前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第198回国会 衆議院財務金融委員会2019/02/26

○坂井委員長 次に、前原誠司君。

 

○前原委員 国民民主党の前原でございます。

まず、消費税の引上げにつきまして、さまざまな観点から議論をさせていただきたいと思います。

まず、麻生大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。麻生大臣には大きな政策的なことを伺い、そして、技術的なことにつきましては星野主税局長から御答弁をいただければ、こう思っております。

まず、平成三十一年度の予算を見ておりますと、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策なども含めて、三年間でおおむね七兆円程度、国費は半分だということでありますが、こういった対策をとるということとあわせて、いわゆる駆け込み需要平準化対策というものを行う、こういうことであります。

まず、麻生大臣に伺いたいんですけれども、この対策で、つまりはこの予算で、平準化ができるというふうにお考えかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。

 

○麻生国務大臣 全体としてこの予算で平準化等々の、景気が腰折れしないような自信があるかという、簡単にはそういう御質問なんだと思いますけれども。

つくった以上、これがいけるという思いでやらせていただいておりますので、自信があるかと言われれば、ないと言ったら、何だお前ということになるでしょうし、あるかと言われれば、お前、あると言ったじゃないかと。なかなか難しいところではあるとは思いますけれども、基本的には、ばらまき等々いろんな御指摘はあろうかと思いますけれども、景気の腰折れにならないというような形になれるのではないか、そのように思ってお

ります。

 

○前原委員 おっしゃるとおりで、結果が出ますので、この場合、本当に平準化されたかどうかということについては、そのときの状況を見なくてはいけないわけでありますが、政府がやったことについてしっかりとチェックをする、注文をつけるというのが我々野党の仕事だというふうに思いますので、その観点で少し質問を続けさせていただきたいと思うんでありますが。

お配りをしている資料の一をごらんいただけますでしょうか。(資料1)宇南山先生という一橋大学の先生のつくられたチャートでありますけれども、これについて、私もこのチャートに賛同する立場から資料としてつけさせていただいているわけでありますけれども、消費税を上げるタイミング、引上げ実施と書いてあるところの左側のピンクのところが、いわゆる駆け込み需要。Aですね。そして、右側のBのところがいわゆる反動減と言われるもので、これをどう平準化、ならしていくか、こういうことだと思います。

この資料に基づいてまず一点伺いたいのは、平成三十一年でさまざまな、例えばポイント還元とか、プレミアム商品券とか、住まいの給付金とか、住宅ポイント、こういうものをやりますね。つまりは、一年は反動減対策にはなるけれども、その後の年は反動減は生まれないというふうに言い切れるかどうか、その点についても、大臣、御答弁をいただきたいと思います。

 

○麻生国務大臣 私どもとしては、いわゆる前回のような大きな駆け込み需要、また、その後の反動減によって景気回復の腰が折れたという事実は間違いない、私どもとしては反省せないかぬ大事なところなんだと思っておりますので。

そういったことから考えまして、我々としては、今回いろいろな対策を私たちなりにやらせていただいたと思っておりますが、これが、対策が切れた後、例えばオリンピックの後どうなる等々いろいろな御指摘のあることはよくわかりますけれども、その段階でちょっとどのようなことになるか、例えば前回のオリンピックのときは、間違いなく昭和四十年からかなり不景気になったというのが歴史的な事実でもありますので。

私どもは、ロンドンを見ましても、北京を見ましても、同じようにオリンピックの後にはかなり景気が落ち込んだというのが、他国を見ましてもそういったことになりますんで、その点は十分に注意を払っていかねばならぬところだと思っております。

 

○前原委員 私がお伺いしたのは、オリンピック、もちろん二〇二〇年という、エポックメーキングなイベントがあるわけでありますが、それもあわせてお考えになるということは当然かもしれませんが、この一年、平成三十一年度の予算でかなり手厚く反動減対策をされていますね、そうしたら、その次の年にまた反動減が来るのではないかということを私は伺っているわけです。

 

○麻生国務大臣 御指摘、よくわかるところですけれども、私どもとしては、この対策を、同じときに始まって同じときに終えるという形ではなくて、少しずつずらさせていただいて、六カ月から一年九カ月か、いろいろな形でずらさせていただいておりますので、そういったものが少なくとも一斉に、いわゆる財政の崖とかいろいろな表現がありますけれども、景気の崖が来ることがないようなことを我々としては期待をしております。

