前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第185回国会 衆議院財務金融委員会2013/11/22

前原委員 おはようございます。民主党の前原でございます。  まず、お配りしております資料一(配布資料)を、麻生財務大臣また黒田日銀総裁初め皆さんにごらんいただきたいと思います。
 これは、二〇一三年七―九のGDPの増減率の内訳ということでございまして、上が折れ線グラフ、そして、下の方がわかりやすいのかもしれませんが、下の実質、名目、両方ともごらんをいただきたいと思いますけれども、実質を見ますと、GDPでは〇・五、年率換算で一・九、前期が三・八でございますので半減、こういうことになったわけであります。
 安倍政権ができましてから、三本の矢ということで、一つは財政出動、つまりは、真水で十兆円余り、事業規模で二十兆円の補正予算をやられました。これがきいているかもしれませんね、公共投資は六・五ですから。住宅投資と公共投資はきいているということです。住宅投資というのは、消費増税前の駆け込み需要ということが出始めているのではないかと思うわけであります。
 財政出動をやった、そして日銀総裁が四月四日、異次元の金融緩和ということをやられている、そして今申し上げた駆け込み需要、世界情勢はまあまあ安定をしている、こういう状況にもかかわらず、これだけ政策的に総動員をしているにもかかわらずこういう状況になっているということ。特に、これだけ円安が百円前後で続いているにもかかわらず輸出がマイナスなんですね。
 こういうことも含めて、政策的な総動員にもかかわらず七―九がこういう状況になっていることについて、それぞれ御所見を伺いたいと思います。

 

麻生国務大臣 景気の現状認識ということだと存じますが、少なくとも三本の矢の一体的な取り組みもあって、今言われましたように、前期比の年率でこの七―九では一・九%となっておりますが、昨年の十―十二月から比べてみますと、その前の七―九は三・七のマイナス。したがいまして、少なくともこの間、四四半期連続して景気は緩やかに回復しつつあると認識をいたしております。また、物価の状況につきましても、少なくともコアを見ましても、コアコアを見ましても、デフレ状況ではなくなりつつあるというように認識をしております。
 また、今言われましたように、先行きにつきましては、輸出の面は、こちらの都合だけではなかなかさようなわけにはいきませんので、いろいろ問題はあろうとは思いますが、下振れリスクは決してないと申し上げるつもりはありません。ただ、家計所得や投資の増加傾向などが続いておりますので、景気回復の動きが確かなものになるということが期待をされるところだと思います。
 いずれにしても、これは政策パッケージを実施していくんですが、今言われましたように、一部新興国の需要の減速というものが、輸出というものが三四半期ぶりに減少で、今期はマイナス〇・六になっておりますので、外需がマイナスの寄与ということでした一方で、プラスの公共事業が大きく寄与して、前期比プラスの六・五というふうにしたこと、また個人消費も前期比で〇・一、設備投資もどうにかプラスで〇・二と引き続き増加してきたことなども含めまして、内需は間違いなく堅調に推移しつつあります。
 私どもとしては、外需の下振れ要因リスクというものを抱えていることは間違いないとは思いますけれども、そういったものを含めまして、今、外需を上回る内需の確実なもの、なかんずく、政府支出ではなくて、消費とか設備投資とかいうものが今後伸びてくることを期待いたしておるというのが現状認識であります。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、四月四日にいわゆる量的・質的金融緩和を導入いたしました。その後の状況を見ますと、これも委員御指摘のとおり、外需は見込んでいたよりやや弱目になっております。他方で、内需は当時見込んでいたよりもやや強目ということで、結果的には、おおむね予想したような形で成長が続いている。特に、生産、所得、支出の好循環が起こりつつあるというふうに見ております。
 今後につきましては、内需が堅調さを維持する中で、外需も緩やかに増加していくのではないかというふうに見ております。

