これは、中身は日本なりのものにしたらいいけれども、家族向けの支出、現金給付、現物給付を組み合わせて出している国の方が、それは実際問題は出生率は高くなっているわけですよ(配布資料)。
だから、きょう我々がこの予算委員会の中で申し上げているのは、ある程度の負担を国民にお願いして、そして日本の構造問題を解決するんだということを国民に説明さえすれば、国民は理解してくれると私は思うんですね。
それに対して、解せないのが、先ほど申し上げたいわゆる軽減税率と給付つき税額控除の対比でいえば、何で軽減税率を選ぶのかということになるわけです。
一つの大事な答えとして私が言えるとすれば、それは公明党が言うからでしょう。公明党が軽減税率と言うから、仕方なくおつき合いをするんでしょう。来年の参議院選挙で公明党の支援もいただきたい、公明党の支持母体であるところにも応援をもらいたい、それで、日本の将来像とか、一億総活躍とか、合計特殊出生率一・八にするというふうなことが、本当にそんな、言ってみれば、そういう非効率な、低所得対策だけではなくて、高所得者に対しても給付をされてしまうようなものに対して、それが実際に行われるということが、本当に安倍政権が新三本の矢で求められるものなんですか。
国民に対して本当に説明ができますか、総理。選挙対策だったら選挙対策だということをはっきりおっしゃった方が、国民は納得しますよ、それは。この軽減税率は、なぜこれをやろうとしているのか。
そして、本来であれば、安倍政権が今出された新三本の矢をやろうとすれば、ある程度の負担はこれから必要なんです。必要な中で、しかし皆さん方が本当に安心していただける、日本の構造問題を解決する、そのためには財源が必要なんだということを堂々とおっしゃったらいいじゃないですか。国民はそんなにばかじゃないですよ。私も公明党の支持者の方々とお話をすることがありますけれども、軽減税率が低所得者対策と皆さん思っておられないですよ。ちゃんと皆さん方はわかっておられますよ。
そういう意味においては、国民に対して負担を求めるときは堂々と負担を求めるということをやりながら、そして新三本の矢をしっかりと達成するんだとおっしゃった方が、本来の政策目的に合致するんじゃないですか、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 我々、八%から一〇%に引き上げる際について、先ほど申し上げましたように、与党の連立政権の合意もございますし、その前の選挙公約もあるわけでございます。そして、自民党の税制大綱においても、昨年末の税制大綱においても、軽減税率について、先ほど申し上げたように、国民や事業者の理解を得て二十九年度からの導入を目指してということでお約束をしているところでございまして、その中におきまして、この約束の上に立って、ただいま議論を行っているところでございます。
○前原委員 合理的な説明はありません。連立与党の合意の約束に基づいてということは、公明党さんに配慮してということだということで理解をさせていただきました。これから、もっと説得力のある、中身ですよ、政策の中身、手続だけじゃなくて、それをしっかり求めていきたいと思います。
最後に、マンションのいわゆる傾きの問題について、少し国交大臣に質問していきたいというふうに思います。
今回、横浜市の分譲マンションで、基礎ぐいが支持層に未達であったこと、施工データが流用されていたこと等が明らかになりましたけれども、これは旭化成建材の事案でありますけれども、石井大臣、これは、今回は旭化成建材のみの特別な事案だと考えられますか。それとも、そうではない、これは業界にかかわる構造的な問題だという懸念を持っているか。どちらですか。
○石井国務大臣 旭化成建材が施工いたしましたくい工事でたくさんの流用の事例が出ているということで、国民の皆様に非常に不安が広がっているということは承知をしているところでございます。私どもも、非常にそれは重く受けとめているところでございます。
ただ、これがどこまで広がっているかということについては、いまだ、まだはっきりしたことが言えておりませんので、その点については、今、予断を持って何か断定的なことを言えるような状況ではない、そのことは御理解をいただきたいと存じます。
○前原委員 ちょっとパネル(配布資料)をごらんいただきたいんですが、今回この問題が起きたのは、三井不動産レジデンシャル、ここがいわゆる販売元ですね、そして元請が三井住友建設、そしてくい打ち工事を担当したのが日立ハイテクノロジーズ、そしてくい打ち工事を施工したのが旭化成建材、こういうことだったわけですが、私もいろいろな業界団体の方に話を聞きました。石井大臣もいろいろヒアリングをされているというふうに思いますけれども、要は、業者の方々がおっしゃるのは、ほかにもいろいろこういった問題はあり得る、こういうことでありました。
