○前原委員 民主党の前原でございます。
まず冒頭に、ことしは、広島を初めといたしまして、全国各地で豪雨災害が起きました。お亡くなりになられた方々に対して心よりお悔やみを申し上げたいと思いますし、また、被害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げます。
政府には、復旧復興に対して、スピード感を持って万全の体制をとられることをまず要望いたします。
また、先般の御嶽山の噴火によりお亡くなりになられた方々に対して心よりお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
消防、警察、自衛隊、あるいは地元自治体の職員の皆さんが、危険と隣り合わせで大変な救助活動に日夜従事されておられますことに心から敬意と感謝を申し上げ、行方不明者が全員早期に見つかられますことを衷心より祈っております。
さて、安倍総理、第二次安倍内閣が発足をしてから約一年九カ月がたちました。経済再生をうたわれて、そして三本の矢というものを打ち出されて、そして国民やマーケットの気を大きく変えたということについては、私は、トップリーダーの姿勢として率直に評価をしたいと思います。比較的高い支持率というのは、そういった、株価の上昇もありますけれども、国民の評価の裏返しかと思います。
さて、きょうは、今までの与党議員、あるいは安倍総理の御答弁にもありましたけれども、アベノミクスがうまくいっているというのは本当かということについて、幾つかのファクトから話をさせていただきたいと思います。
まず、一枚目の資料(配布資料)をごらんいただきたいと思います。
まず、私は、主に五つの誤算が今のところ出てきているのではないか、こう思っています。
一つは、これだけ円安になったのに輸出が伸びない。期待をされていたJカーブ効果というのは出ていませんね。
それから二番目。これだけいわゆる量的緩和を行い、そして日銀が国債を買うことによりましてイールドカーブ全体を押し下げた、つまり、金利を下げたにもかかわらず、法人向け貸し出しは伸びていなくて、日銀の超過準備高がどんどん積み上がっている。そしてまた、本来なら賃金の上昇とか設備投資に使ってもらいたい企業の内部留保は、過去最高ですよ、三百十三兆円まで積み上がっている。
三番目。安倍総理は、いわゆる賃金が上昇した、こういうことをおっしゃっておられますけれども、これは名目賃金なんですね。名目賃金は上がっておりますけれども、実質賃金それから実質可処分所得はずっと減少しているんですよ。これは、後でお話ししますけれども、消費税の影響じゃないですよ。その前から、実質賃金、実質可処分所得は減っているんです。
そして四番目。物価上昇は確かに一%を超えてきている。総合CPI、あるいはコア、コアコア、一%を超えてきましたけれども、これも後でお話をしますけれども、悪いインフレが始まっているんじゃないか。つまりは、インフレというのは、需要と供給が逼迫をして、そして経済が過熱をする形でインフレになるということは、それはいいことかもしれない。円安による輸入価格の上昇によって望ましくないコストプッシュのインフレが起きているのではないか。
五番目。財政出動を行い、また補正予算を行うことによって、復興地のみならず全国各地で入札不調が起きている。そして、これは皆さん方も地域に帰られたり、あるいはいろいろな地域に行かれたら聞かれたことがあると思いますけれども、民間の建設投資までとばっちりをこうむっている。こういうことでありまして、建設業界の方々の有効求人倍率は、職種にもよりますけれども、五倍から九倍ですよ。つまりは、一人に対して五社から九社が奪い合っているという状況で、人手が全く足りない。そして、まさに、人が足りなくて倒産をする、仕事ができない、入札不調がふえていく、こういう状況になってきています。
この五つの誤算というのは、本当に、一年九カ月たって、大きな誤算なんじゃないですか。
さて、では、幾つか、全部やると時間がありませんので、幾つか総理と議論させていただきたいと思います。
総理は、去年の四月に海江田代表と党首討論をやられています。これは、異次元の金融緩和の後なんですね。そのときに、急激に円安が進んでいって輸入価格が上昇するという懸念を海江田代表は提示されているわけですけれども、このときに、安倍総理の口から、みずからどうおっしゃったかということをちょっと読ませていただきます。
輸出において、これは去年ですよ、輸出において、経常収支も間違いなく今年度、つまりは二〇一三年度は、大体四・六兆円プラスになりますと。間違いなくという言葉までつけておっしゃっているんです、四・六兆円。実際どうだったか。八千億円の黒字。
そして、再来年度、二〇一四年度は八兆円の経常収支プラスになるということを申し上げておきたいということをおっしゃっている。今年度は八兆円プラスになるとおっしゃっているんです。一月から六月までの上半期、五千億円の赤字ですよ。全然、総理がおっしゃったこととかけ離れているじゃないですか。
