前原誠司(衆議院議員)

国会議事録

国会議事録

第189回国会 衆議院予算委員会2015/02/20

前原委員 おはようございます。民主党の前原でございます。
 質問に先立ちまして、まず、安倍総理大臣に残念なことを申し上げたいと思います。
 昨日もそうですが、国会中、閣僚席からやじを飛ばされるということ、これは極めて品位に欠ける。そしてまた、御自身がやじを飛ばしたことについていろいろおっしゃっているにもかかわらず、みずからが答弁席からやじを飛ばされるということは、言語道断だと思います。厳しく反省をしていただきたい。一言お願いします。

安倍内閣総理大臣 事実誤認が明らかである場合に、私がそれをここで思わず訂正したこともございますが、今後、静かな討論に心がけたい。このように、与野党お互いにそういう雰囲気をつくっていくように、私も心がけていきたいと思います。

前原委員 ちょっと反省が足りないんじゃないですか。
 事実誤認って、昨日、玉木議員の質問のときに、農林水産大臣のときに何で日教組が出てくるんですか。それは、そこでやじを飛ばしていたのは総理自身でしょう。
 反省をもっとしてもらいたい。しっかりと自分自身が反省をするということを言ってもらいたいということを言っているんです。もう一言お願いします。

安倍内閣総理大臣 なぜあのとき日教組と言ったかといえば、いわば、日教組は補助金をもらっていて、そして、教育会館というのがあるわけでありますが、その教育会館から献金をもらっている議員が民主党にはおられて、それに対する質問をかつて我が党がしたときに、これは別の団体だから関係ないというのが、当時の民主党の政府としての、大臣が答弁した見解であったわけでありますから、それをどう考えるかという指摘をしたところでございます。

前原委員 これは全く反省していないですね、あなた。(発言する者あり)そのとおりだって、昨日は西川さんのいわゆる献金疑惑について玉木議員が質問して、それに対してあなたはそこからやじを飛ばしていたんですよ。
 聞かれたらそれを答弁するならわかりますよ。それを開き直って、また抗弁する。全然反省が足りないじゃないですか。反省をしなさいと言っているんですよ。反省をすべきだ。(発言する者あり)何が偉そうだ。この議場で、その答弁席からやじを飛ばす方が品位に欠けるじゃないか。しっかりと反省をすべきですよ。もう一度答弁をください。

安倍内閣総理大臣 いわば、やり合い、議論の答弁をしている最中に、それを完全に妨害するということについてはお互いに避けなければいけないわけでありますが、さまざまな議論の中で、それはお互いに指摘をし合う、議論が伯仲する中においてですね。しかし、それについても静かな議論を心がけていかなければいけないと思っているということを申し上げたわけでございます。

前原委員 反省はしないし、素直ではないし、器量が小さい。それを国民の皆さん方に示したと思いますよ。
 委員長、総理のみならずほかの大臣、名前は言いませんよ、多分自分自身だと思っておられる方がおられると思いますが、余りにも答弁席からやじがひどい。これについては、しっかり委員長から閣僚に対して指摘をしていただきたい。

 

大島委員長 閣僚の皆様方も、品性を持った委員会を運営するということにおいては、気持ちは同じだと思います。答弁席で答えることはしっかりし、やじと言われるものについてはしっかりと自己を抑制していただきたいと思うと同時に、委員各位の皆様方にも、答弁中にやじるということは、これは私は、余りいいことではない。
 むしろ、的確と言っては語弊がありますが、それは議員のいろいろな発言があります。お互いにそこは、この権威ある予算委員会を、実りある議論をするためにも、お互いに注意していこうではございませんか。

前原委員 こんなくだらぬことで五分も時間を使うというのは、本当に情けない話であります。それでは、質問をいたします。
 まず、旧朝鮮総連ビルのことについて伺います。この問題は、単なるビルの賃貸の問題じゃなくて、外交問題、そして国民の血税がどれだけ無駄に使われたかという非常に根の深い問題でありまして、このことについてまずは取り上げたいというふうに思います。
 まず、旧朝鮮総連ビルの取引について、なぜ競売にかけられたのか、理由を簡単に預金保険機構から説明をいただきたいと思います。

