140217_4 ○前原委員 民主党の前原です。
まず、昨今の豪雪によりましてお亡くなりになられた方々に、心からお悔やみを申し上げたいと思います。また、被害に遭われた方々に対しても、心からお見舞い申し上げたいと思います。
先ほど山井議員からお話がございましたように、しっかり政府におかれましては対応策をとっていただきますように、私からもお願いを申し上げたいと思います。
さて、まず総理に、非常に大きな質問をさせていただきたいと思います。
一枚目の資料(配布資料)、パネルにはない資料をごらんいただきたいと思いますけれども、これは日本の負債対GDP比でありますけれども、先進国の中で最悪である。日本が二三五%、EUの金融不安、財政不安をもたらしたギリシャは一九三%、そしてイタリア、そしてほかのところは大体一〇〇%前後ということで、大変大きな政府債務残高になっているわけです。
まず、総理に伺います。財政再建の必要性についてどう考えておられるのか、まずそのことをお聞かせいただきたいと思います。総理にお願いします。
○安倍内閣総理大臣 確かに、ギリシャと比べて負債の絶対額については上回っているわけでございますが、御承知のように、負債についてもグロスとネットがあるわけでありまして、日本は多くの資産もある、政府としての資産もあるわけでありますから、これを資産で比べれば、これは全然状況は変わってまいりますし、日本の国債については全て円建て、自国債、自国の円建てでございますが、ギリシャの場合はユーロになっているということでございます。かつまた、日本の場合は、九五%は日本人がその負債を債権として持っているということでございまして、そこは決定的にギリシャとは違う点でもあろうと思います。
同時に、確かに、累積債務があるのは事実であります。国の信認をしっかりと確保していく上においては、これは国債の金利にもかかわってくることでありますから、累積債務についてGDP比で減少させていくべく努力をしていきたい、こう思っておりますし、同時に、利払いのお金がありまして、利払いの金額がふえていくことは、裁量的経費について、これは圧縮されていくわけでありますから、硬直性が増していく。
そうした課題を克服していく上においても、財政健全化を進めていきたいと考えているところでございます。
○前原委員 資産との見合いについては後で議論させていただきますが、若干数字で、私も以前は、国債の国内消化率は九五%と今総理がお答えになった数字を覚えていましたけれども、今は九一・五ぐらいまで落ちているのではないかというふうに思います。
それから、金利が低くおさまる中で、利払い費が、ずっと累積債務が積み上がってきたにもかかわらず抑えられてきましたけれども、増加傾向に出てきた。これだけ金利が低くて、日銀が国債を買って、そしてイールドカーブを下げているにもかかわらず利払いがふえてきているということは、これは大変危機的な問題だと思いますので、最後におっしゃった財政再建、健全化の方向性については、しっかりこれは党派を超えてやっていかなくてはいけない問題である、こう思っています。
それで、もう一つ伺いたいと思うんですけれども、これは総理にお答えをいただきたいと思います。
これは、前の自民党政権、そして民主党政権、そして今の自民党・公明党政権でも基本的に変わっていないと思いますが、確認であります。国、地方の基礎的財政収支の目標については、二〇一五年は二〇一〇年度の赤字半減、そして二〇二〇年には黒字化、この目標は変わっていないということでよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 その目標は変わっておりません。
○前原委員 そして、この二〇一五年度の二〇一〇年度比半減目標というのは達成できますか。これは来年度ですね。
○安倍内閣総理大臣 二〇一〇年度に比べて二〇一五年に基礎的財政収支の赤字の対GDP比を半減していくという目標でございますが、そのために、今年度予算について四兆円の赤字圧縮目標を掲げていたわけでございますが、これを上回る五・二兆円圧縮することができました。
この状況を維持できれば、これは達成できる可能性は十分にあるのではないかと思っております。
○前原委員 五・二兆円の圧縮とおっしゃいましたけれども、消費税が三%上がってという前提ですよね。そして、二〇一五年度の半減目標というのは、これは消費税が一〇%じゃないと実現できない。
今、達成できそうだとおっしゃるのは、今の状況においては、一〇%という、消費税を上げるという前提でお考えになっているということでいいですね、このプライマリーバランスの半減達成目標は。