好循環というのは、消費がふえる、輸出がふえる、設備投資がふえる、こういうものでないと好循環になりませんよね。輸出は、総理が間違いなくとおっしゃった言葉からはかなり乖離をして、そしてJカーブ効果が出ない、そして、むしろことしの一月から六月は減っているということでありますが、これは誤算じゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、安倍政権が誕生した後と、する前についてお話をさせていただきたいと思いますが、二〇一二年の四月―六月期、七月―九月期でありますが、マイナス二・二%とマイナス二・七%であったんですね。まさにマイナス成長が続いていたわけでありますが、しかし、我々が政権をとったその後は……(発言する者あり)その後は、皆さんは聞きたくないと思いますが、一応、経済のことですから、説明させていただきたいと思います。(発言する者あり)
○大島委員長 御静粛に。
○安倍内閣総理大臣 二〇一三年一月―三月期においては、まさに四月―六月期の実質成長率は、それぞれプラス五・一%とプラス三・四%になったわけであります。まさに、マイナス成長だったものをプラス成長にした、これは前原委員もお認めになるだろう、このように思います。
そして、有効求人倍率も、基本的に、我々が政権をとって以降ずっと成長が改善をしているわけであります。そして、有効求人倍率においては二十二年ぶりの、まさに高い水準になっているということであります。
そこで、今御質問のあったのは輸出についてであります。輸出については、確かに、これは我々が予想していた伸びがなかったのであります。これはさまざまな原因があるわけでございます。
経常収支には貿易収支と所得収支があるわけでありまして、所得収支の方はふえておりますが、貿易収支においては赤字になっています。そして、輸出自体も余り伸びていない。
赤字になっていることについては、燃料費代の、原子力発電所をとめているという効果もあるのは、これはお認めになるんだろう、こう思うわけでありますが、輸出については、輸出数量は横ばいに推移しているわけでありまして、この背景には、新興国の需要が減速したこと、そして、それと同時に、日本企業が現地の外貨建て販売価格を余り引き下げずに、輸出数量ではなくて収益で稼ぐ傾向が強まったということであります。ですから、数量がふえなかったんですが、収益……(発言する者あり)済みません、ちょっと、少し静かにしていただけますか。やじをし続けるというのはやめていただきたいと思います。
そして、輸出数量ではなくて、いわば収益に重点を置いた。しかし、収益に重点を置いた結果、輸出企業においては、相当、これは税収としては、我々、ふえているということは申し上げておきたい、こう思います。
それと、どれぐらいかはまだ今調べてみなければわかりませんが、円高基調が長い間、我々が政権を取り返すまで円高基調が続いておりましたから、多くの企業が製造拠点を海外に移していたということもあるわけでございます。
そして、この諸条件の変化が、まさに為替の状況が、今のこの為替水準に続くかどうかというのを見ているわけでありまして、その中から、今後、国内への投資が伸びていくことによってそれはさらに是正されていく。これは少し時間がかかることでありますが、この輸出の伸びについては、我々の予想を下回ったというのは事実でございます。
○前原委員 安倍総理、長期政権を目指される総理であれば、もうそろそろ、一年九カ月たったら、民主党政権がどうのこうのというようなことをおっしゃるのはちょっと小さく見えますから、余り言われない方がいいと思いますよ。言われると、やはり私もお応えをしなきゃいけないところがあるんです。
ここの事実を申し上げましょう。麻生政権から我々が継いでから、有効求人倍率は麻生政権末期に幾らだったか。〇・四三ですよ。我々が政権をとったとき、〇・八何まで回復したんです。失業率が五・四から四・〇まで下がったんですよ。そして、実質GDPは四百八十九・二兆円から五百十五・二兆円まで上がったんです。
先ほどの、こういうふうに、民主党政権でも、麻生政権の後を継いで経済はよくなったんですよ。 経済はだめになったというステレオタイプの批判は、もうやめられた方がいいと思いますよ。
それと同時に、これも申し上げておかなきゃいけない。僕は、ずっと総理がおっしゃるので、二〇一二年のことを申し上げますと、あと、円高のことも先に申し上げましょう。
民主党政権でいつから円高になったか、覚えておられますか。三・一一ですよ。東日本大震災の後から急激な円高になったんです。円安になると思っていたのが、復興需要が見込まれるということの中で急激に円高になったんですよ。ですから、民主党政権の三年三カ月がずっと円高で、そしてその間に何か空洞化が進んだような、そういう言い方はやめられた方がいいと思います。これは、事実関係として我々は申し上げておきます。
それから、先ほど、政権交代前の年のマイナス成長とおっしゃいました。それはそうです。そういうところはあったと思います。それは率直に認めなくてはいけませんけれども、参議院選挙に負けてねじれていたんですね。そのときの野党の皆さん方の方が数が多かった。そのことによって、我々は補正予算は剰余金でしか組めなかったんですよ。剰余金だけで組めなくて、我々が補正を組もうとしたら、そういう経済が腰折れしそうなときに足を引っ張ったのは自公の野党じゃないですか。そういうような状況があったということは、事実として申し上げておきたい。
私ももう言いませんから、総理も民主党政権のときの話はもうそろそろ、一年九カ月たっているから、お互いやめにしましょうよ。前向きな話をしましょう。