田邉参考人 お答えをいたします。なぜ朝鮮本部ビルを競売に付したのかという趣旨のお尋ねかと思います。
 朝鮮総連向け債権全般について、まず一言御説明をしたいと……(前原委員「簡単にしてください」と呼ぶ)はい。朝鮮総連が、真正な借り手であるにもかかわらず、関係者の個人名義などを使って他人の債務を装うとか、また、再三の交渉にもかかわらず返済に応じないという態度を続けるというような経緯があったところでございます。
 このため、預金保険機構といたしましては、直接の債権者でございます整理回収機構、ここを通じて、再三にわたり債務の返済を強く求めてまいりました。第一に、朝鮮総連本部が真正な債務者であり、かつ朝鮮総連中央本部の土地建物の所有者であること、及びその債権額につきましても、訴訟に訴えつつ、明確にまずはしたところでございます。これが二十四年の六月ごろまでにできております。
 その上ででございますけれども、朝鮮総連中央本部の土地建物につきまして裁判所に競売の申し立てを行って、最終的に整理回収機構への配当が行われて、約二十七億円の回収が実現したところでございます。
 要するに、債権の回収に全力を挙げる一環としてそういう措置をとったということでございます。

前原委員 ちょっとこのグラフ(配布資料)をごらんいただきたいわけでありますが、今、預金保険機構の理事長からお話ありましたように、朝鮮総連に対してはどういう問題があるのかということであります。
 朝銀信用金庫という、いわゆる民族系の金融機関というのが最大三十八ございました。一九九七年から二〇〇一年にかけて十六の信用組合が破綻をいたしました。今、七信組に再編をされたわけでありますが、朝銀信用組合経営破綻の理由は主に三つです。バブルの崩壊、これは当時ほかの金融機関もあったわけでありますが、それと違うのが、北朝鮮への不正送金、それから朝鮮総連による組織的流用、こういうものが破綻の理由にあるということでありまして、大変ゆゆしき問題であります。
 これは「わが朝鮮総連の罪と罰」という本で、韓光熙さんという方が書かれた本です。この方はもう亡くなられましたけれども、朝鮮総連の副財務局長までやられた方が内部のことを赤裸々におっしゃっておりまして、万景峰号なんかを使っていかに本国送金をしたのかということと、朝鮮総連による組織的流用があったということを書かれているわけでありますけれども、私、この方には、入院をされている千葉の病院にまで会いに行ってお話を伺ったことがあります。
今、預金保険機構の理事長がおっしゃったように、司法裁判がなされまして、朝鮮総連による組織的流用というのが確定をして、二十五名以上が逮捕されているということであります。
 では、なぜこの朝銀信用組合というものを財布がわりに使うようになったかというと、もともと在日朝鮮人の寄附によって運営をしていたわけでありますが、バブルの崩壊とか、あるいは世代交代による組織離れによって寄附が集まりにくくなって、そして財布がわりに使うようになった。個人や企業への融資の一部を寄附させたり、先ほどお話のありました借名口座、つまりは名前を借りるんですね。あるいは仮名口座、これは仮の名前。それから架空口座、こういったものに貸し付けたり、無担保融資、追い貸しなどを繰り返した、こういうことであります。
 図の二(配布資料)をお願いします。
 追加融資、追い貸しでどうやって焦げつかせたのかということの一つの事例をお話ししたいと思いますが、朝鮮出版会館ビルというのがある。そのときの担保価値は、二十億から三十億程度と言われていた。
 まず、当時あった北海道拓殖銀行が十億円を三回に分けて融資をした、三十億円。それから、その次に住銀リースが十五億円融資をした。四十五億円融資をした。ここからですね。朝銀大阪が三十億円、朝銀東京が十七・三億円、朝銀神奈川が十億円ということで、朝銀関係だけで五十七億三千万円を追加融資して、担保価値は二十億から三十億しかありませんから、全て、百二億三千万円の融資がされたわけです、もう返せるはずはありません。
 結果的に競売にかけられて、落札額は何と四億七千七百八十万円。つまりは、百億円近くがこのビルの融資で消えてなくなった、こういうことですね。
 先ほど出てきた韓光熙さんという方、これでは朝銀東京から十七億三千万円借りているということでありますけれども、本人は知らなかったんですよ。本人が知らなくて融資をされていて、こういう問題になったということです。
 預金保険機構に伺います。
 こういう十六の破綻をした朝銀信用組合全体に、一体幾らの公的資金が投入されたのですか。