それがどういった形で出てくるか、私どもはその時点でもう一回考えねばいかぬということになるという可能性は否定はしません。否定はしませんけれども、景気が少しずつということになるんであれば、それはそれなりにいけるのかなというのが、期待もありますし、そういう効果を期待をいたしております。

 

○前原委員 この平準化対策というものが行われたということでありますけれども、日本が今直面しているのは、長らく言われ続けていることでありますけれども、二〇一〇年ぐらいから人口が減ってきて、そして今、国の借金だけで一千百兆円ぐらいですか。働く人、若い人たちが減ってきて、これはいいことでありますけれども、平均寿命が延びているということで、医療、年金、介護、福祉、こういったものに言ってみればお世話になる方々の割合がふえていくということでありまして、これを財政的にどうサステーナブルにしていくかということについては、毎年毎年、恐らく大変な予算編成をされているのではないかというふうに思います。

その上で、今後のことについて少しお話をさせていただきたいというふうに思いますけれども、私は、きょうおられますけれども、野田総理のときに政調会長として三党合意をまとめさせていただいた立場で、社会保障と税の一体改革というのはいいモデルだと思うんですね。

つまりは、何にお金がかかります、したがって、その分国民に負担をお願いしますというわかりやすい形で、一対一の形で国民に対してしっかりと受益と負担をお願いをする、こういう仕組みというものは私は極めてわかりやすいものだというふうに思います。

ただ、あのときの反省が一つあるとすれば、二段階に分けて、五%、五から一〇に上げたわけですね、五から八、八から今度一〇に、五%合計で上げるということを決めたわけでありますが、財政再建部分に四%充てた、機能充実、機能強化は一%しかなかった。ということは、三%、あるいはこれから更に二%上がって一〇%上がるのに、受益感のない人たちがたくさんいるわけですね。

例えば、一%部分というのは、公的年金の国庫負担、三分の一から二分の一に引き上げるということでありまして、これは、借金で埋めたものを安定財源で埋めるということで、大事な一%なんですけれども、国民にとっては受益感はないわけですね。

そして、残りの三%にしても、子ども・子育て七千億円という一つの柱が立ったということはよかったと思いますが、例えば、低所得者の、リタイアされた方々の高齢者対策というものが多いですよね。

ということは、国民全体に、じゃあ、五%上がって、そして受益が実感できるかというと、実感できなかったと思うんです。

この間の衆議院選挙のときに組みかえられましたね、中身を。そして、一対四から一対一にされた。半々にされたわけです。その分を、後から質問いたしますが、教育、保育の無償化などを入れるという形で一対一になったわけであります。

これだけ、一千百兆円も借金があると、上げた分を全て受益に回すということはできないわけです。財政再建にも回さなきゃいけませんが、これから消費税を、消費税というか税を上げていく中で、どのように国民に対して負担と受益を感じてもらうかということが、これからの大きなポイントだというふうに思います。

その意味においては、一対一でもまだまだ受益感は足りないんだろうという思いを私は持っているんですね。

私の目の子でいうと、七対三ぐらい。つまりは、七ぐらい受益がある、三は財政再建に回すということを繰り返していけば、税を上げるということについての、いわゆる国民負担率を上げるということについての国民の理解というのは、私は得られていくんではないかというふうに思いますが。

初めは四対一であった。これはまさに民主党政権の前の自民党政権でこの法律が書かれていて、我々はそれを実行した。そして、今回、四対一から一対一に変えられた。私は、この一対一でもなかなか受益感というのは国民にないというふうに思うわけでありますが。

これから国民負担を上げていく中で、別に厳格な数字ということを大臣にお聞きをしようというんじゃなくて、私の問題意識を聞いていただいて、やはり受益がある程度多くないと、なかなか国民負担増というものは理解が得られないと思うんですが、大臣の御所見を伺います。

 

○麻生国務大臣 これは、前原先生、物すごく大きな観点なんだと思うんですけれども、少なくとも、前回、一対四の比率でというお話でしたけれども、間違いなく景気を中折れさせた最大の理由は、これまで、三のとき、五のときに比べまして、それによって減税した部分が明らかに少ないというのが前回の、まあ数字でいえばそういうことになりますから、結果として景気は中折れさせた。