輸出が伸びないというのは、私も意外だったんです。これはもっと伸びると思った。これは別に安倍さんに全て責任を負わそうという気はない。 だけれども、御本人が、間違いなく二〇一三年には幾ら、二〇一四年には幾らとおっしゃっているから、そのことについて、違いますねということで、誤算ですねということを申し上げているわけです。
では、二つ目。(配布資料)
所信表明演説で総理は、こう誇らしげに言われましたよね。この春、多くの企業で、賃金がアップしました。連合の調査で、平均二%を超える賃上げは過去十五年間で最高です。中小企業、小規模事業者でも、一万社余りの調査において、六五%で賃上げが実施されています。頑張れば、報われる。日本は、その自信を取り戻そうとしています。
これをごらんください。これを見ていただくと、輸入物価指数、つまりは、円安が進むことによって輸入物価指数がどんどん上がって、そしてその結果、先ほど申し上げたように、消費増税前ですよ、消費増税前に実質賃金も実質可処分所得も下がっているんです。ということは、株が上がった人はいいですよ、株を持っている人は。資産を持っている人はいいかもしれないけれども、一般のサラリーマンや一般の年金生活者の方々の生活は、安倍政権で、アベノミクスで苦しくなっているということを示しているじゃないですか。
総理、これは、賃金は名目じゃなくて実質で見るべきじゃないですか。本当にトリクルダウン、好循環というものをもたらすのであれば、こういう名目賃金で所信表明演説で誇るよりも、実質賃金を上げなきゃいけないということをお認めになった方がいいんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、雇用状況については、有効求人倍率が二十二年ぶりに高い水準になっている。失業率も低い水準になっています。いわば雇用市場についてはだんだんタイトにすることができています。
その中で、多くの人たちが仕事につくことができているわけでありますが、その中において、必ずしも正規だけではなくて非正規、景気がよくなり始めたときには、だんだん、企業も今までの経営マインドが残っていますから、慎重にいきますから、どうしてもまず非正規をふやしていく。そして、非正規の中でも短時間の人たちをふやしていきます。
そうしますと、例えば、今まで私だけが働いていた。私は収入が二十万でしたよ。そして、しかし、パートでうちの家内も働けるようになった。となると、十万円足して家計は三十万円になったんですが、しかし、二人足して三十万円ですから、平均すると十五万円になるんですね。平均すれば下がるんです。しかし、家計ではふえていますから、そうしますと、どう見ていくかということになるわけでありますが、そのときの見方として、国民全体の所得、賃金である総雇用者所得で見ていくことが大切でありまして、今言ったような要素も加えて見ていくことが大切だろうと思います。
そこで、名目総雇用者所得は八月に前年同月比でプラス二・一%でありました。そして、昨年四月以降、十七カ月連続で上昇基調にあるわけであります。また、実質総雇用者所得は、これは実質でありますが、七月には前年同月比プラス、それでも〇・二%でありますが、プラスになりました。しかし、八月はマイナス一%になっています。
それは、消費税を三%上げていますから、私も昨年の予算委員会でお話をしているとおり、我々が今進めている経済政策においては、物価安定目標の二%があります。そして、二%上げていきますが、この二%に賃金が追いつくようにしていきますよというのが我々の政策であります。そして、賃金が追いついていく上においては、少し時差があるということも申し上げています。
浜田先生は二年間かかるとおっしゃっていたんですが、これは政治的には長過ぎる。デフレマインドが再び頭をもたげてくる危険性がありますから、なるべく早く賃金を追いつくようにしたい。そのためにも、機動的な財政政策をしっかりと進めていく、また成長戦略を進めていくことが大切ですねということを申し上げています。
しかし、消費税が上がった分については、これはまさに年金や医療の分で国民にまた給付するものでありますから、ここについては、残念ながら、これは追いつくことはできないわけでございます。
ですから、我々が申し上げているのは、まさに物価安定目標についてはこれを超えていくようにしていく。一回限り、消費税については一回上がって、物価については、物価安定目標については毎年上がっていくわけですから、この毎年毎年のものにはしっかりと追いついていきますと。
消費税は一回なんですが、ことしやって来年もやるということになれば来年も上がりますが、その後は、消費税はしばらく上げていくということにはなっていないわけでありますから、それはその後、さらに経済を成長させていくことによって追いつかせていきたい。
これが全体の我々のプランでありまして、これには、最初に申し上げた我々の政策どおりには、一応、賃金は追いついていっているというのが我々の考えであります。(拍手)
○前原委員 これはまだ拍手をするようなところじゃないんです。