前原委員 日銀総裁に重ねてお伺いしたいと思いますけれども、OECDが先日、世界経済見通しを発表しました。ごらんになられていると思います。日本につきましては、ことしが一・八%成長、来年は一・五%成長。そして、CPIにつきましては、ことしが〇・二%、来年が二・三%、これは消費税が上がるということで二・三%。コアコアCPIについては、ことしがマイナス〇・二%、そして来年が二・〇%ということで、消費増税分を除くとほぼゼロの見通しを、OECDは下方修正をしているわけであります。
 これは、先ほど麻生財務大臣がおっしゃったように新興国の成長鈍化、それからアメリカのQE3のテーパリングが開始されるのではないか、そういったことも含めて、さまざまな見通しをしているのかもしれませんけれども、これでも、きのうの記者会見でもおっしゃっておりましたけれども、二年で二%の物価上昇は必ず実現できるということでよろしいですか。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、生産、所得、支出の好循環は今後続いていくというふうに見ております。特に、内需が堅調さを維持する中で、外需も緩やかながら増加していくというふうに見ておりまして、その結果、御案内のとおり、今後の消費税率引き上げに伴う駆け込みあるいはその反動という影響を受けながらも、我が国経済は、基調的には潜在成長率を上回る成長が続くのではないかというふうに考えております。
 こうしたもとでは、マクロ的な需給バランスが改善していきますし、中長期的な予想物価上昇率も上昇していくということで、両々相まって、消費者物価の上昇率というのは、二〇一五年度までの見通し期間の後半にかけて二%程度に達する可能性が高いというふうに考えております。

前原委員 予算委員会でも繰り返し申し上げているように、私は、二%の物価上昇は求めるべきではないと思っています。一千兆円の長期債務がある中で物価上昇を無理やりやろうとした場合においては、金利上昇リスクというものが高まって、結果的にそれが財政破綻というものを招きかねない状況になるということでありますし、市場は二年で二%を見ていないということになれば、いろいろなマスメディアの報道を見ておりますと、追加緩和期待という言葉がいっぱい出てきます。そうなると、今でも新規国債発行額の七割を日銀が引き受けている、こういう状況の中にあって、さらなる国債を引き受けて量的緩和をするということになると、ますます財政ファイナンスというものに近づいてくるということでありまして、我々は、デフレ脱却は必要でありますけれども、二年で二%というものについては無理やり求めるべきでないということは改めて申し上げておきたいと思います。
 また、日銀総裁が内需が強いとおっしゃったのは、先ほど私が説明をしたように、住宅投資は駆け込み需要が出始めている、そして公共投資なんですね。つまりは、借金をしてお金を使えば内需はふえますよ。ですけれども、それが果たして、先ほど麻生大臣がおっしゃったように、民需につながっているかどうかというと、私は、それについてはいささか心もとないということを申し上げて、そして、資料二(配布資料)を見ていただきたいと思います。それをあらわすものであります。
 資料二を見ていただきますと、これは日銀から御提出をいただいたものでありますけれども、一番上で伸びていっているものは超過準備であります。これがどんどん伸びていっている。そして、太い、次に伸びていっているのがマネタリーベース。つまり、量的緩和をしているからマネタリーベースはふえていっている。しかし、それに比べてマネーストックあるいは法人向け貸出残高というものは、ほぼ横ばいということで、微増ぐらいですね。これだけマネタリーベースをふやし、そして資金を供給しているにもかかわらず、結局、積み上がっているのは超過準備、ブタ積みだけ、こういうことであります。
 これについて、日銀総裁はこの資料二を見てどう思われますか。マネタリーベースをふやし、しかし超過準備だけは積み上がっていっている、そしてマネーストックあるいは法人向け貸し出しというものがほぼ横ばい、微増ということについてはどう見ておられますか。

黒田参考人 御案内のとおり、量的・質的金融緩和ということで、大量の国債を市場から買い入れるということを通じて、マネタリーベースを大幅に増加させておるわけでございます。それが金融緩和の手法であると申し上げていいと思います。その結果、金融状況は非常に緩和した状況にございまして、貸出金利も史上最低の水準になっておりますし、銀行の貸し出しも、最近では、対前年同月比で見ますと、二%台の前半の伸びになっております。また、マネーストックも四%程度の伸びになっておりまして、これはここ数年の中で一番高い伸びになっております。
 したがいまして、マネタリーベースが拡大するというのは金融緩和そのものでございますし、その結果として、銀行の貸し出しあるいはマネーストックというものも徐々に伸びてきている、これがまた経済の緩やかな回復にもつながっているというふうに考えております。