したがって、今回は、消費税をもう一回上げて、また中折れということだけは断固避けねばならぬという感じから、私どもとしては、二度延期をさせていただきました上で、今回増税させていただいた分によって、中折れしないまでも、少なくとも、今の景気回復のあれを持続させていくということを優先順位の一番に置いた場合に、いわゆる消費が伸びない等々のことを考えたときには、どこが一番かといえば、これは間違いなく三十代、四十代、若手の世代のところが、一番、生活するに当たってお金が、支出のふえる世代、そこらのところに対する支援、補助というのを一番に置かない限りは、この国の少子高齢化対策であってみたり、景気対策であってみたり、消費増につながる話であってみたり、いろいろなことを考えて一対一ということにさせていただいたというのが、その背景であります。

ただ、今、全体として見て、今後、我々としては、政府の借金として約一千数百兆とよく言われますけれども、その問題に関して、今後とも我々はそれをきちんとして返済していくんだという意思をきちんと示しておかないと、これは国際社会の中で、インターナショナルなマーケットの中で、これは何だ、日本は財政再建を放棄したのかと言われると、これはとてもじゃないけれどももちませんので、そういったものはきちんとやりますということを言いながら、財政再建を目指しつつやるに当たってのスピードが、今言われたように、七対三ぐらいにしないと国民の理解が得にくいのではないかという点は、間違いない、私どもとしては十分に考えておかないかぬ大事なところだと思っております。

ただ、いずれにいたしましても、日本の場合は、アメリカのように低負担・低福祉でやるのか、北欧のように高福祉・高負担でやるのかと言われれば、我々は今のところ中福祉・中負担というのを大体の目安としてやってきているんだと思っておりますので。

私どもとしては、今後、その問題につきましては、少子高齢化が今後とも続いていく前提に立ちますと、私どもとしては、社会福祉関係が年率大体五千億前後ぐらい伸びてきておりますので、全体に占める社会福祉費の総額は、約百兆円の全額の中で約三分の一が社会福祉関係という現実。それが、とにかく年齢が高齢化する以上に福祉を伸ばすと、とてもじゃないと。国家予算の三分の一というような状況ですら問題なのにということになりかねませんので、私どもとしては、その点も十分に注意しながら、この三年間の間は年間五千億以内にとめたいということで、それをとめさせていただいて予算編成はさせていただきましたし、今回もその範囲内でとどめているというところだとは思っておりますけれども。

いろいろなことを御理解いただきながら、少子高齢化がもたらしておりますいろいろな影響について、これは福祉を受けられる方々にも御理解いただかないかぬところが一番大きいんだと思いますが、そういったところを含めて、これは丁寧な対応が必要なんだと思っております。

 

○前原委員 今御答弁をいただいたことで、二つ、まず私の意見を申し上げた上で、更に質問したいんですが、やはり現役世代に対する支援、支援というお言葉を大臣は使われましたけれども、私からすると分配ですね、これが極めて少ないのが日本の特徴だと思います。

やはり年金にしたって、賦課方式ですね。ということは、今の現役世代の方々が年金受給者の財源を保険料で払っていただいている。これは自分の積立てではないわけですね。賦課方式ということで財源になっているということは、簡単に言うと、所得移転が、今、非常に生活が苦しい若い人たち、ストックのない人たちから、言ってみればストックの多い人たちにむしろ移転されているというのが状況だと思います。

医療にしたって介護にしたって、例えば介護保険でも、四十歳以上は保険料を払っていますけれども、四十歳代、五十歳代で介護保険を受けられる方というのはほとんどおられないと思います、数的に。そうすると、若い方々が保険料を払い、その方々が本当に介護の必要になった御高齢の方々に対する所得移転を行って保険としての言ってみれば支えをしているということですね。したがって、若い世代に対する分配を厚くするということは、少子化対策も含めて絶対に私必要だというふうに思っています。

そして、その上で、先ほど、中福祉・中負担とおっしゃいましたけれども、私は違う認識なんですね。低負担・中福祉だと思うんですよ、日本は。国民負担率、OECD三十六カ国の中で、重い方から数えて二十八番目ですよ、四二・五%。これは下から数えた方が早いんですね。これだけ高齢化が進み、少子化が喫緊の課題であるというのにもかかわらず、むしろ国民負担率は低いんです、四二・五ということで。ということは、低負担の中で借金で中負担にしているというモデルが日本のモデルで、このままだとどんどんどんどん日本の借金はふえていくということになると思うんですね。