これは裏がありまして、後で調べていただいたら結構なんですが、総雇用者所得というのは公務員の給与も入っているんですね。公務員の給与というのは、震災で二年間、七・八%平均で下げたんです。それを戻しているんですね。戻しているからその部分が入っているということと、これは厚生労働省の発表のものですけれども、厚生労働省が発表しているものには公務員は入っていません。それと同様に、企業の役員レベル、つまりは、そういう資産を持っているような人たちはこれは入っていない。
だけれども、先ほどの総理が引用されたところには、公務員とそういった役員報酬も含まれているんですよ。つまりは、一般の国民の、一般サラリーマンの方々は、それは、総理がおっしゃるように、私は全否定はしません、有効求人倍率は上がっていますよ。だけれども、一九八八年、全労働者に占める非正規雇用の割合はどれぐらいだったか、一八・三%ですよ。今、三八まで上がっているじゃないですか。
つまりは、どんどんどんどん非正規雇用が上がっていく中で、しかも、非正規雇用の方々の六割ぐらい、一千百万人ぐらいの方は年収二百万円以下ですよ。そういう方々が、総理が言うように家計で合わせてといっても、結婚できていない人もたくさんいますよ。
そういうような方々を考えると、どれが一般の国民目線、一般の年金生活者の目線で正しいかというと、総理がおっしゃるのじゃなくて、これが正しいんですよ。つまりは、実質賃金が下がり、実質可処分所得が下がっているから生活が苦しくなり、そして消費が伸びないんじゃないですか。つまりは、これも、まさにトリクルダウン、好循環というものの大きな誤算じゃないですか。
総理、伺いますけれども、総理は実質賃金が上がった方がいいと思われるでしょう。名目のことばかりおっしゃいますけれども、これは前向きな話をしたいんですよ。本当にそのトリクルダウンが起きるのであれば、実質賃金を上げるとおっしゃってください。そして、非正規よりも正社員の方が多い働き方の方がいいと、この二つについておっしゃっていただけませんか。それなら私は、前提として、総理がやられようとすることについては一定の理解をしますよ。
○安倍内閣総理大臣 これは、もちろん、先ほども御説明をさせていただいたとおり、物価安定目標をしっかりと持って金融緩和を行い、そして大胆な機動的な財政政策を行っていくという中において、デフレから脱却をしなければ。まずデフレから脱却しなければ経済は健全に成長しませんから、このデフレから脱却するということに重点を置いています。その中においては、まさに物価をある程度、物価安定目標に向けて、緩やかに上がっていくという目標に向けて進んでいく必要はあります。
しかし、それと同時に、賃金が、あるいは先に行くということには、残念ながら、これはなりませんし、やった国なんかはないわけであります。十五年以上続いたデフレから脱却するということはそう簡単なことではない中において、思い切った政策をやらなければ脱却できないわけであります。
そこで、今やっている政策の中においては、時差はあっても、しかし、それは追いつくようにしていく、そしてその時差はなるべく短くするというのが我々の政策でありますので、当然、実質賃金がしっかりとふえていくというステージには入っていきたい。ただ、それには少し時間がかかるというのと、そしてもう一つは、消費税を上げたという要素があることも、それは御理解をいただきたい。
消費税を四月に上げましたから、この上がった分は、これはまさに国民の皆様に、年金、医療、介護、社会保障を持続していく、子育てを支援していくために皆さんに出していただくというものでありますから、これは分けて考えていただきたい、こういうことでございます。(前原委員「働き方」と呼ぶ)
正規、これは、もう今までも申し上げておりますように、働き方に対するニーズはいろいろでありますが、正規雇用を目指したいという方が、その希望が実現されるような、そういう支援は、今も行っておりますが、これからも行っていきたい、このように思います。
ですから、今確認ができたことは私は非常に前向きに捉えているんですが、これから実質賃金で言ってください。名目ではだめです。実質賃金で上昇が大事だと今総理はおっしゃったんですから、実質賃金を上げるということ。
それから、本当に正社員として働きたい非正規の方々が正社員になる社会をつくりたいということをおっしゃったんですから、その二つを総理がおっしゃる好循環に入れていただきたい。それを我々は前提に、これから話をしようじゃありませんか。
さて、日銀総裁に。日銀総裁、来られていると思いますが。
十月三日、きょうですね、きょうの恐らく今の為替は、私は明確にわかりませんが、先ほどは、お昼ごろは、大体百八円の八十銭ぐらいだったと思います。円はドルに対して、九月だけで五円超下落いたしました。これについて、経済同友会代表幹事の長谷川閑史さんは、国にとっても産業界にとってもプラスではない、こう発言されています。
中小企業を会員企業とする日本商工会議所がまとめた調査、これは九月の十二日から十九日に実施しておりますけれども、会員企業が望ましいと考える為替水準は、百円から百五円未満が三八・八%、そして次に多かったのが九十五円から百円未満、これは三〇・五%です。約八割の企業が現在の為替水準は望ましくないと考えているということなんですね。
さて、黒田総裁に伺います。
まず、簡単な質問です。
去年の四月に異次元の金融緩和をされたときに、二年で二%の安定的な物価上昇というものを約束されました。この二年で二%の物価上昇の考えは変わっていませんか。そして、実現できますか。