前原委員 このグラフを見ていただくと、マネタリーベースがふえている。しかし、先ほどおっしゃったようにマネーストックあるいは法人向け貸出残高というのは若干ふえているかもしれませんが、まだ微増ですよね。積み上がってきているのは超過準備じゃないですか。
 それを考えると、今、金利も最低水準にあるとおっしゃったけれども、金利が最低水準にあって、企業が借りやすい状況になっているにもかかわらずまだこの状況であるということを考えると、つまりは、異次元という量的緩和をすることの目的は、結果的には、要は、言ってみれば資産のバブル、為替、そして株高を結局つくっているだけではないかというふうに私は思いますけれども、いかがですか。

黒田参考人 金融政策の結果として、株価あるいは為替に何らかの影響が出るということは十分あり得るわけでございますけれども、私どもの金融政策は、あくまでも国内の物価安定というものを目指して、そのためにいわば政策を総動員して努力しているところでございます。
 現状、特に資産市場でバブルといったものが生じているとは思いませんが、資産市場の状況につきましては、引き続き十分注視してまいりたいと思います。

前原委員 いや、これは完全なるバブルですよ。だって、これだけ円安が一挙に進んだということは、日銀が量的緩和を異次元にやるということのメッセージじゃないですか。
 ということは、裏返せば、これは二年で二%という話で、例えば来年、一般的に言われているように、乖離が出てきたときに追加緩和をするということになったとしても、二年で二%という物価上昇を追い求めるということと、そして緩和を続けなければこの資産バブルがはじけてしまう、そしてまた円高になってしまって株も落ちるということのイタチごっこになるような気が私はしますよ。
 いわゆるこの量的異次元緩和というものは、何がプラスになっているのか。今の時点でいうと、資産バブルを生んでいる、輸出企業を中心に企業実績はよくなっている、後で議論をいたしますけれども。そのことであって、実体経済をよくしていこうということになれば、先ほど麻生大臣がおっしゃったように、公需から民需へどうやって経済の体質を改善していくのかということを考えたときに、資料二を見ると、要は、量的緩和の規模で円安を進めて、そして株価が上がってという市場に対するメッセージで、これはまさに麻薬と一緒で、続けないと結果的には円が高くなり株が下がるという悪循環になって、やめられないんじゃないですか。

黒田参考人 為替につきましては、委員御案内のとおり、二〇〇八年秋のリーマン・ショック以降、円が異常な高値に行きまして、これが経済にももちろんマイナスになったと思いますけれども、いずれにせよ、行き過ぎた円高というものが是正されてきたということであって、現時点で、今の為替が何かバブル的に異常な円安になっているというふうには考えておりません。
 株価につきましても、企業収益の動向等を反映したものではないかというふうに思っておりまして、現時点で、非常に懸念を感じているということはございません。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、資産市場の状況につきましては、常に十分注視していくということでございます。