田邉参考人 お答えいたします。
 幾ら公的な資金が投入されたのかというお尋ねでございますけれども、救済金融機関への金銭贈与が約一兆一千四百四十四億円、不良債権の買い取りが約二千九億円でございます。

前原委員 ということは、合計で一兆三千四百五十三億円の公的資金がこのいいかげんな金融機関に対して投入をされて、国民の税金、血税としていわゆる穴埋めをされた、こういうことであります。
 そして、先ほど理事長からお話がありましたけれども、では、朝鮮総連が、預金保険機構、RCCに対して、東京地裁の判定によって確定された、いわゆる返還しなければいけない総額は幾らですか。

田邉参考人 お答えをいたします。
 当初の、私どもが請求を裁判所に対して行いましたのは六百二十八億円でございましたが、その直後に一億円の回収がございましたので、六百二十七億円につきまして裁判所から認定をいただいております。

前原委員 一兆三千四百五十三億円で、認定されているのが、たったですけれども、それでも六百二十七億円という金額でありまして、このうち幾ら回収できましたか。

田邉参考人 お答えをいたします。
 買い取りました不良債権のうち、競売等で約三十七億円を回収いたしました。

前原委員 六百二十七億円のうち回収できたのが三十七億円、つまりは、いまだに朝鮮総連に対してはRCCは五百九十億円の債権を持っている、こういうことになるわけであります。
 さて、ここからが本題なんですが、次の三枚目の図(配布資料)をお願いします。
 今回の旧朝鮮総連ビルの競売、転売をめぐる経緯というのが非常に怪しくて、まずは、いろいろ、買ったお寺もありましたけれども払えないということで、あるいはモンゴルの会社とかもありましたけれども、最終的に香川県のマルナカホールディングスというものが二十二億一千万円で買いました。そして、そこが山形県酒田市のグリーンフォーリストというところに約四十四億円で売却をするということであります。
 グリーンフォーリストという会社、写真を見ましたけれども、何か倉庫みたいなところで、従業員は数名、年間の売り上げは二千万ぐらい。それが四十四億円の買い物をしている。
 こういうことでありますが、今の旧朝鮮総連ビル、建物の登記簿をとりましたところ、先ほど、百二億余りで、競売で四億幾らしか売れなかったという朝鮮出版会館管理会、今は白山出版会館管理会という名前に変わっていますけれども、そこが根抵当権を五十億つけている。
 この五十億の背景は、これは報道ベースですからわかりませんが、まず、この出版会館ビルが大阪の会社に十七億円で売却されて、十八億は総連幹部が集めたんじゃないかと言われている。十億円は香港からの資金ではないかと言われている。ここは報道ベースでありますので詰めませんけれども。
 一番の問題は、グリーンフォーリストが朝鮮総連と賃貸契約を結べば、朝鮮総連が旧朝鮮総連ビルを引き続き使えるということになることであります。これが一番問題なんですね。これは競売の脱法行為ではないでしょうか。
 マルナカからグリーンフォーリストへの転売の間に入ったとされる香川選出元参議院議員山内俊夫氏は、朝鮮総連が旧ビルを継続使用できれば、日朝関係が進展して国益にかなうと言っています。総理はこの言葉に同意されますか。

安倍内閣総理大臣 こうした商行為と日朝の交渉は、全く別のものでございます。

前原委員 外務大臣に伺いますけれども、日朝協議の中で、北朝鮮側が旧朝鮮総連ビルの継続使用を議題として取り上げていますか。

岸田国務大臣 日朝協議の詳細については控えますが、裁判所による手続が行われているということについて説明をしたという経緯はあったと承知しております。

前原委員 預金保険機構にもう一遍聞きます。五百九十億円の債権があるんですね。仮にグリーンフォーリストと朝鮮総連が賃貸契約を結べば、賃料をRCCは差し押さえるべきじゃないですか。いかがですか。