○黒田参考人 考え方は変わっておりません。二年程度を目途に、できるだけ早期に二%の物価安定目標を実現する、しかも、それを安定的に持続できるようにしたいというふうに思っております。
○前原委員 それでは、資料の三枚目(配布資料)をごらんいただきたいと思います。
これがいわゆる物価上昇率、指数をあらわしたもの、CPIですね。そして、一番赤いのが、左上を見ていただきますと、総合というもので一・二%、コアという生鮮食料品を除いたものが一・一%、これは増税の影響を除いております、それからコアコアが〇・六%、こういうことでございます。
黒田総裁、これは、二年で二%というのはコアCPIで見るということでよろしいんですよね。そこで首を振っておいていただいて結構です、時間がもったいないですので。
○黒田参考人 物価安定目標を昨年の一月に決定したわけでありますが、従来から物価安定目標の議論のときには総合指数というものをターゲットにしているということは事実ですが、ただ、生鮮食品は非常に大きく振れますので、趨勢を見るためにはどうしても、コアといいますか、生鮮食品を除いた指数を見ていくということになると思います。
目標自体は総合指数というふうに御理解いただきたいと思います。
○前原委員 それでは、先ほど、二年で二%の安定物価上昇を目指すということをおっしゃいましたが、変わりない、そしてできるということをおっしゃいましたけれども、今見ていただくと、総合が一・二、コアが一・一で、あと何カ月あるかということを考えますと、半年ぐらいなんですね、四月ですから、四月の一番初めに始まったわけですから。これは、相当程度、今のままだったら、総合は落ちてきていますから、これを上げてくるというのは大変です。
ただ、私は若干上がってくると思うんですね。それは、右の下を見ていただきたいんですが、「コアCPIの前年比と寄与度」というところであります。
では、物価上昇は何で上がっているのかといったところが大事なことでありまして、この赤いのが実はエネルギーなんですよ。エネルギーというのは、まさに、日本は油もとれません、そして天然ガスも輸入しているということですから、これは輸入なんですね。つまりは、輸入品によってこれはかなり上がっている。コアコアとコアの差がこれだけ開いているということは、まさにこの輸入部分が大きいということの証左であります。
そしてまた、非耐久消費財という青いところ、これは食料なんですね。一般の、今テレビを見ておられる皆さん方からすると、十月一日から食料品がかなり値上がりしています。つまり、輸入物価が上がることによって食料品が上がっている。皆さん方が口にされている食料品のカロリーベースでいうと六割が輸入品です。
となると、この寄与度を見ると、エネルギーと、そしていわゆる非耐久消費財というのは食料で、円安によって輸入価格が上がることによって上がっているということで、まさにこれは、経済がよくなっているのではなくて、コストプッシュ型、悪いインフレが起きているんじゃないですか。黒田総裁、お答えください。
○黒田参考人 御指摘のとおり、輸入財、特に価格弾力性の低いエネルギー関連のものにつきましては、輸入価格が上がると比較的早く国内物価に影響していくということは御指摘のとおりであります。
ただ、そうした中で、消費者物価指数全体がどのように動くかということは、もちろんこういった積み上げ方式で先行きは私どもも見ておりますけれども、一定の期間をとった場合には、全体としての需要の動向がどうかということがやはり物価上昇率に対しては影響してくるというふうに思っております。
したがいまして、委員御指摘のとおり、エネルギー部分がかなり物価の押し上げに貢献していたということは事実でありますし、逆に言いますと、今若干物価の上昇率が下がってきているというのは、この委員のグラフでも示されているとおり、一年前のエネルギー価格が上がっていたものが剥げ落ちてきているということで若干下がっているということであります。
ただ、あくまでも物価上昇率を趨勢で見ていく場合には、そういったことも全て含めてどうなっていくかということを見ますので、私どもとしては、今若干垂れていますけれども、委員も示唆されたように、これから今年度の後半にかけてまた物価上昇率は少しずつ加速していく。これは基本的には、需要の関係で、労働市場にしても一般の財の市場にしてもだんだんタイトになってきて、物価や賃金が上がりやすくなってくるということではないかと思っております。
○前原委員 そんな物価上昇というものを誰が望むんですかね。輸入物価が円安によって上がる、そして、二年二%は実現をする、そのためにいろいろな施策を行うといって、そんな物価上昇を誰が国民は望むんですか。
そして、それをもしやろうとすると、例えば追加緩和なんかしたら、もっと円安が進みますよ。円安が進んだら、さらに輸入価格が押し上がって、そして、要は、今度また十月末に発表されるかもしれませんが、今年度の実質GDPの成長の見通し、ずっと下方修正されていますよね、日銀。九名の政策審議委員の見通しはずっと下方修正。今、一まで落ちましたね。初め、一・六が一番高かった。一まで落ちて、これは〇・五じゃないかと言われている。
そういうような中で、無理やりコストプッシュ型の、輸入価格が上がることによって、そしてインフレが起きている、それをまた二年で二%で、また追加緩和も含めてやろうということになると、さらに円安が加速してコストプッシュ型になる。