○安倍内閣総理大臣 既に通っている法律がございますから、通っている法律にのっとって我々は推計をしているわけでございます。
ただ、来年、消費税を八%から一〇%に上げることについては、ことしの四月に消費税を引き上げる、当然、反動減がありますから、この反動減からしっかりと七―九の段階で回復をして、今の軌道にまた戻ることができるかどうかという状況を見ながら判断をしたい、このように考えております。
○前原委員 当然、そういう柔軟な運営にはなると思いますけれども、二〇一五年の達成目標は一〇%に上げるということが前提になっているということは、これは確認をしておきたいというふうに思います。
さて、パネル(配布資料)をごらんいただきたい。総理、財務大臣におかれては、二枚目のチャートをごらんいただきたいと思います。
先ほど総理がおっしゃったように、財政再建というのは、日本においては、何党が政権を担おうとも大変重要な課題であります。
私は、政治家をいつまでやっているかわかりませんが、財政破綻というものを起こしては絶対いけないと思っているわけです。財政破綻を起こしたらどうなるかというと、これは、年金生活者、一般国民が、金利は上がるわ、そして円は暴落をするわ、株は暴落するわということで日本売りになって、そして、今当たり前のように受け取られる行政サービスというものが受けられなくなる、あるいはカットしなくてはいけなくなる、相当カットしなきゃいけなくなるということで、財政破綻だけは何とか避けなきゃいけないということであります。
過去、民主党政権の前の自民党政権においても、財政再建というのは一生懸命に取り組んでこられました。しかし、残念ながら、失敗の歴史でもありました。一九九七年の財政構造改革法、それから、安倍総理が一回目に総理になられたときの二〇〇六年の歳出歳入一体改革がございますけれども、これはいずれも景気後退の影響を受けて、この法律というものが、あるいは考え方というのがうまくいかなかったんですね。
そういったときに、我々民主党政権のときに自民党が、これは谷垣総裁のときでありますけれども、財政健全化責任法案というものを出されているんです。つまりは、中期財政計画、あるいは我々の政権のときは財政フレームと言っておりましたけれども、こういうものは拘束力がない、やはりしっかりと拘束力を持った形での法律をつくり、そして今まで失敗をしてきた二の舞にならないようなスキームをつくるべきだということを提案されたわけでありまして、これは、中身は、我々がさきの国会に出しました財政再建推進法案に、違うところはありますけれども、かなり似通っているんですね。
そういう意味で、総理、お伺いしたいと思います。今、自民党の総裁でもいらっしゃいますけれども、野党のときとはいえ、自民党が、この法案はこれからの財政再建においては必要だということで国会に提出された法案、今でもこの法案は必要だと思われますか。
○麻生国務大臣 野党時代において、これは政権をチェックするという観点からも、財政健全化責任法案を議員立法として提出したということは、承知をいたしております。
その上で、この財政健全化の実効性の確保というのは、責任ある財政の運営におきましては極めて重要なことですが、ただし、それが法則化、法制化されなければならぬというものでもないとは思っております。
いずれにいたしましても、政府・与党として、同法案と同様の財政健全化目標を定めて、中期財政計画に沿ってその達成に向けて取り組んでいるのが、今最中です。
今言われました民主党の財政健全化推進法案において、財政健全化を進めて、国民生活の安定や経済の持続的な成長を図るといういわゆる問題意識というものは、これは同様なもの、同じかどうかわからぬですけれども、似たようなものだと思っておりまして、共通のものがあると思って読ませていただきました。
ただ、現行の予算編成プロセスとはかなり異なる点があの中に入っておりましたので、いずれにせよ、与野党間でよく御議論いただかねばならぬところだと思っております。
○前原委員 与野党間で議論いただければということは、自民党と議論をしろということですか。
そして、今のお答えは、野党のときは、政府をチェックするための法律が必要だけれども、与党になれば要らぬのだ、財務大臣としては要らぬのだという答弁はむちゃくちゃおかしいんじゃないですか。