前原委員 資料三(配布資料)をごらんいただけますでしょうか。
 これは、主要各社の売り上げ、利益の増減要因というものを示したものでありまして、先ほどお話をしたように、私は資産バブルということをあえて申し上げたいと思いますけれども、量的緩和によって円安、為替に働きかけて、そして輸出企業、関連企業を含めて株が上がっているという状況だというふうに思います。経団連の主要な企業、住友化学というのは皆さん御承知のとおり米倉会長の会社でございますし、そしてまたそうそうたる代表的な会社が、トヨタ自動車も選ばせていただきましたけれども、六つあります。
 さて、これを見ていただくと、特徴的なことがあるんですね。何かというと、売り上げ、営業利益ということで、その判断基準は違うわけでありますけれども、この六社とも為替でもうかっているんですよ、為替で。為替でもうかっていて、実際問題、例えば住友化学、日立製作所、小松製作所、日本郵船、三菱重工業、数量は減っているんですよ。
 先ほど申し上げたように、これだけ円安が進んでいるにもかかわらず売っている数量は減っている。この企業の利益というものは、為替によってもたらされているものが極めて大きいということなんですね。つまりは、円安によって企業の利益が膨らみ、そして実際にその企業の株が上がっているということであって、これを見ても、円安と株高は一体的になっているということはおわかりいただけると思うんですよ。
 でも、問題なのは、先ほどから、マネタリーベースを上げて、そして何をふやさなきゃいけないかというと、企業への貸し出しがふえて、それが設備投資になり、そして物をたくさんつくるようになるというような好循環をつくらなきゃいけないにもかかわらず、むしろ数量が減っている。つまりは、今の企業実績がいいというのは為替要因なんです。これはどう思われますか、総裁。

黒田参考人 個別の企業の決算についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、日本経済全体ということで申し上げますと、確かに、数量ベースで見た輸出は、持ち直し傾向にはあるものの、勢いに欠けるところがあるというのは事実でございます。したがいまして、輸出企業の決算にもその影響が出てくるということは確かだと思います。
 ただ、輸出の先行きにつきましては、先ほどもちょっと触れましたように、海外経済の持ち直しなどを背景に、緩やかながら増加していくというふうに見ておるところでございます。
 なお、最近の各種の統計によりますと、企業の設備投資もようやく出てきておりまして、また、設備投資の先行指標である機械受注の数字も伸びを高めております。そうした中で、鉱工業生産指数もプラスの数字を徐々に高めつつあるということではないかと思っております。

 

前原委員 日銀総裁と麻生財務大臣に申し上げたいんですけれども、私は、黒田総裁、黒田総裁を責めているような感じですが、日銀だけで全てができるとは全く思っていないわけです。
 例えば、日銀と政府の間で共同文書というのを交わされたと思います。共同文書には、日銀のやるべきことも書かれているけれども、政府のやるべきことも書かれている。つまりは、両方が一生懸命に頑張らないとデフレは脱却できないし、日本の経済はよくならないということなんだろうと思います。したがって、日銀だけに私は責めを負わせているわけではないんですよ。それはまず御理解をください。
 それと同時に、今のような国際環境というのは、私は、黒田総裁も安倍首相も、やはり非常に運のいい方だと思いますよ。今は、国際環境では悪い問題はないですよね。こういうことを言うと麻生財務大臣に失礼かもしれませんが、麻生総理のときは、リーマン・ショックという百年に一度のものが起きている。そして、我々の政権では、東日本大震災あるいはEUの財政危機、金融危機というものが起きて、世界は、大変に波が荒いときが国内も含めてあるわけですよ。あるいは、過去にはSARSとか戦争とか鳥インフルエンザとか。
 こういうような、何かが起きるということも踏まえてやっていかなくてはいけないということになれば、繰り返し申し上げますけれども、日銀だけに責めを負わせるということではないけれども、今は非常にいい状況の中で、しかし、こういった、マネタリーベースをふやしていっているにもかかわらず、それに比べて貸し出しが伸びていない、そしてマネーストックも伸びていない。そして、企業も、結局は為替要因で利益が出ていて、株価が上がっているけれども数量は減っているんだということからすると、先ほど申し上げたように、やはり政府と日銀の共同の取り組みというものをしっかりやっていかないといけないし、まさに第三の矢とか、あるいは日本に期待を持ち続けさせるためには歳出改革なんかもしっかりやらないといけないという問題がいろいろあるんだというふうに私は思います。そういったところもあわせて、どうやってトータルで日本の経済をよくしていくのかということを考えなくてはいけないわけであります。
 やはり海外にかなり生産拠点が移ってしまっているんですよ、残念ながら。トヨタのように、とにかくある一定規模は日本の生産拠点。それはトヨタだって、自動車産業はそうだと思いますけれども、世界に生産拠点を置いた方が会社全体としては絶対にもうかるというのはわかっているけれども、日本の企業として、日本の雇用を守るということで、ある一定の規模を持っているわけですね。
 だけれども、ほかの製造業を含めてかなり移転をしてしまっているということになると、金融緩和だけの、これは総裁とは考え方が違うかもしれませんけれども、資産バブルだけで、企業実績というものではなくて、まさにそれがしっかりと構造転換していくような形にしていかなくてはいけないということを申し上げておきたいと思います。麻生財務大臣も、政府のかなめにおられる副総理としても、ぜひ、これはともに取り組まないといけない話なんだということは申し上げておきたいと思います。
 最後に、時間があと五分になりましたので、この間の予算委員会で、出口については言及すべき時期ではないということをおっしゃいました。私は、その意見と違って、やはりしっかりと出口の議論もしていかないと、それに対するリスクというのは大変大きくなっていくんだということを申し上げて、聞いたわけであります。
 資料四(配布資料)をごらんいただきたいと思いますが、日銀の方に資料を出してもらいました。  これは、出口ということではなくて、金融調節手段、つまりは、締めたりあけたりという手段についてはこれがあるということであって、総裁のお口から、これはこの調整機能で使えると、別に、具体的にいつ、どのタイミングでどれをということじゃなくて、一般論として、これは日銀に資料を出してもらいましたので、出口としてはこういったものが使えるということを言及していただけませんか。