他方で、高福祉・高負担という北欧の話をされましたけれども、北欧というのは大体国民負担率は六〇%以上ですよ、六割以上。フランスという国は、我が国の大体人口半分ぐらい、六千万人台でありますけれども、恐らく六八・二%ぐらいの国民負担率だというふうに思います。

五〇%に仮に国民負担率を上げたとしても、OECDの中では真ん中ぐらいの負担、中負担ぐらいの、五〇%に上げるということになった場合でも大体中負担ですけれども、五〇%を全て消費税に換算するということになると、消費税は二〇%以上になりますね。全て消費税でやるということになった場合ですね、仮に。

それでも五〇%ですから、大体三十兆円ぐらいですので、そういう意味においては、日本は、低負担、中福祉で来ていて、それで借金で穴埋めをしているということは、私はサステーナブルではないと思います。

その上では、将来、先ほど申し上げた社会保障と税の一体改革のようなものを言ってみれば更にバージョンアップさせて、生活保障と税の一体改革のようなものを国民負担を見直す中でやり切って、少子化対策、そして高齢者が安心して老後を過ごせるような社会というものを私はやる必要があると思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思います。

 

○麻生国務大臣 おっしゃるように、国民のいわゆる負担率四二%は、間違いなくOECDの中で、下から六番目だったかな、何かそれぐらい低かったと記憶しますけれども、そういった状況にありまして、低負担・中福祉ではないかという御指摘は決して否定しません。私は、そういう御意見があって当然かと思っております。

その上で、私どもとしては、今後これをどうやっていくかというのが一番大事なところなんだと思いますが、少なくとも、幸いにしてこの国の場合は、平均でいきますと、健康寿命が結構長いというのが私どもにとって大いなるアドバンテージ、優位なところだと思いますし、もう一個は、ちょっと、こういった大きな話なので言わせていただければ、旧約聖書の影響を受けなかったんだと思いますが。我々は、少なくとも、働くということに関して、神との契約を破ったアダムに対して神が与えたもうし罰が労働でありますから、元カトリックで、元カトリックというか今でもカトリックですけれども、一応聖書ぐらい読んだことはありますので、労働は罰であります。

しかし、私どもの、いわゆる古事記等々を読めば、少なくとも、アマテラスオオミカミという女性の神様が、機織り小屋から出でたまえ、神々はいかにしておわすぞと天の岩戸をあけたまい、高天原を眺むれば、神々は野に出て働いていたと古事記に書いてあります。少なくとも、女の神様が機織り小屋から出てくれば、一番偉いアマテラスオオミカミも機を織って働いていた。野を見渡せば、神々、これは神が一人じゃなくて複数なところが違うところなんですが、神々は野に出て働いていた。神々が働くんですから、労働は善行に決まっております。労働は罰ではありません。

そういった意識の違いというのが、我々は、働くということに関して、極めて勤勉に働く者をもってよしとするという文化というものが定着しているというのは、我々は今後とも大事に持っておかねばならぬところだと思っておりますし、働いている方は健康、健康だから働ける、両々相まっているんだと思いますが。

今後とも、やはりいろいろな意味で、働ける方はぜひ働けるように、年齢でばさっと切っちゃうとかいうような単純な、昔の、人が余っている時代ならともかく、もう今はそうじゃないんですから。そういった意味では、真面目に働く意欲のある方は、ちょっと明るくしてもらうとか、字を大きくしてもらうとか、ベルトコンベヤーをゆっくりにしてもらうとか、いろいろな方法で十分にということを思いますので。

そういった方々が気持ちよく、まあ八時間とは言いませんから、四時間とか何時間、時間割りはいろいろあろうと思いますけれども、そういった中で働いていただける、働いてもらうと、その人たちはむしろ元気に働く、そしてしかるべき収入も得る、その分だけ、社会福祉、また介護等々、あるいは必要としない等々、いろいろなものが両々相まってうまく回っていくようにせないかぬ。

長期的にはそういうことなんだと思いますけれども、なかなかそういったような環境に、少しずつ少しずつ今なってきていると思っておりますし、女性の労働市場への参画とか、いろいろな表現もありますけれども、高齢者というのをどこで切るかといえば、少なくとも、前原先生、私が生まれた昭和十五年の日本人の平均寿命というのは四十七歳なんですよ。もう全部終わっていますよ、ここはもう、はっきり言って。ところが、今は八十歳。