つまりは、今まで政権与党で、これは我が党も三年三カ月政権を担いましたから、先ほどから申し上げているように、財政再建というのは共通の大きな目的なんですよ。ですから、与党だから野党だから、野党だからチェックをしなきゃいけないから法律は出して、与党に返り咲いたら法案が要らないというのは、おかしいんですよ。自己矛盾なんですよ、それは。やはり、しっかりと財政再建のスキームをつくるということが大事であるということなんです。
そして、政党間で議論してくださいということは、政府は要らぬと思うけれども、自民党とは議論しろということですか。財務大臣、もう一度お答えください。
○麻生国務大臣 妙にひねってとられると困るんですが、真面目に私ども考えて答弁をしているつもりなので。
今のような話ではなくて、少なくとも、この中において、いろいろ、健全化推進法案と健全化責任法案というのは……(前原委員「いやいや、自民党の法案を出されたらどうですかと言っているんです」と呼ぶ)我々としては、先ほど言ったとおり、今の段階として、必ずしも法制化に限定されるものではないと考えているとお答えを申し上げました。
それが私どもの答えなので、では、何でですかと言われると、この推進法案と自民党の出させていただきました責任法の間には、御存じのように、読まれたらわかるように、差異がありますので、そこのところを詰めないと何とも言えないなと思っております。(発言する者あり)
○前原委員 今村議員、ちゃんと聞いているから。私が質問をしていることに答えていない、それ以上のことを答えているから言っているわけですから、それはちゃんと指摘をしておきたいと思います。
これは総理と議論したいんです。財務大臣は財務省のトップですから、与党になれば財務省を主導する、そして要らぬチェックは受けたくない、そういうことで、多分そういう御答弁をされているんでしょう。
これは、私が内閣府で経済財政担当大臣をやらせてもらったときに、野田政権の最終盤でありましたけれども、予算編成の方針でかなり財務省とぎくしゃくしました、どちらが主導権をとるかということで。我々では使っていなかった経済財政諮問会議まで使って、これは法的な組織ですから、そういうところを使ってでもやろうかというぐらい、財務省とはかなり厳しい状況に私はなりました。
でも、これはやはり私は、財政健全化をやろうと思ったら、法制化の必要はないということではなくて、法律をつくらなきゃいけないと思うんです。総理に今からその理由を幾つか申し上げます。聞いていただいて、総理にお答えをいただきたいというふうに思います、これは政治家同士の議論をさせていただきたいと思いますので。
まずは、拘束力のあるという意味は、国会承認ということです。国会に、例えば三年なり五年間の中期計画というものを出して、そして国会の承認を受けるということ。
それから、よくありますよね、予算案を組むときに、会計間、一般会計と特別会計のやりくり、繰り入れ、こういったものはなかなかわかりにくい。そのことによって、言ってみれば全体像が見えにくいということの中で、新たな法律の中身においては、連結ベースでしっかりと一般会計そして特別会計の計画をつくる、また、地方とか社会保障基金を含む一般政府ベースでの計画を策定するということが大事だと思うんです。
そして、なぜ今まで財政再建に失敗してきたのかというと、やはり景気が悪くなるわけですよ。先ほど御答弁をされた麻生財務大臣が総理のときは、リーマン・ショックという、百年に一度というものが起きました。そのときには、財政出動して、あらゆることをやって、そして経済の底が抜けるのを防がなきゃいけないというのはそのとおりですよ。やらなきゃいけない。でも、景気が悪くなって、補正予算をやって、そして、全体の枠がないために、結果的にはそれでどんどん借金がふえていったのが今までの歴史なんですね。
だから、補正予算とかそういったものについての、つまりは、弾力条項というものを設けて、そして景気が回復したときには逆にそういったところでしっかりと、借金をして補正予算を組み、景気の刺激をしたことについて、何らかの歳入の仕組みをしっかりとつくっておくということの中で、景気が悪くなりました、補正予算を借金をしてやりました、それで後は知らぬということでどんどん借金が積み重なっていって、一般会計だけが財政規律を保ったってだめなんですね。だから、そういう意味においては、こういう法律をつくるということが私は大事だと思います。
