毎日新聞「政治プレミア・前原誠司の直球曲球」(2019年6月24日)より
「野党共闘『⼀本化』の先がある」
私の地元の参院京都選挙区(改選数2)では国民民主党が先に公認候補を立て、連合京都の推薦もいただいた。立憲民主党との一本化の協議でその公認候補を取り下げた。
他地域の2人区の事情も勘案し、立憲との一本化の協議全体を考えた決断だった。
しかし国民民主が4月末に取り下げたのに対し、⽴憲から支援要請があったのは6月も半ばになってからだった。1カ月半の間、支援の要請がなく、しかも推薦ではなく支持にしてくれということだった。
■みんなが力を合わせる
京都は自民と共産が強いところだ。そのうえ日本維新の会が候補を立てれば「非自民、非共産」の票は分散する。⼀本化しただけで勝てるというようなものではない。「⼤丈夫、勝てる」と思った選挙は勝てないものだ。みんなが⼒を合わせることができる状況を作らなければならない。
国⺠⺠主党にとっては他党の公認候補を応援することになる。我々は⾃党の公認候補なみに協⼒したいという気持ちはあるが、やはり具体的なお願いがないと遠慮が出る。最後は義理⼈情、力を貸してくれというところが必要だ。
私自身は京都のことしかわからないが、他の選挙区でも一本化しただけで終わっていては結果は出ない。戦いを共にする状況を作る必要がある。
■国民民主「目指すもの」伝えきれていない
立憲の枝野幸男代表としては、野党共闘を前面に出しすぎると立憲の独自性が薄れ、支持基盤が崩れる可能性があると懸念しているのだろう。その考え方自体はよく分かる。
私としては国民民主党の側にも問題があると思っている。やはり国民民主が何を目指す政党なのかということがなかなか国民に伝えきれていない。いわゆるリベラル保守層を捉えきれていない。
2017年衆院選では比例代表の得票数は⽴憲が1108万票に対し、希望の党は967万票をとった。
外交と安全保障については現実路線。憲法改正もしっかり議論する。内政については再分配を重視してセーフティーネットを整備する。⼤企業や富裕層が富めば、中⼩企業や貧困層にも恩恵が広がるというトリクルダウンではなく、賃⾦を上げ、可処分所得を増やすという経済政策をする。
私はリベラル保守層と呼んでいるが、そうした考えに合う有権者のマーケット(市場)は確実にある。そこにどうアプローチをしていくかをまだ⾒つけ出せていない。
まず国⺠⺠主党がそれをやったうえでなくては、「政権構想」や「連⽴政権」を語っても夢のまた夢だ。
そのうえで、連⽴政権を考えるのであれば⼀つは原発ゼロの社会だ。⺠主党政権で東京電⼒福島第⼀原発の事故を経験したものとして原子力は⼈間にはコントロールできないものだという観点に立ってやる。これは自民党とは全く異なる考え⽅だ。
もう⼀つは消費税についてだ。軽減税率を廃止し、⼦育てと社会保障に目的を限る。
他にも課題はあるが、この二つで合意できれば十分だと思っている。
<出典:毎日新聞「政治プレミア」http://mainichi.jp/premier/politics/>