田邉参考人 賃料に関してのお尋ねでございますが、まず、私ども預金保険機構でございますが、これまでも私どもに対して付与されておりますさまざまな権能といいますか機能がございます。それからまた、これまでのいろいろな回収で蓄積をされてまいりました債権回収に関しますさまざまな知見、ノウハウというものがございます。これらをフルに活用することによりまして、債権回収に必要な措置をとっていきたいというふうに考えております。
 回収の具体的な部分についての御質問がございましたけれども、そこにつきましては、一般論という形で申し上げさせていただければと思いますけれども、今も申し上げましたようなさまざまな権能、ノウハウを使いまして、全力を挙げて、もしそういうことが確認されれば、あらゆる手段を対象に検証いたしまして、適切、効果的な措置を当然検討していくということになろうかというふうに思います。

前原委員 これはすごく大事な答弁をされたんですね。
 つまりは、朝鮮総連が継続使用を転売を行って図ろうとしても、五百九十億円の債権がある以上は、賃貸契約を結べば、それはあらゆる、預金保険機構、RCCの権能を使って、賃貸契約も差し押さえができるんですよ。つまりは、継続使用というものは、私は無理だと思いますよ。また、させてはいけないと思うんですね。
 総理に伺います。
 経緯は先ほど申し上げたように、ちょっと一枚目のフリップ(配布資料)をお願いできますか。根の話は、こういう乱脈融資によって、そして一兆三千四百五十三億円の血税がこの金融機関に穴埋めに使われているわけです。そしてその中には、北朝鮮への不正送金、核やミサイルの開発にも使われたかもしれない、そういう北朝鮮への不正送金が確認をされている。そしてまた、組織的な流用もあった。そして、いまだにRCCは朝鮮総連に対して五百九十億円のいわゆる債権を持っている、こういうことです。
 私は、警察、公安調査庁、さまざまな情報を預金保険機構にしっかりと集めて、債権回収のために、こういう脱法的な継続使用をさせないということを政府としてしっかりと総理が指示すべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 朝銀信組の今言われた問題点、恐らく、国会議員で一番最初に取り上げたのは私だと思います。
 朝銀信組の破綻の問題は、他の信組の問題とは違って、いわば破綻することがわかっているにもかかわらず、後で預金保険機構あるいは公的資金が入ることを前提にどんどん貸していく、そして大きな穴をあけた結果なんですね。投資の失敗だけではなくて、いわば不正融資というか、北朝鮮に金が渡るということを前提に貸し手側と借り手側が一体となっていたという問題がありました。
 そこで、私は官房副長官時代に、朝銀信組をいわば再生する場合、理事に少なくとも日本人を入れなければいけない、二人以上入れろということで、入れなければこれは公的資金を投入するべきではないという基本的な方針を決めたことがございました。その後、いわば、厳正な法執行を心がけるということで、現在、裁判等々が起こされているわけでございます。
 今回の件でございますが、これは基本的に民間同士で、その方針のもとにしっかりとRCCも取り組んでいるんだろう、このように思います。
 基本的に、その後私が官房長官のときに、厳正な法執行、過剰な法執行ではありませんが、厳正な法執行が行われていたかどうか、総連関係に、その観点から厳正な法執行という枠組みをかつてつくったことがございました。
 そういう意味において、厳正な法執行が行われ、そしていわば血税が投入されたわけでありますから、その回収を厳格に行っていくように進めていく、これは当然のことであろう。その上において、さまざまな使える国家支援も投入していくということではないか、このように思っております。

前原委員 総理と私、当選同期で、総理が一番初めに質問されたのかどうかわかりません。私もこの問題については十回ぐらいやりました。そんな同じ問題意識を持ってお互い取り組んだ問題だということであります。
 総理に伺いますけれども、拉致の問題というのはしっかりと解決しなきゃいけない、これは総理も強い思い入れを持って今まで取り組んでこられた問題でありますけれども、この朝鮮総連のいわゆる建物の継続使用と拉致の問題というものは取引になり得るのか。
 絶対にしちゃいけないと思うんですね。つまりは、両方とも北朝鮮がやった許されざる、拉致はテロ行為だし、これはまさに法違反ですよ。そして、血税が一兆三千億円以上も使われた。
 その根っこにある二つのものを、北朝鮮がどういうことを言っているかはわかりません、あるいはそれがないのかもしれませんが、そういうものが仮に、かりそめにも取引のように使われるということは、絶対あってはならない。両方とも北朝鮮が責めを負うべき話なんです。
 そういう態度で日朝交渉に臨むということをここでお約束いただけますか。