あとは、これは私も内閣府の担当大臣をやらせていただいて、いわゆる成長率見通しというのは、例えば政府が名目三%、実質二%と決めたら、その前提で計算をしちゃうんですよ。そうしないと国会で突っ込まれるわけです。政府はこういう目的を立てているのに、そういう前提で財政の今後のプライマリーバランスとかを計算していないねと言われたら困るから、それを前提にしちゃうわけですよ。したがって、独立的な第三者機関がそういう成長率をしっかり行う中で財政全体をコントロールするという考え方が私は必要だと思うんですね。
財政法は、総理、これは弾力性を全然考えていないんですよ。なぜなら、建設国債というのは、残るものについては借金していいということで国会の議決は要りませんけれども、いわゆる赤字国債はだめですよね。そして、法律をつくって特例公債にするということですね。ということはどういうことかというと、全てこういう景気の腰折れみたいなものも含めて、いわゆる弾力性をしっかりと前提にしていないのが財政法なんですよ。
だから、新たなものをしっかりつくる中で、本当に財政の縛りをかけていく中で財政健全化を図る。したがって、自民党さんが野党のときに出された財政健全化責任法案というのは、極めてこれは有効な法案なんですよ、中身についてはいろいろ議論はあるけれども。
どうですか。これは総理としてやられませんか、第四本の矢として。これからの財政について、自分自身が責任を持つレールを敷くんだということでやられませんか。
○安倍内閣総理大臣 二〇一一年に、我が党が野党のときに、財政健全化責任法というものをまとめました。
これをまとめたときは、先ほど財務大臣から答弁をいたしましたように、我が党は野党だったという中において、当時の民主党政権が進めている子ども手当あるいは高速道路の無料化、高校の無償化等々に対して、財源がないものに対してこれだけの支出項目を設けるということに対しての危機感の中において、私たちはあの法律をつくったということでございます。
執行部が私の執行部にかわった段階において、これをもちろん法定化すべきかどうかという中においては、私たちとしては、しっかりと新たな支出項目をつくる上においては財源を確保していこうという基本的な考え方のもとに、中期財政計画について閣議了解をしたわけでございまして、この中でしっかりと我々は財政の健全化を図っていきたい、こう考えているところでございます。
同様に、もちろん、今皆さんが出しておられる法案も、一部はちょっと違うところもありますが、そういう法案について御議論をされるということは、私は、それはそれで立派なことだというふうに思っているわけでございまして、国会の中でどのように議論していくかということについては、これは政党間で話し合っていただきたい、こう思うわけでございますが、今、安倍政権としては、既に決めている中期財政計画に向けてしっかりと対応していきたい。
それと、柔軟性をどうやって確保していくかということについては、これは大切なポイントなんだろう、こう思うわけでございまして、経済は生き物でありますから、最初に決めた計画どおりにはなかなか、外的要因も大きなものがありますから、いかない。そのときに機動的に対応できなければ、傷口がもっと広がってしまって、これはもう取り返しのつかなくなる危険性もあるわけでございまして、そういう柔軟性をどう確保していくかということもよく考えていく必要があるんだろう、このように思っております。
○前原委員 野党のときに、時の与党が行っている政策について文句があるから財政をチェックするということで法律をつくるというのは、これは私は考え方としておかしいと思いますよ。全体をどうマネジメントしていくのか。大宗は、自民党政権、あのころの政権がつくった借金じゃないですか。この中で、どの政権が今政権運営につこうとやりくりに困るような状況になっているわけじゃないですか。
先ほどもおっしゃったことで、私は二つ申し上げたいことがありますけれども、民主党政権がやっていたことについて、そしてチェックをするためにこういう法案を出したと言われましたけれども、菅政権のときの参議院選挙でもうねじれていたんですよ。ねじれていることによって、我々、法律については、結果的に、子ども手当は三党合意しないとまとまらなかった。
そして、実際問題、民主党政権のときに景気が腰折れされたということを何度もおっしゃっていましたけれども、我々、予算を執行しようと思ったって、皆さん方はおわかりだと思いますけれども、予算の半分は借金ですよ。税収と公債発行収入は同じですよね。予算は衆議院の優越で通ったとしても、参議院が我々は多数を握っていませんでしたから、結果的に九月になるとお金が切れるんですよ。切れて切れて、そして実際問題、補正予算も組めない。そして、最後は、やめろ、首をとれ、菅さんやめろ、そういうことじゃないですか。野田さんのときは、三党合意がまとまったら、解散しろ、解散しろ、こういうことじゃないですか。
