改めて、台風19号でお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げると共に、被害にあわれた方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。行方不明の方々の一刻も早い救助と、被災地の一日も早い復旧復興を願い、国会議員の一員として自ら取組み、努力してまいります。
今回の台風で八ッ場ダムがクローズアップされています。作ったものが役に立ったのであれば、それは率直に評価すべきと思います。
他方、八ッ場ダム中止を公約に掲げた旧民主党政権に対する批判がなされていることに対し、国土交通相を務めた当事者として、事実関係を明らかにしておきたく思います。
大規模ダムは、一度決めたら止まらない公共事業の典型でした。民主党政権が誕生し、私が国土交通大臣に就任した時に、本体工事に着工していないダムは83に及びました。しかも数十年も前に計画されたものが多く、八ッ場ダムも40年以上の年月が経過していましたが、本体工事に着工出来ていませんでした。数十年も経てば、社会状況は大きく変化します。大規模ダムのほとんどが多目的ですから、治水目的だけではありません。農業用水や工業用水、あるいは生活のための利水、発電機能を持たせようとしたものもあります。数十年経過すれば、治水や利水など当初前提とした社会状況が変化している可能性があり、従って新たな物差しを作り、今でも本当に必要かどうかを政権交代という好機をとらえ、検証することにしました。
83のダムのうち、再検証されたものは現時点で79に及び、約3分の1の25のダムが中止されました。八ッ場ダムも、単に中止をして終わりだった訳ではありません。当然ながら、中止をするのであれば、治水と利水の代替措置を手当てしなければなりません。そうしなければ、国民、特に流域住民の理解は得られませんし、費用負担をしている1都5県の知事は首を縦にふらないでしょう。つまり、ダムを中止したならば、堤防の強化や利根川水系の別の場所で遊水池を作ったりするなど、流域全体の治水対策の見直しの中で代替措置がとられることになるのです。
ダムの上流に雨が降れば、ダムは一定の役割を果たします。しかし、ゲリラ豪雨は、どこに降るかわかりません。従って、治水対策は堤防強化に重きを置きながら考える必要があると思います。また、ダムは満杯になると、緊急放流を行わなければなりません。これが水害を助長するケースがあることは、愛媛県・肱川の例でも明らかです。
民主党政権は、様々に反省することがあるのも事実です。しかし、事実確認が充分になされずに批判のみされることには違和感を感じます。これからも大局に立って、政に臨んでまいります。