となると、これはもう全然考え方が違って、昭和二十三年の統計を見ますと、平均で見れば五十三・二か何かなんです。戦後の最初の統計なんですけれども。それが、だから定年が五十五で、そこそこ合っていたんだと思いますが、今は八十ということになりますと、それは全然、ちょっと考え方を変えないかぬ。

だから、副業を認めてもらうとか、労働市場においてもいろいろなことを考えて対応していかないと、急に今すぐ、どれか答えがあるかと言われると、それを複合的に全部組み合わせてやっていかないかぬというようなことになるんじゃないかなと。

これはまた私の個人的な見解で恐縮ですけれども、そういったことを考えておるというのが正直なところです。

 

○前原委員 長く御答弁をいただき、しかも旧約聖書やら古事記やら、非常に高尚なお話をされましたけれども、私の質問は、四二・五という国民負担でやっていけますかということが質問だったわけです。

それは、長寿社会になっているということはいいことです。大臣とは私は世代が一世代か二世代ぐらい若くて、失礼ながら、私の小さいころは「サザエさん」が漫画で有名で、波平さんの年というのは五十四歳なんですね。五十五歳定年で、一年前ですから。大物感漂う石原裕次郎さんとか美空ひばりさんとか、亡くなられた年は五十二歳ですから、私はもうそれを超えていると思うと、びっくりするぐらい大物感漂う雰囲気を持っておられて、だから、それだけ日本人というのは若くて長寿化しているということはいいことだというふうに思います。

そして、今の結論を聞いたら、働いて、税金払って、国民負担率、そちらで何か稼げみたいな話になってしまいがちでありますが、私が申し上げているのは、元気に長生きをされて、そして働きたい方は働かれてという社会は、それは一番いいと思いますけれども、これだけ課題の多い、人口減少、そして長寿化ということの中で、今の国民負担率でいけますかというのが、もう一度お尋ねしますが、私の問題意識で、そして、低福祉・中負担というのは、まさに借金において中福祉・中負担のようなものがなされているということから考えると、先ほどの七対三の話じゃありませんが、ある程度の国民負担率を上げていくという前提でなければ、この社会はサステーナブルでないんじゃないかというのが質問です。

 

○麻生国務大臣 私の意見というか、余計なことを申し上げましたけれども、少なくとも、今の四二%の状況で今の福祉がやれるかというと、私は極めて難しいと思います。

その部分は、今まで借金でそれを賄ってきたわけですけれども、それを三分の一や二分の一にさせていただいたり、いろいろなことをさせていただいているとはいえ、私どもとしての考えとしては、四二でいくのであれば、福祉の方を落とすか、若しくは負担の方を上げるか、どちらかにしないと、これはなかなか、今の状況を、そのままいけるか、サステーナブルかと言われれば、極めて疑問であります。

 

○前原委員 こういった話については追って、社会像のあり方というのは、今も大事ですけれども、やはり借金というのは将来の世代に対するツケを回している、今の世代がツケ回しをしているということですから、行革も大事、しかしやはり、歳出改革も大事でありますが歳入改革も大事ということの中で、追ってまたこれは議論をさせていただきたいと思います。

消費税のことで、一点だけちょっと実務的な話で伺いたいんですが、主税局長に伺いますけれども、免税業者がインボイスを発行できない理由ですね。

これは、財務省のホームページでは、消費税法の規定に基づき適用税率を判断し、当該適用税率や消費税額等を記載した適格請求書又は適格簡易請求書の交付を義務づける以上、その義務づけの対象となる事業者に消費税を納める義務が免除される事業者を含めることは適当でないと書いてあるんですね。つまりは、納める義務が免除される人が書くというのはいかがなものかと。麻生大臣が、今月二十二日に予算委員会でこう答弁されているんですね。複数税率のもとで免税事業者にインボイスの発行を認めるということにすれば、消費者の納税とか申告という、これは多分消費税だと思います、消費税の納税とか申告というものを行わない免税事業者が、取引相手の都合のよい税率をインボイスの上に記載するといったことが可能になるということになってしまいますので、適正な課税を確保するという観点から問題があるのではないかと答弁されているんですね。ということは、これは、免税事業者は、インボイスにうそを書く、適正なことを書かないという前提、書く可能性が高いという前提で、免税事業者はインボイスが発行できない、登録できないということになっているんですか。

 