結果的には、ねじれている中でこれを出されたということについては、私は、その程度のものだったのかということは、極めて残念な思いを持って申し上げておきたいと思います。
そのことを申し上げて、我々はバージョンアップして出しますから、自民党さんと議論していいならしますけれども、今の中期財政計画で十分だということになったら、またこれは、結果的には、補正予算だ、そして一般会計、特別会計のやりくりだということで、どんどん財政は悪化していきますよ。それは安倍政権の責任だということで、私はここで申し上げておきたいと思います。
さて、次に、先ほど総理が、資産が多いとおっしゃいました。これについて少し議論させていただきたいと思います。
確かに、これは総理がおっしゃるとおりなんですね。(パネル(配布資料)を示す)この各国のバランスシート、もちろん、国によって統計のとり方は違いますから、一概にこれは横並びで見ることはできませんけれども、日本については、先ほど二三五%、六%と申し上げた負債、これは粗債務というものでありまして、左上、粗債務というものについてこうだということなんですけれども、資産を除いたものが、これは純債務と言われるものでございまして、こうなると一〇一%まで低下する、こういうことであります。
繰り返し申し上げますけれども、アメリカ、イギリスについては日本と統計のとり方が違うということは申し上げた上で、この純債務ということについて言うと、そんなにアメリカとイギリスと遜色ないように見えるということであります。
さて、そこで、これも第一次安倍内閣のときでありますけれども、閣議決定されました基本方針二〇〇六におきましては、行政改革推進法に基づいて、平成二十七年度末に国の資産規模対GDP比の半減を目指して、国の資産を約百四十兆円規模で圧縮するとされました。そして、これを踏まえて、財務省は、資産圧縮目標の達成に向けて、国の資産の大宗を占める財政融資資金貸付金については百三十兆円超を圧縮する、そして、国有財産については約十二兆円の売却をするということを決めました。これは安倍政権のときですよ、第一次安倍政権のとき。
これは、現在どうなっていますか。これは麻生大臣で結構です。
○麻生国務大臣 御質問は、国の資産の圧縮のことだと思います。
これは、行政改革推進法において、平成二十七年度末の国の資産規模対GDP比の半減を目安とする旨が規定されております。これを踏まえて、国の資産を約百四十兆円規模で圧縮するとの方針が、基本方針二〇〇六、いわゆる骨太方針で示されたところなんですが、これに基づいて、平成十七年度末から二十四年度末までの七年間で、財政融資資金貸付金は百十一兆円圧縮しております。国有財産は約二・七兆円を売却するなど、国の資産約百十六兆円を圧縮して、着実に取り組んできたところだと思いますが、GDP比のところが少し違ってきておる。
その最大の理由は、先ほど言われましたように、当時試算したGDPの伸びは、このときには六百四十三兆円になるはずだったものが、今は五百三兆円にしかなっておりませんので、GDP比の比率だけは、分母が違ってしまいましたので、変わってきておるとは思います。
いずれにいたしましても、財政の投融資につきましては、東日本大震災からの復興への対応等々、積極的な活用を図っているところですけれども、国有財産の売却については、株式、それから不動産市場の動向なども踏まえつつ、今後とも、国の資産の売却というのを進めてまいりたいと考えております。
○前原委員 今、麻生大臣がお答えをいただきましたように、財政融資資金貸付金、これは百三十兆の圧縮目標が約百十兆円圧縮されているということで、ある意味で順調に進んでいるというふうに思います。それに対して、国有財産は、十二兆円売却するといって二・七兆円しか売却ができていないということであります。
これについて、私が今これを取り上げて批判をするつもりはありません。大事なことは、これからいかに資産圧縮を図りながら財政健全化に資するようなことをやっていくのかということであります。
その上で、二つ提案したいと思います。
これは、安倍総理、国有資産、債務改革に関する工程表ということで、尾身財務大臣が提出をされた工程表というものであります。こんなに、かなり細かく書かれていますよ。