黒田参考人 繰り返し申し上げましたとおり、現時点で出口について具体的に申し上げるのは時期尚早だと思いますが、量的・質的金融緩和からの出口の具体的な手段という観点からは、保有国債の償還や各種の資金吸収オペレーションのほか、いわゆる付利、補完当座預金制度の適用金利の引き上げなどが考えられるわけでございます。
 ただ、こうした手段の中で実際にどれを用いるかとか、あるいはどのような順序で出口を進めるかということは、その時々の経済金融情勢あるいは市場の状況などによって変わり得るものですので、早い段階から具体的なイメージを持ってお話しすることは適当でないというふうに思っております。

前原委員 付利金利とか、あるいは長期国債、短期国債の売買、こういったところの言及をされたわけでありますが、もちろん、まだ二年たっていないわけでありますので、これからどういった道筋を通っていくのかということは不透明でありますけれども、私は、繰り返し申し上げているように、出口のこともあわせて議論しなくてはいけないということを改めて申し上げたいと思います。
 黒田総裁に伺いたいんですが、三日前、十九日に、日本経済研究センター、岩田一政理事長のところがシンポジウムを開かれたんですね。そこの中身の一つには、長期国債の借り入れ停止後、金利が上昇すると国庫納付が三年程度停止するということを述べていて、そしていわゆる財政負担が生じるんだということを言っているわけですね。
 これが、どのような経路をこれからたどっていって、どのような出口をとられるのか、とり得るのか。出口に至ったら、私は、それはそれで、先ほど申し上げたように、出口のない緩和を続けなきゃいけないことになったら最悪ですから、出口は必ず来てもらわなくてはいけないわけでありますけれども、出口が来たときにはいわゆる財政負担が生じるということをおっしゃっていることについて、いかがですか。

黒田参考人 個々の論文についての私からのコメントというのは控えさせていただきたいとは思いますが、一般論として申し上げますと、こういった試算というのは、金利のシナリオなど前提条件によって大きく変わりますので、それらの前提とともに理解すべきものではないかというふうに思っております。

前原委員 これで質問を終わりますけれども、先ほどお話をしたように、どのようなリスクイベントが起きるかもわからない。そしてまた、日銀の量的緩和だけで日本の経済がよくなるわけではない。しっかりと政府と連携をとりながら、これは失敗すると、国民に対して相当大きな被害というか、大変な責めを負うことになりますので、うまくいっていただかなくてはいけない。そういう意味で、これからしっかりと、この道筋もこれからまた出ていくわけでありますので、定期的に、この金融政策あるいは制度の取り組みについてはしっかりと質問させていただきたいと思います。
 終わります。

(国立国会図書館ウェブサイトより)
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