前原誠司(衆議院議員)

日々是好日

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毎日新聞・政治プレミア・前原誠司の直球曲球⑧「北方領土交渉 日米関係に影響させないことが必要だ」2019/01/16

毎日新聞「政治プレミア・前原誠司の直球曲球」(2019年1月16日)より

「北⽅領⼟交渉 ⽇⽶関係に影響させないことが必要だ」

 

北⽅領⼟交渉の裏にあるロシアの⼤きな狙いの⼀つはやはり、⽇⽶関係にくさびを打つことだ。北⽅領⼟でロシアと妥協をするならば、そのことが⽇⽶関係に影響しないか、⽶国の理解を得られるか、⼗分に考える必要がある。

 

■⻭舞、⾊丹の除外はダブルスタンダード

ロシアは⻭舞(はぼまい)群島、⾊丹(しこたん)島を⽇本に引き渡した際に、在⽇⽶軍基地を置かないようにする保証を⽇本に求めている。私が外相の時、クリントン⽶国務⻑官との会談で沖縄県・尖閣諸島について⽇⽶安保条約5条に基づく⽶国の対⽇防衛義務の適⽤対象だというコミットメント(関与)を確認した。尖閣諸島を含めて⽇本の施政権下にある場所の全てが⽇⽶安保の適⽤対象だと⾔いながら、⻭舞群島、⾊丹島は例外だと⾔うことは⽶国から⾒れば⽇本のダブルスタンダードにしか⾒えない。

 

もし⽇本がロシアの主張をなんらかの形で受け⼊れるようなことがあれば、⽇本外交の基盤である⽇⽶同盟関係を損なう可能性がある。⽶国に対して対応を使い分ける国に、死活的に重要な⽶国の⼈員・装備を費やすのか。最悪の場合、尖閣諸島でなにかあった時に⽶国が関与を避ける⼝実に使われる可能性もある。これは信頼関係の問題であって、⻭舞群島と⾊丹島の軍事的価値がどうか、ということとはまた別の話だ。だからこの問題は⾮常に慎重に取り扱う必要がある。

 

しかもロシアのプーチン⼤統領にとって⻭舞群島と⾊丹島に在⽇⽶軍基地を置かないと⽇本が確約してもたいしたメリットにはならない。なぜならば⽇本に引き渡さなければそもそも、2島に在⽇⽶軍基地が置かれることなどないからだ。

 

■中露関係も⾒据えた戦略的外交を

これから数⼗年は⽇本にとって最⼤の外交課題の⼀つは中国とどうつきあうかだ。ロシアとの交渉でもそのことを視野に⼊れておく必要がある。平和条約を結んでロシアとの関係をレベルアップするというならば、対中政策のカードにしていくという戦略があるべきだ。

 

「国境画定」が問題になる平和条約交渉で、ロシアに尖閣諸島における⽇本の主権を確認させることも重要ではないか。ロシアと中国の関係は現在は良好だが、もともと数千キロにわたる国境を接し、⻑い争いの歴史がある。中国も⽇露の交渉を注視していることを忘れてはならない。

 

<出典:毎日新聞「政治プレミア」http://mainichi.jp/premier/politics/

 

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