安倍内閣総理大臣 前原委員も、この問題に取り組まれていて、国会で質問されていたということは私も承知をしております。当時、私、与党でありますから、党内でこの議論をしたわけでございますが、当時は、私の考えというのはむしろ少数派であったわけであります。
 そこで、当然、違法行為があれば、その違法行為に目をつぶって交渉を進めるということは、これはもうあり得ない、安倍政権においてはあり得ないということははっきりと申し上げておきたいと思います。

 

前原委員 拉致の問題、一年ということで、半年が過ぎたわけであります。これについては、外交当事者でないとなかなか接し得ない情報もあると思いますけれども、今総理のおっしゃった違法な問題と、また拉致の問題も北朝鮮が起こしたテロでありますから、こういった問題を取引材料に使わない、そしてこういう脱法的な継続使用というのは認めさせないという強い思いの中で、さまざまな政府としての資源を投入していただきたい、こう思っております。
 これはパネルはございませんが、資料で一つ二つ確認をしておきたいことがありますけれども、資料四(配布資料)を見ていただきましょうか。先ほど総理が若干言及された定款の問題であります。
 これも、いわゆる朝銀をめぐる課題と新設受け皿組合において講じられた対応ということで、例えば、つまり朝鮮総連の財布に使われていたわけですから、そういうものは絶対許しちゃいけないということで、総連を含むいかなる団体、個人からの経営、人事に対する介入、関与を排除する、総連、他の朝銀等の役員経験者を役員としない、日本の銀行、信用金庫において勤務した者を役員に加える、総連に対する融資は引き継がず、また新たな融資は行わない、監査法人による外部監査の導入、員外監事の設置。もともと朝銀だけは、朝銀だけの共同計算センターから成り立っていたわけでありますけれども、全国信組の共同センターに移行するなどのこういうものを決められて、再発防止策を練ったんですね。
 さて、今七つの信組がありますが、これについてはしっかりと守られているかどうか、金融担当大臣、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 北朝鮮系の信用組合を含めて、全ての信用組合というのは、今言われましたように、みずから直接海外送金を行うためのシステムは持っていないのが実質なんですが、他の金融機関を経由して送金を行うための提携もしていない……(前原委員「これが守られているかどうか」と呼ぶ)そうです。そこのところで、今きちんとしたことを言われておりますので、私どもとして、北朝鮮組合の朝鮮総連に対する新たな融資が行われていないかが一番の問題なんですが、私どもの今検査監督を通じて、きちんと確認をしておられると思っております。

前原委員 委員長、資料請求をしたいと思いますが、この七つの信用組合、七つというのは、資料五(配布資料)を見ていただきますと、新設が四、既存が三あるんですが、七つなんですが、先ほど資料四で申し上げたことが徹底されているかどうか、それぞれの金融機関について、金融庁から検査の資料をしっかりいただきたいと思います。

大島委員長 理事会で取り計らいます。

前原委員 その上で、金融担当大臣、一つ伺いますけれども、この資料五の「既存」のところで、岐阜市に本店があるイオという信組、これは見ていただくと、不良債権比率が二五・九二%なんです。四分の一以上が不良債権化しているわけですね。これはちょっとおかしいと思いませんか。このことを含めて、先ほどおっしゃったような前提が本当に保たれているのかどうなのか。今の、特にイオ信組については、どういう検査をされていますか。

麻生国務大臣 御存じのように、これまでも、個別の金融機関についての詳しい経営状態とか検査とか監督内容については、これはコメントは差し控えさせていただいておりますけれども、金融庁におきまして、各金融機関の財務状況等々につきまして、検査監督を通じて、与信の管理強化というところやら、収益向上に向けた取り組みを促しておるんですが、おっしゃるとおりに、ここだけがちょっと極端な数字になっておるというのは事実でありますので、少なくとも、ほかの地区とどれぐらい違うかというのもちょっと申し上げにくいんですが、いずれにいたしましても、この点は私どもも十分に気がついておるところでもありますので、きちっと審査を継続してまいりたいと思っております。