そして、先ほどのように、実質賃金、実質可処分所得が減って、成長率が落ちて、物価だけ上がるということになると、スタグフレーションになるんじゃないですか、日本は。皆さん方がやろうとしていることは、このまま本当にやり続けるとスタグフレーションになりますよ。いかがですか。
○黒田参考人 ただいまの点については、若干違った角度からお話しさせていただきたいと思いますが、為替レートが、例えば円高になった場合には、確かに一方で、特に、価格弾力性の低いエネルギー関係の輸入物価そして国内物価を押し上げていくという効果があることは事実でありますが……(前原委員「円安ですね」と呼ぶ)円安のときに。
他方で、輸出あるいはグローバルに展開している企業の収益をよくするという面もあるわけでして、ここは、エネルギー価格自体が国際的に上がっていくときは、日本のようなエネルギーの輸入国としてはプラスはなくてマイナスだけなんですけれども、為替の動きの場合にはその両方の効果がありますので、経済実態と合った形で為替が円安になっていった場合に、経済全体としては何か大きな問題を引き起こすということはない、全体としては、むしろ恐らくプラスだろう。
ただ、産業とか企業規模によっていろいろな影響があるということは委員よく御存じのとおりでありまして、製造業、特に大企業には非常に大きなプラスになるのに対して、非製造業、これは輸出がほとんどなくて一部輸入品のコストが入ってきますので、そういうところにはむしろマイナスにきくということはあると思いますが、ただ、円安が何か日本経済全体としてマイナスになるというようなことではないというふうに思っております。
○前原委員 確かに円安にはプラスマイナスがありますね。
しかし、このアベノミクスというのは、私は格差を広げる政策だと思っているんですよ。つまりは、株が上がることによって、持っている人はよりお金持ちになる。しかし、一般のサラリーマンや一般の年金生活者は、先ほど申し上げたとおり、実質可処分所得、実質賃金は下がっているわけですから、どんどんどんどん生活が苦しくなっているということですよね。
そして、後でお話ししますけれども、大企業は為替効果でもうかっているところは確かにありますよ。だけれども、中小零細は大変なことになっている。
そして、地方はどうか。先ほどから与党の議員にもありました。地方の方々は、一家に一台どころか一人に一台、車に乗る。そうするとガソリンを使う。そして、農業に従事されている方々、肥料、飼料、この値段が上がっていますよね。そして、漁業に携わられる方々、これは燃油価格が高騰している。トラック業界、運輸業界、零細企業、大変な企業が多いですよ。非常に困っているところが多いじゃないですか。
つまりは、このアベノミクスというのは格差を広げる施策なんですよ。格差を広げる施策で、トリクルダウン、そして、そのいいものが好循環になればいいけれども、実際問題、先ほどから申し上げているように輸出はふえていないんです。先ほど輸出がふえるということをおっしゃいましたけれども、一ドル八十円のころから今百十円ぐらいになったって、輸出は伸びていないじゃないですか。
そういうようなことを含めて考えると、実際問題、このアベノミクスということについては、私は、今のまま、誰も望まない、二年で二%という物価目標をやって、そして、コストプッシュ型のインフレになって、さらに一般の国民の生活は疲弊をする、そして、中小零細企業は困る、地方は困る。地方創生と全く逆のことをやろうとしているのがアベノミクスだということは申し上げておきたいと思います。
去年の十月二十一日、予算委員会で、総理は、ゴルフに例えて答弁されているんです。覚えておられますか。デフレで、バンカーに球が入っている、バンカーに入ってしまって、バンカーから出てグリーンに乗らなきゃいけない、そのグリーンの先に崖があるんじゃないかと心配して、ずっとパットを持って打っていた、サンドウエッジを持たなきゃいけない、こういうような話をされましたね。
私、このアベノミクスの、特に財政出動、先ほど補正予算の議論がありましたけれども、先ほどの、言ってみれば、いわゆる入札不調とか建設業界の有効求人倍率を見たときに、補正予算でまた、例えば半分ぐらい公共事業をやったということになると、余計大変になって、復興はおくれますよね。そして、誰も望まないインフレというものを起こして、そして可処分所得が減っていく中で景気が実質的に悪くなるということになったときに、バンカーから出すのに、サンドウエッジじゃなくてもっと大きい番手のものを持って、もっとボールは、グリーンじゃなくて違うところに飛んでいく、そういう施策をやろうとしているんじゃないかと私は思うんですね。
そういう意味では、このアベノミクスというものについて、特に二本の矢、財政出動そして金融緩和については、私は見直すべきときに来ていると思いますよ。いかがですか。
○甘利国務大臣 バンカーでどの番手を使うかは別の話として、確かに、公共事業のクラウディングアウトという指摘はあります。ですから、仮に何らかの対策を打つときには、そういう指摘もしっかり踏まえて財務大臣はやられると思います。
それから、実質賃金の話をされました。しかし、実質賃金は、名目賃金が物価上昇をオーバーライドしたときに初めて実質がプラスになるんです。
