毎日新聞「政治プレミア・前原誠司の直球曲球」(2019年1月16日)より
参院選 国⺠⺠主と⽴憲 峻別しつつ切磋琢磨
国⺠⺠主党の最⼤の課題は、どういう政策を持ってどういう社会を⽬指すかということを、まだ明確に国⺠に伝えることができていないことにある。参院選に向けて国⺠に理解してもらえるよう努⼒しなければならないし、その前提として考え⽅をしっかりまとめなければならない。
「リベラル保守」という枠で考えれば、マーケットは⼗分に⼤きいと思っている。2017年の衆院選で⽐例票は⽴憲⺠主党の1108万票に対し、希望の党は967万票だった。希望の党がとった約1000万票に訴えかけられるような魅⼒的な政策メッセージを出さなければならない。
■野党各党が⽴ち位置を確⽴する
参院選では改選数1の1⼈区で野党が統⼀候補を⽴てるということはすでに共通認識になっている。ただ、それから先は⼀つにまとまることがベストだとは思っていない。
国⺠⺠主と⽴憲のマーケットは同じではない。リベラル左派的な⽴憲とリベラル保守的な国⺠⺠主が切磋琢磨(せっさたくま)するなかで共通の敵である⾃公政権をどう追い込むのかということをしなければならない。
特に選挙と国会対策、この⼆つについてはしっかり協⼒する。しかし協⼒する部分と切磋琢磨する部分は峻別(しゅんべつ)する。⾃分の⽴ち位置を確⽴するということはお互いにとって⼤事なことだ。
■共通は再分配政策と原発のない社会
⼀⽅で、野党の共通軸もある。
昨秋の臨時国会を⾒ていても、安倍政権の特徴は経済界の要請を最優先に考えていることだ。⼊管法改正、⽔道法改正、漁業法改正、そこがみな共通している。
事業認可を⾃治体に残したまま運営を⺠間に委託する「コンセッション⽅式」は私が国⼟交通相だった際に⽇本で初めて空港に導⼊したし、すべて否定するものではない。しかし、⺠間に委ねるということが⾄上⽬的になってしまってはおかしい。
経済成⻑はあくまで⼿段であって⽬的であってはならない。しかし安倍政権は経済成⻑⾃体が⽬的になってしまい、国⺠のさまざまな課題、そして不安に⼿を差し伸べられていない。
教育無償化、働く⼥性の⽀援、⽼後の安⼼といった再分配政策を⼿厚くしないかぎり、今の⽇本の課題は解決しないという認識では野党は⼀致できる。
もう⼀つは原発のない社会を着実に進めていく。再分配政策と原発、この⼆つが野党と⾃公政権との⼤きな違いだ。
お互いの特⾊を出しながら選挙では協⼒し、次の衆院選では政権交代を実現して、たとえば連⽴政権を⽬指す。そういう構想を描きたい。
<出典:毎日新聞「政治プレミア」http://mainichi.jp/premier/politics/>