この工程表については、どうやって資産圧縮をしますということを、各年度、平成二十七年度まで書かれているわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、国有資産についてはなかなか思うように進んでいませんし、政策的に変わったものもあるんですよ。例えば、関西空港の株については売却ということですけれども、これは、もう関空と一体にして運営権を売却するということで、中身が変わっているものもあるんですね。そしてまた、我が政権のときにおいて、国有資産及び独立行政法人が保有する資産の売却に係る工程表というのを、これは平成二十四年の八月一日に行革本部決定ということでつくっています。
そういう意味で、時代の変化と、そしてさまざまな状況の変化の中で、これから、先ほど総理がお答えいただいたように、資産の圧縮をやっていけば、まだまだ日本には資産はあるというのはそのとおりですよ。そういう意味での財政再建もやっていかなきゃいけない、行革をやっていかなきゃいけないということになると、新たに第二次安倍政権のもとでもう一度工程表をつくり直されて、そして、しっかり資産を圧縮するという考えを示されたらどうですか。
総理。これは総理、政治としてお答えください。どうぞ、総理。
○安倍内閣総理大臣 確かにそれは、何か非常に懐かしいものでありますが、当時の尾身財務大臣が作成したものでございまして、状況が、もう七年間たちますから変わってきておりますから、それを、見直しを含めて検討していきたいと思います。
○前原委員 そうなると、これは稲田大臣に御答弁いただいた方がいいのかもしれませんけれども、実務的なことです。
行革推進法、正確に申し上げると、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律ということが書かれているわけですが、五十九条に、五十九条、読みます。見られなくても、簡単な、弁護士でいらっしゃるから、多分頭にすぐ入ると思いますけれども、「政府は、平成二十七年度以降の各年度末における国の資産の額の当該年度の国内総生産の額に占める割合が、平成十七年度末における当該割合の二分の一にできる限り近づくことを長期的な目安とし」と書かれているわけです。
さっき申し上げたように、財政融資資金貸付金、これについては順調にいっていますけれども、国有資産については、いっていない。あと二年間しかないんですよ、この法律でいうと。したがって、今総理が、工程表の見直しも含めて、第二次安倍政権で行革の資産の圧縮について考え方をまとめたいということをおっしゃいましたけれども、これは法律の見直しも必要になりますよ。いかがですか。
○稲田国務大臣 まさしく行政改革は、本当に与野党問わず不断に改革を進めなければならないと思っております。また、今御指摘の行革推進法も、その精神、また独法の問題、公務員の人件費の問題、今おっしゃった国有財産の問題等、かなり細かく規定をされております。そして、その中で、目標が定められているものも何条かあるかと思います。
そういう意味で、私は、岡田前行革担当大臣から、先ほど御指摘のあった二十四年八月の行革の本部の決定等を含めて引き継ぎを受けて、その引き継ぎの工程表に従って、今、行革を推進しているところでございます。(前原委員「法律、法律。今は質問していない」と呼ぶ)
したがいまして、今、その行革推進法に基づいて行革を推進しているところでございますので、法律の改正の必要性が出れば改正ということもあろうかと思いますけれども、今は、前政権から引き継いだ工程表に従って行革を進めているところでございます。
○前原委員 ぜひ、徹底的な行革ということをやるために、まず工程表の見直しを行っていただいて、そして、必要があれば、今大臣がおっしゃったように、やはり法改正をして、やる。法律の裏づけが必要なんですよ。先ほどの財政再建と同じ。やはり、計画だけでは骨抜きにされることが多いので、しっかりそこはやっていただきたいと思います。
次のパネル(配布資料)をお願いします。
まず、我が政権のときに租特透明化法というのをつくりました。租税特別措置の透明化法というのをつくったわけでありますけれども、租特の見える化をしようということでありまして、実際、国、地方の租特による減収額がどれぐらいあるかといいますと、二十三年度が一兆三千七百七億円、そして二十四年度が一兆四千百七十二億円ということで、大体一・四兆円ぐらいの予算規模になっているわけであります。
そして、この租特の見える化をして何がわかってきたのかというと、何々社、何々社というコード名を書いてあります。これは実際の会社名は書いてないんですけれども、コード名が書いてあるんですけれども、そのコード名でいわゆる名寄せをして、そして、各企業がどういった租特を活用しているかということがわかるようにしたわけですね。租特の見える化ということをやって、やったわけです。