実質にこだわったというのは、我々の反省でもあるんですけれども、実は、名目が上がらなくても物価が下がっているから実質賃金は確保されているんだ、経済成長も、名目は伸びなくても物価で引けば実質はそこそこなんだと。でも、こういう反省を込めてやっているんです。それが、まさにデフレなんです。
経済規模がシュリンクしてきちゃったら、税収も入らないし、財政再建もできないし、全部できないんです。だから、経済規模を、名目規模を大きくしようと。名目規模を大きくする中で、名目賃金が一年で一発ではいかないけれども、複数年で実質がプラスになるようオーバーライドしていこうということが大事なんです。
現実、そうすると、どうするかということなんです。
今、企業の売上高収益率というのは五・二%です。これは、一九五四年の統計をとって以来最高値なんです。六十年ぶりです。要は、そこからです、そこは同じ認識だと思うんですが、それをどうやって好循環に還元していくか。
去年は、一巡目は、本来やるべきことじゃない賃上げ要請をして、賃金が上がりました。二・〇四ですけれども、少なくとも上がってきました。これを循環でしていくという作業を我々はやっていきたいんです。
働き方の改革をしていく、そうすれば限定正社員にもなる、非正規が正規に行く道も開ける。そうやって一つ一つ障害を乗り越えながら、やがて名目賃金が実質でもプラスになるようにしていく、その過程だと思ってください。
○前原委員 いや、長々と答弁されましたけれども、当たり前のことをおっしゃっているんです。
デフレのときは名目が大事なんです。だけれども、今デフレを脱却しているわけでしょう、脱却させると言っているわけでしょう。そのときに……(発言する者あり)だってCPIは上がっているじゃないですか。そのときに、実質がこれから大事になってくるんですよ。それは同じでしょう、認識は。だから、先ほど私は総理に対して、名目賃金じゃなくて実質賃金を上げるということの方をこれからやってくださいと申し上げて、だから、それは同じ認識なんです。
デフレのときは名目ということを見て、そして、今、実際問題、我々もデフレ脱却は大事だと思っていますよ、脱却は。ただし、私は、今のは番手が大きいクラブを持ち過ぎているということで、やはり臨機応変に見直さなきゃいけないと。何が何でも二年で二%だということになったら、先ほど私が申し上げたように、スタグフレーションになりますよ。そのことを私は申し上げておきたいと思います。
では、総理、消費税の引き上げについてそろそろ御判断をされることになるわけでありますが、仮に、先ほど総理が私のことに対しては反論されて、好循環は続いているんだ、アベノミクスはうまくいっているんだ、こういうことをおっしゃるのであれば、消費税は当然上げますよね。これは、もし消費税を上げないということになったら、アベノミクスはうまくいっていなかったんだということをみずから証明することになりませんか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど甘利大臣が答弁をさせていただきました、また、私が申し上げたように、そもそもアベノミクスというのは、デフレから脱却する。デフレから脱却するというのは、しっかりと経済が成長していく、そして、しっかりと給料がふえていくということであります。
デフレというのは、まさに物価が下がっていく以上に、結果としては恐らく収入も下がっていくという状況から脱却しなきゃいけない。これは、十五年続いていたものを脱却するというのは、相当なマインドチェンジをしなければいけませんから、思い切った政策をしなければならないという中において、三本の矢の政策を打ったところであります。 先ほどいろいろ言われたので、少し反論させていただきたいと思います。
株価でありますが、それは一部の人たちだけが利益を得るのではなくて、いわば株が上がっていく、株を持っている人は資産がふえますから、資産効果としては、例えば給料やボーナスが上がったよりも大きな効果があって、これは消費につながるんですね。消費につながって、買い物をすれば、その物をつくっている人にとってはプラスになっていって、その後は、収益が上がった企業が、これは賃金になっていけば、消費から賃金に、こうなっていくわけでありまして、これが景気の好循環であります。
そして、企業が収益を上げるというところまでは、先ほど甘利大臣から説明をさせていただいたように、多くの企業が相当の収益を上げているのは事実であります。この収益が内部留保に回らずに、しっかりと賃金に転嫁されるようにしていかなければならない。 デフレ下では、なかなか賃金にならないんですよ。お金を持っていれば、それだけで価値がどんどん上がっていくわけですから。人材にちゃんと投入するように、そして、政労使の三者の会談をやって、十五年ぶりの賃上げを成果として得ることができました。そして、来年も上げたい、こう思っていますよ。
しかし、経済の状況というのは、新興国の経済の状況も見なければいけませんし、デフレ脱却を我々は優先しているわけでありまして、デフレから脱却をしなければ財政の健全化もできませんからね。その中において、生き物である経済を見ながら消費税を上げるかどうか判断する。