○星野政府参考人 お答え申し上げます。消費税は、前段階での課税の累積を排除するために、売上げに係る税額から仕入れに係る税額を控除して納税額を計算する仕組みとなっております。その際、控除の対象となる仕入れに係る税額は、前段階の事業者の売上げに係る税額と同額となります。要するに、売上げに係る税を次の段階で控除することによって課税の累積を排除しているという、そういう仕組みだということでございます。

免税事業者につきましては、そもそも消費税を納税する義務が免除されており、その売上げに消費税に相当する額は含まれないことから、免税事業者から仕入れを行う買い手は、その取引について仕入れ税額控除を行うことは想定されません。これは、欧州諸国を含め、諸外国の付加価値税制度の中で幅広く採用されている考え方でございます。

その上で、インボイスは、買い手が仕入れ税額控除を適切に行うことができるよう、売り手が買い手に対して、課税されている事業者であること、また、税額等を正確に伝えるためのものであって、したがって、納税義務が免除され、納税する税額がない免税事業者は、税額を記載したインボイスを交付することができないということでございます。

大臣がおっしゃった話なのは、その一例としてこういうことが起こり得るということで御紹介をされたということでございます。

 

○前原委員 このインボイスが導入されるのはまだ先ですので、また、この当委員会でも議論をさせていただきたいと思います。ほかの省庁の方も来られていますので、質問を先に進めさせていただきたいと思います。

次は、幼児教育の無償化、高等教育の無償化について少し質問をさせていただきたいと思いますが、まず、ゼロ歳から二歳までにおいては、基本的に住民税非課税世帯を対象として無償化をするということであります。三歳から五歳は、所得に関係なく無償化をするということであります。

まず、お伺いしますけれども、ゼロ歳から二歳までの推計未就園児、いますね。私がいただいた資料では、平成三十年では、ゼロ歳が八十一・三万人、それから一歳が五十八・四万人、そして二歳が四十六・六万人、これだけ推計未就園児がいるわけでありますが、これに対して、いわゆる住民税非課税世帯にサービスを提供するということになるわけでありますが、いわゆる今申し上げた数の中でどのぐらいが住民税非課税世帯に当たるんですか。

 

○左藤副大臣 お答え申し上げたいと思います。無償化の中で、住民非課税というのは、大体十五万人ぐらいと見ております。

 

○前原委員 次に、三歳から五歳までの推計未就園児、これは平成三十年は三歳、四歳、五歳合わせて九万五千人なんですね。今おっしゃったのが十五万人。それから、三歳から五歳が、これは全世帯、所得に関係なく無償化しますよということですね、九万五千人。単純に計算すると、大体二十四万五千人が今受けていなくて受ける可能性が出てくるわけですね。それだけの受皿というのは、全国にあるんですか。そして、保育士というものについては、無償化をしたときにしっかりと対応できるんですか。

 

○左藤副大臣 今おっしゃったことでございますけれども、我々は三十二万人を目指してやっておりますので、これは対応できるようになると思います。

 

○前原委員 三十二万人の目標で対応できるという今御答弁でしたけれども、韓国の例、副大臣は御存じですよね。韓国は無償化を先行させて、そして受皿が足りなくて大問題になっているということは、御承知のとおりであります。

つまりは、無償化を先行させて、施設そして保育士に対する待遇改善をやらなかった場合においては、制度だけあって受入先がない、こういうことになるわけですね。この心配は全くないと言い切れますか。

 

○左藤副大臣 今、そのために我々は、認可保育所、また認可外保育所、企業の関係の保育所等にお願いをして、その対応をさせていただいているところでございます。

 

○前原委員 ですから、韓国の前例があるわけですね。今おっしゃったことも、それは一つでしょうけれども、しっかりと他国の、今私は韓国の前例を申し上げましたけれども、無償化を先行させて、私は無償化については賛成なんです、賛成ですけれども、順序というものが大事だと思うんですね。

つまりは、体制整備、受入れ施設、そして、保育士の待遇改善による潜在的な保育士の、免許を持っておられてもやらない方がいっぱいいますよ、給与が低いから。そういう方々がそういう場に来られるような対応策をちゃんととって、そして万全の体制がとれる、つまりは待機児童はその点で生まれないということは、本当に、大丈夫ですということを言い切れますかという質問です。

 

○大口副大臣 前原委員にお答えをさせていただきます。今委員からお話がありました、ゼロ歳から二歳

については住民税非課税世帯だということでございますので、共働きになりますと所得が上がって無償化の対象外になる可能性が高い。それから、三歳から五歳につきましては、九割が既に幼稚園、保育園、認定こども園を利用しているということが一つ。