そして、私が申し上げたいのは、まず一つ、これは総理に、時間がなくなってきたのでまとめてお答えいただきましょう。
まず一番目、これは電力にかかわるものなんですけれども、電力というのは、会社、基本的に大きなところは十しかないんですよね。それで、十電力会社のうち、ここに書いてあるのは、原子力発電施設解体準備金、使用済燃料再処理準備金ということが書かれているので、当然ながら、沖縄電力には原発がありませんので、九社といったらもう全部わかるわけです。どれぐらい、どこが使っているかということはこれではわかりませんけれども、こういう形になっているわけであります。
まず総理にお伺いをしたいのは、私は、直間比率の見直しをして、そして、法人税減税というのをグローバルな競争の中で見直していくというのは賛成なんです、方向性は。ただ、繰越欠損金とか租特というものがあって、国、地方合わせて法人税三六%というふうに言われていますけれども、二〇%ちょっとぐらいになっているんですよ、この繰越欠損金と租特を入れると。ですから、もし法人税率を見直すということになると、いわゆる隠れた補助金である租特と繰越欠損金のあり方をトータルで見直さないと、法人税減税というのは屋上屋を重ねることになりますが、どう思われますか。
○安倍内閣総理大臣 法人課税の見直しについては、まずは与党に検討していただいているわけでありますが、政策効果の検証や、課税ベースの拡大や、他税目での増収策の検討といった論点が示されているところでございまして、法人税の実効税率については、今、前原委員が指摘されたように、グローバルな経済の中で日本の企業が戦っていかなければならないという観点からも見直しをしていく必要があるんだろう、その際、課税ベースをどうやって広げていくかという観点の中において租特においても当然議論がされるんだろう、こう思うわけでございます。
いずれにしても、日本経済の活性化のために、産業構造を含めた大きな議論が必要であろう、このように思っております。
○前原委員 時間がなくなってきたので、端的に質問いたします。
例一というのを、上を見ていただくと、原発の解体準備金。これについては、当然、一〇〇%、九社でやられている。その下が問題なんですよ。こういう一〇〇%やられているんだったら、租特という見えにくいことじゃなくて、補助金でやった方がよっぽどわかりやすい。
それから、使用済燃料再処理準備金ということについて、今、原発が約三年間とまっている、そして、プルサーマルも稼働する見通しが今のところない中で、ずっとこれがやられ続けていて、租特の十分の一がこれなんですね。つまりは、電力会社に対する補助金が、いわゆる再処理の燃料を使ったものが使われていない状況にもかかわらず、これが行われているということはおかしいんではないか。
それから例二を見ますと、下なんですけれども、RアンドD税制なんですけれども、これは恐らく三千社以上が使っているものなんですけれども、実は上位六社で四分の一使っているんですよ。
こういうものを考えると、やはり租特の中には、補助金化してより見える化をした方がいいということと、実際問題、状況が変化しているのに垂れ流し続けられているような使用済燃料再処理準備金のようなものがあるということと、RアンドDみたいに、大切ではあるけれども、三千以上あるのに六社が四分の一も使っているということは、これはちゃんとチェックしなきゃいけないんじゃないんですか。
これについては、租特を扱っておられる財務大臣、御答弁をいただきたいと思います。
○萩生田委員長代理 麻生財務大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
○麻生国務大臣 これはちょっと、丁寧にやらないかぬところでしょうけれども、はしょってやらせていただきます。
特定企業に偏っているからといって、だから問題というわけだとは思っていないんです。
いずれにしても、こういったものは不断の見直しをしていかないかぬということはもう確かです。社会情勢やら経済情勢やら変わることもありますし、今回のような事件もありますので、いろいろな意味でこういったものを不断の見直しをしていく、それはやはり、課税ベースを広げるとか広げないとかいうこととは別に、租特自体の見直しというものはきちんと不断に見直していくべきものだと、私どももそう思います。
○前原委員 終わります。