これはアベノミクスの成功とか失敗とかにはかかわりがないわけでありまして、どういうタイミングで消費税を上げるかどうかというのは、既に法定で決まっているわけでありますが、やはり七―九の状況を見て判断をするというのは、これは当然のことではないか、このように思います。
○前原委員 好循環だとおっしゃっているときに上げられなかったら、いつ上げるんですか。だから、好循環にないということの証明になるということを私は申し上げているんです、意見が違うかもしれませんが。
最後、次の法人税減税について少し議論をしたいというふうに思います。
このグラフ、五番目(配布資料)をごらんください。法人税減税。大企業、中堅企業、中小企業に分けました。政権交代前の一二年の十月から十二月を一〇〇とした場合、今どうなっているかということを示したものです。
大企業については、売上高は変わっていません。でも、利益は、おっしゃるように上がっている。これは、さっき申し上げた為替効果。中堅企業、資本金一億から五億円は、売上高は一〇〇から一〇一にふえたけれども、経常利益は一〇〇から八六に減っている。中小企業については、これは資本金一億円未満、売上高も落ちているし、経常利益も落ちているんですね。
それで、その右を見ていただきますと、企業の中でどれだけ法人税を払っているかというのは御存じだと思います。二七%ぐらいですよ、二七%ぐらい。それで、大企業はどうなのかというと、大企業では黒字企業は七〇%で赤字企業は三〇%。中堅企業になると、六五から三五。中小企業になると、黒字企業は二九になり、赤字企業は七一になるんですね。
ということは、法人税減税、それは、税は少ない方にこしたことはない。しかしながら、実際問題、これだけ内部留保が積み上がっていて、為替のプラスになっているようなところを減税して、そして、先ほどの話にもあったように、その代替財源については必ず手当てをするということは決められている。そして、その決められている議論の中身が、赤字企業からも、さまざまなインフラを使っているところから取らせてもらうという外形標準課税が拡大をされると、まさにこの赤字企業にも、言ってみれば税金がかかるという話になりますよね。
ということは、これは本当に一部のもうかっている大企業には恩恵があるけれども、中堅・中小企業に対しては、まさに、法人税を払っていないところも多いわけですから、恩恵が行き渡らないどころか、外形標準課税が仮にとられれば泣きっ面に蜂ですよね。(発言する者あり)決まっていないといったって、財源はどこかで確保するんですから、必ず財源の議論はされるというふうに私は伺っている。
そうすると、これは何のための法人税減税なんですか。国民には消費税をお願いする、これは決まったことだ。しかし、これだけ利益が、言ってみれば、先ほどの話で、為替効果などで上がっているところは大企業に多い。中堅企業や中小企業は利益が落ちている。そして赤字企業も多い。恩恵を受けない法人税減税は何のためにするんですか。 まさに、経団連から献金再開という話がありますよね。これを結びつけたくはないけれども、勘ぐってしまうような話じゃないですか。ストーリーができ上がってしまっている話じゃないですか。いかがですか。
○甘利国務大臣 内外の投資家にアンケートをとれば、日本に投資することにとっての最大の不安要因は何かというと、必ず三つ挙がります。一つは、エネルギー価格が高い、電気代が高いということ、それから、人の手配ができるかということ、そしてもう一つは、法人税が高いという三つです。
日本の企業も内部留保を抱えています。なぜ今抱えているかというと、これをどこに使おうかという点はあると思うんです。設備投資でも、国内の設備投資に回すか、海外に回すか。海外の方が税金が安いとしたら、向こうでやった方が有利だ。しかし、政府としては、ぜひ国内に投資をしてください、研究開発基盤もつくります、投資減税もいたします、法人税についても手をこまねいているわけではありません、日本を投資家にとって魅力的な地にしますということでやっているわけです。
それから、外形標準の、中小企業に関しては、いろいろな議論があります。ですから、私のところにも、中小企業、赤字企業にかけるのかという心配がいっぱい来ていますから、そこはしっかり配慮しながら組み立てていくことになろうかと思います。
○大島委員長 まだやりますか。
○前原委員 これで終わりますけれども、総理、 法人税減税、では、先ほど、一番初めに申し上げたように、税は、それは安い方がいいんですよ。ただ、何でもって企業は判断をしているかというと、先ほど甘利大臣がおっしゃったような、電気代もあると思いますけれども、やはり給与ですよ、給与。それと、マーケットということを考えたときに、幾ら法人税を下げても、出ていくものは出ていくというのはありますね。
それから、総理に申し上げたいんですが、一年九カ月たちました。好循環が続いているとおっしゃっているけれども、きょう私は五つの誤算というものを出させていただきました。輸出が伸びないということはお認めになりました。そして、実質賃金が上がらなきゃいけないということもお認めになりました。これからアベノミクスの過程を見させていただく中で、私は、このままの延長線上では、日本の再生、黄色信号だと思いますよ。そして、何よりも、格差がどんどんどんどん広がっていき、日本というものの土台が崩れてしまう。その危惧を申し上げて、私の質問を終わります。