それから、市町村が毎年度、計画を見直して、そして、計画の潜在的なニーズを具体化して計画の数を積み重ねているんですね。それで、二〇一八年九月時点で受皿の拡大の見込みが約二十九万三千人ということでございます。これは毎年四月一日の時点で、それで公表が毎年九月ということでございまして、しっかりここはウオッチをしていかなければなりませんが、三十二万人の受皿を確保することによってクリアできると今考えております。

 

○前原委員 預けられることによって収入があるということですけれども、それによっていわゆる非課税世帯がなくなるから減るという話は、ちょっと私は御答弁としてはいかがかというふうに思います。

そこは問題点として指摘させていただき、とにかく、順序が大事。施設、受皿、そして保育士の待遇改善。これをきっちりやった上で、本当のいわゆる無償化が行われて、そして、結果として女性も働きたい方は働ける、男女共同参画というものが実現をするということでありますので、ぜひこれは遺漏なくやっていただきたい、また、これについてもしっかりとフォローをさせてもらいたいと思います。

あともう一問、高等教育の無償化についてでありますが、これも必要だというふうには思いますし、やるべきだというふうに思いますが、かなり所得制限が厳しいんですね、これにつきましては。

もう時間も迫ってまいりましたので、一問だけ。

七千六百億かかるということでございますね。

全体の財源が七千六百億かかるということですけれども、これを拡大されるおつもりはありますか。

まずは、もちろんこれでスタートをされてということですが、恐らく同僚議員も、地元に帰られて、選挙区に帰られて、私学の子ほど奨学金をもらっている子が多いですね。三百万から五百万、卒業時に借金を持っているという話はざらにありますし、ある私学の学長と話をしたときには、半分ぐらいが三百万から五百万の借金を抱えて卒業します、こういうお話もございました。そういう意味においては、この制度は必要だし、第一歩としては評価をいたしますが、拡充するという考え方があるか、必要性を感じておられるかどうか、その点について御答弁ください。

 

○浮島副大臣 前原委員にお答え申し上げます。

家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは大変重要なことでございます。

一方で、我が国の高等教育費に占める私費の負担の割合はとても大きく、二〇一五年のOECDデータによれば、OECD平均の約三割に対して日本は七割となっているところでございます。

このため、文科省といたしましては、奨学金や授業料減免の充実により高等教育の経済的負担の軽減に取り組んできたところでございますけれども、今回更に、国民負担の原資として、真に支援が必要な低所得者に限って、授業料減免と給付型奨学金、これの拡充を行うこととしたところでございます。

所得制限を設けず、一律に高等教育の無償化を行うこと、これにつきましては、卒業後の進路が多様であることもあり、進学せずに働く者との公平性等も十分に踏まえながら慎重に検討する必要があると考えているところでございます。

 

○前原委員 少子化の問題というのは、いろいろな複合的な要因があると思います。その際、私が皮膚感覚で思うのは、大学を卒業するときに、例えばある私学で、それは学長がおっしゃっていたことですから事実でありましょう、それは全体に、それこそ普遍化できるかどうかわかりませんが、半分の学生が三百万から五百万の借金を抱えて出ていっている。そんな子供が、すぐ結婚とかできませんよね。

私の知り合いの会社は、大卒の、借金を持って入ってきた子たちの借金を肩がわりするんですよ。

肩がわりして、何年か何十年かかけて、分割でいわゆる給与から天引きをするということをやって、負担を軽減してあげるということをやっているんですね。それは、ある意味でその企業に優秀な人材を抱え込むことにもなるわけです、そういう形態をして。

ですから、今の副大臣の御答弁は今の文科省の公式答弁なんでしょうけれども、政府全体の中でやはり問題を考えたときに、少子化対策というものは本当に喫緊の課題です。一番私は今危機感を持っているのは、やはり人口減少の問題ですね。

働く人もいなくなるし、特に地域はこれから本当に若い人が少なくなって、そして、先ほどの話じゃないですけれども、長寿化が進んでいきますから。増田レポートだと、二〇四〇年、一番人口が減る県は秋田県ですね、今のままいったら。秋田県は二十年後には人口が三分の一減ります。三分の二になって、しかも、その三分の二の三分の一は七十五歳以上です。これが、このままいった場合の日本の将来像ですね。