前原委員 その調査結果も、委員長、委員会に提出をしていただきたいと思います。

大島委員長 理事会で検討させていただきます。

前原委員 それでは次に、アベノミクスのリスク、アベノリスクとそれからアベノミクスのコスト、アベノコストについて質問をさせていただきたいというふうに思います(配布資料)。
 まず、黒田日銀総裁、お越しをいただいていると思いますが、二月十二日の経済財政諮問会議で、昨年、格付会社ムーディーズが、日本政府の消費増税先送りを受けて、日本国債を中国や韓国より低いA1に格下げしたことに対して、黒田日銀総裁は、格付が下がると国債を大量に保有する日本の銀行は資本の積み増しをしなければならず、経営に対する影響を懸念している、極めてリスキーだ、こう発言されたと報道されておりますが、事実ですか。

黒田参考人 お答えいたします。
 先週の経済財政諮問会議において、私から、持続可能な財政構造を確立することは、国全体として取り組むべき重要な課題であって、財政再建目標達成に向けて、具体的な計画を策定していくことは極めて重要であるということを申し上げました。
 なお、現在のバーゼル資本規制においては、金融機関が自国の国債を保有することについては資本を積む必要がないということになっておりますので、日本の銀行、金融機関が日本の国債を買うことについて何か影響が出るということはないと思います。

前原委員 今答弁されたのは議事録に載っているものですよね。つまりは、議事録に載っていない中で発言をされているということを私はその場におられた方から確認をしているわけであります。
 それと、今おっしゃったバーゼル委員会につきましても、ことしの一月二十三日、リスクウエートゼロの見直しを開始していますよね。今はそうだけれども、これからこのリスクウエートゼロの見直しが行われると国債が有リスク資産になる可能性がありますね。そうすると、大量に国債を保有する金融機関、銀行は、自己資本をふやす必要性が出てきますね。その危機感を私はおっしゃったと思うんですね。
 ですから、そういう意味においては、財政再建というもの、財政の健全化というものをしっかりやらないと、自分たちが金融緩和で、そして、株が上がっているかもしれない、一生懸命にイールドカーブを下げて金利を下げている、資金の供給をやっている、だけれども、政府が財政再建をしっかりやってもらわないと、こういうリスクがありますよということをおっしゃったんですね。イエスかノーかで結構です。

黒田参考人 議論の詳細につきましては、内閣府から公表される議事要旨を通じて明らかにされる扱いであるというふうに承知しております。
 なお、バーゼル委員会がソブリンリスクについて議論を開始したことは事実でありますけれども、国債の現在の扱いを変えるとか、あるいは、特に、金融機関が自国の国債を持った場合に資本を積ませるかどうかということについて一定の方向性を持って検討するということではないということも、バーゼル委員会自身が明らかにしております。

前原委員 質問には答えておられないんですが、ただ、それが、バーゼル委員会が見直した場合には、急激なリスクが来るということは事実だというふうに思うんですね。
 前回の質問で指摘をさせていただいた(配布資料)んですが、安倍総理の消費増税延期によって、日銀の金融政策というのは確実にリスクは高まったんです。つまりは、追加金融緩和をした後に一年半延ばすということになったわけでありますから、この一年半だけで百二十兆円の国債購入量がふえるということになるわけですね。
 そうすると、消費増税のやる前の、いわゆる巡航速度を保つための金融政策、あるいは、その後のいわゆる反動減、これを支えるための金融政策ということを考えると、二〇一七年いっぱいなかなか出口にならないということになると、これも先般指摘をしましたが、そのときの日銀の国債保有量は四百四十兆円にもなるんですよ。そして、国債発行量の約半分を日銀が買っている、そして、対GDP比でいうと、八割まで高まるということになるわけですね。非常に私はリスキーだと思うんですが、一つ私は疑問に思うことがあるんです。
 つまり、こういうような追加緩和をずっと続けるということは、可能なんですか。この政策を二%になるまでやりますと言いますけれども、二%になるまで、例えば格付が変わった、そしてさまざまなリスクが起きた、それで、言ってみれば、さまざまな問題が起きる可能性が出てくるわけですね。平穏無事に二%が来るまでこの政策が続けられると思っておられるんですか、黒田総裁。