そこは何が問題かというと、一つは工期、これをしっかりと、販売元である、今回であれば三井不動産レジデンシャルが、つまり青田売りといって、しっかりとそのマンションをいついつまでに引き渡しますよという工期を設定しているわけですね。そして契約をして買っている人たちがたくさんおられるわけでありますけれども。
その工期というものを守るために、例えばくい打ちのくいが、今回の場合がそれに当たるかどうかわかりませんよ。私がヒアリングをしたもので一般的にあるんじゃないかとおっしゃる方々が余りにも多かったものですから。そうなると、くいが足りなかった場合に、新たなくいを用意できるかというと、できないというわけですよ。つまりは、それは工期がおくれるから。くいの値段はそれほど大変な問題ではない。つまり、新たなくいを用意するということになると、それだけ工期がずれる。工期がずれるとその分コストがかかるということの中で、工期と予算というものの縛りをかけられて、販売元、元請からぎりぎり言われて、そして、下請はそういうものにならざるを得ないような業界全体の問題があるんではないかという考え方が多かったんですけれども、その問題意識は共有されますか。
○石井国務大臣 今回の問題につきまして、いろいろ構造的な要因があるんではないかという指摘があることは承知をしてございます。今委員御指摘の工期の問題、あるいは多層下請という問題もあるんではないかといろいろ御指摘をいただいているところなのですが、今、私どもといたしましては、旭化成建材の事案について、しっかりとその実態を調査し、その原因をまず究明することが第一だというふうに思っております。その中においてどういう問題があるかということが明らかになってくるというふうに思っております。
○前原委員 私も、一年間国交省で仕事をさせていただきましたので、大臣の立場であれば同じことを言うと思います。徹底的にまずはこれを調べる。徹底的に調べて、この全体の構造問題にまで思いをめぐらせて、そして再発防止策をとる、こういうことが大事だと私も思います。
その上で、パネルにはございませんけれども、資料の八(配布資料)をごらんいただきたいんですね。これは、旭化成建材がやたら批判を浴びています。批判を浴びるべきだと思いますよ。それは、徹底的に調べたらいい問題だというふうに思いますけれども、しかし、建築基準法、それから建設業法、宅建業法ということで、それぞれの、三井不動産、三井住友建設、日立、そして旭化成建材、全てに、いわゆる建築基準法、建設業法、宅建業法という縛りがかかっているわけですね。そして、しっかりと徹底的に調べていけば、業務監督命令とか、規定に反した場合においては懲役とか罰金刑とか、あるいは、いわゆる免許取り消し、営業停止、こういったものがしっかりなされるということですね。これは法律で決まっているわけですよ。
こういう法律も踏まえてしっかりと、今大臣が答弁された、今回の事例を徹底的にやる。そして、今ある法律の中で、その問題について予断を持たずに、しっかりとこういう法律があるという前提で調べる。そして、問題があれば、この法律に基づいてしっかりと処分する、こういう姿勢で臨まれますか。
○石井国務大臣 今、前原委員御指摘いただいたとおり、売り主につきましては、宅建業法におきまして、瑕疵のない安全な物件を提供する責任がございます。また、建設会社、元請、下請におきましては、それぞれその立場で適切に施工及び管理をする責任がございます。
今、国土交通省といたしましては、それぞれ関係する事業者に、どういう施工の実態であったのか、あるいは管理の実態であったのか等々、詳しく調査をさせていただいているところでございます。その上で、原因究明等もしっかりやらせていただきますが、その結果、必要であれば、法律に基づく処置も考えなければいけないというふうに思っております。
○前原委員 時間が来ましたので終わりますが、公共事業には品質確保法というのがあるんですね。ただ、民間工事にはないんです、品質確保法というのは。麻生大臣、今、そのとおりだとおっしゃっていましたけれども、これは、今の業法でしっかりとできていなかったら、こういう法律も検討されるべきじゃないですか。それを一言答えて、それで、御答弁で終わりますので。
○石井国務大臣 先ほど申し上げましたように、今、実態を解明した上で、再発防止策をしっかりと検討していきたいと思っております。その中で、必要とあれば、法律の見直しも含めて検討していきたいと思っております。
○前原委員 終わります。