そういうことを考えたときには、やはりさまざまな観点で、どうしたら、先ほど麻生大臣からも御答弁がありましたけれども、現役世代に対しての再分配をどう拡充していきながら日本の課題を解決していくかという視点は物すごく必要だというふうに思うことをまず伝えて、さらなる努力を求めたいと思います。

さて、日銀総裁にお越しをいただいておりますが、この間の財務委員会で、予算委員会ではなくて財務委員会で質問したことについて、改めて伺いたいというふうに思います。

それは、ETFの買い増しというものはやはり問題があるんじゃないかというのが私の問題意識であります。

ニッセイ基礎研究所というところが、これは日銀に会社の保有比率を出してくれと言っても出してくれないんですね、株価に対する影響があるということで。まあ、それだけ、影響があるだけ買っているということですよ、要は。

これはあくまでもニッセイ基礎研究所の推計でありますけれども、例えば、皆様方がよく知っておられる会社でいいますと、京セラ、二〇一六年七月末の日銀の保有比率は五・六、二〇一八年九月末は一二・五ということで、二年余りで倍以上のいわゆる比率になっているということであります。ファーストリテイリング、これは、一六年七月末が九・〇、これが二〇一八年の九月末で一七・九。アドバンテストという会社は九・八が二〇・〇ということになっていて、これだけ日銀が大株主になっているわけですね。さて、ここで日銀総裁にお伺いしますけれども、株をずっと買い増しをしているわけです。国債は期限が来たら償還して減っていきますけれども、株は減らないんですね。そして、株が上がるにつれて簿価も上がりますね。そうすると、損失の可能性というのも出てくるということで、ETFを買い続けるということについてはやはり、もちろん、経済に効果があるということでやっておられるということはわかりますけれども、副作用も大きい。先ほど申し上げた数字は、総裁からは明確にお答えできないと思いますけれども、でも、これだけの名立たる企業の二割前後の株主に日銀がなっているということ、そして、それがまさに株の下支えをし、そして株式市場の公平さをゆがめている、こういう認識はございませんか。

 

○黒田参考人 御案内のとおり、ETFを構成する株式の議決権は、ETFを組成した投資信託委託会社が信託銀行を通じて行使することになっておりまして、現在のETFの買入れの枠組みのもとで、日本銀行がETFを構成する株式の株主になっているわけではございません。ただ、御指摘のように、間接的にETFを通じて株を持っているではないかと言われますと、間接的にはそうですけれども、あくまでも株主になっているわけではないということが第一点でございます。

第二に、確かにETFを年六兆円程度の規模で買い入れておりますので、現時点でのETFの保有額は二十兆円を簿価でも上回っているわけですけれども、ETFを通じた株式の状況は、株式市場全体の規模からいいますと四%程度でありまして、株式市場全体の株価に大きな影響を与えるというものではないと思いますが、確かに、リスクプレミアムを圧縮するという意味では株価に一定のプラスの影響も与えているでしょうし、特に、昨年末からことしにかけて株価が大きく変動しました際には、六兆円程度という中でかなり大きく毎月の買入れ額が変動しておりますので、その意味で、リスクプレミアムの拡大を防ぎ、株価の大きな変動を少し和らげたという効果はあると思います。

先ほど申し上げたとおり、直接株式を保有しているわけではありませんし、また、株価総額全体の中では四%程度ということでありますので、御懸念の点については私どもも十分考慮しつつ、例えば、株式市場全体を代表するような、TOPIXをベースにしたようなETFにシフトするとか、そういう形で、なるべく個別の株価に影響を及ぼさないように、マーケット全体のリスクプレミアムを圧縮するように努力をしているということでありまして、御懸念の点は十分考慮しつつ、現時点ではやはり必要な対策、政策の一環であるというふうに認識をしております。

 

○前原委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、やはり今後、世界の経済の循環というものを考えたときには、なかなか厳しい局面になってくる。そうすると、この間、答弁で、追加緩和というものも必要だということでありますけれども、やはり金融機関への影響、株式への影響ということを考えた場合に、日銀のとれる政策というのはかなりナローだと私は思いますよ。

今おっしゃったように、やはりマイナス点もしっかり認識をされながら、こういうものからは徐々に、うまく量的に、国債を買われるのをイールドカーブコントロールに変えられたじゃないですか。私は、あれは非常にうまいやり方だったと思いますね。ああいうような形で、このETFのリスクも何らかの形で変えていかれるように私は望んでおりますし、また議論させていただきたいと思います。

終わります。

 

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