黒田参考人 これまでのところ、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということで導入した量的・質的金融緩和の執行については、特段の問題は出ていないと思いますが、委員御指摘の点も含めて、国債市場の動向ということについては常に留意をしておりまして、市場関係者とも対話を続けておりますし、当面、何か問題が起こるというふうには思っておりません。
 それから、二%の物価安定目標を実現するということは必要であるし、実現可能であるというふうに思っております。

前原委員 では、違う質問をしましょう、違う形で。
 限界が来るまでに、つまりは何らかのさまざまな異変が起きるまでに、必ず二%をこの追加緩和を続けたら達成できると言い切れますか。言い切れるかどうか、それをお答えください。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、国債市場の動向には十分注意してやっていきますし、金融政策についてはさまざまな手段というものが存在いたしますので、私どもとしては、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという目標には全く変わりはございません。

前原委員 委員長、質問に答えていないんですよ。
 つまりは、必ず二%は実現できる、そして、それまでの追加緩和はやり続ける、それはベストシナリオであって、それができるかどうかわからないんです。
 私が先般ギャンブルだと言ったのは、その二%が達成できるまでに追加緩和をやっていって、そのときにまた国債の格付が下がる、財政ファイナンスとマーケットがみなす、そのときに、大きな変化が生じて、国債の暴落、金利の急騰、財政破綻というもののいわゆる引き金を引く可能性があるんですね。そのリスクはないのかと聞いているんです。本当に二%のその物価達成をするためにずうっとそれでやり続けることに、全くそれは問題なくやれるのかということを聞いているわけですよ。そのリスクはないのかと聞いているんですよ。

黒田参考人 国債の買い入れについてのリスクのお尋ねでございますが、まず、二つの点を分けて考える必要があると思います。
 財政については、御指摘のような、財政について信認が失われれば、国債の価格あるいは金利に影響が出るおそれがある、リスクがあるということは事実でありまして、であるからこそ、政府は、財政再建目標を決め、それに向けて着実に前進しようとしておられると思います。
 その話とまた別の話として、金融政策の面でどういうリスクがあるかということであれば、金融政策はさまざまな手段がありますので、そういう手段を必要に応じて適切に動員して、やはり二%の物価安定目標というのは達成すべきであるし、達成できるというふうに思っております。

前原委員 今総裁がお答えになられた二つというのは連動しているわけですよ。切り離すことはできない。それはわかっておっしゃっていると思うんです。
 つまりは、今、株が上がっている。昨日岸本委員が質問されたGPIFが株を買っているというので、株も上がっている。あるいは、追加緩和によってETFを三兆円買っている。そういうようなことで買い支えをしている。それは、今はいいかもしれない。しかし、それが、本当に経済が、巡航速度がしっかり目標に達成するまでやり続けられる余力があるのかどうかということを言っているわけです。
 リスクがその前に来たときに、全部ベストシナリオ、つまりは、全てうまくいった前提でハッピーですよということを国民に言っているだけで、それがサステーナブルじゃない、持続可能じゃないかもしれないということを私は言い続けているわけでありますが、必ず実現をするとおっしゃった。
 そこで、いろいろな変調が起きたときに、私は、日銀総裁の責任は物すごく大きくなると思いますよ。辞任してその責任をとるなんていうことじゃなくて、国民の生活を塗炭の苦しみに陥らせる可能性がある。そういうギャンブルをやっているという思いをしっかり持って、私は、この政策をやってもらいたいと思います。
 ギャンブルですよ。こんなギャンブル政策はないですよ。国民全体をギャンブルに巻き込んで、そして、財政破綻をするかもしれない。うまくいくということなんてナローパスですよ。そういうことをやっているということを、私は、国民の皆さん方にしっかり示さないで、今さえ、株が高い、いい雰囲気だ、だから内閣支持率も高い。これは、わかったときは大変なことになりますよ。それを申し上げておきたいと思います。
 アベノコストについてお話をします。
 このアベノコストについて申し上げますが、・・・・・・では、今の(配布資料)を先に。
 私が何をもってアベノリスクと言っているかというと、先ほどの異次元の金融緩和というものが今やられているから円安になり、また、企業業績もいい、そしてGPIFも株を買っている、ETFを日銀が買っている、だから経済が好循環のように見えるかもしれないけれども、これは長続きするものじゃないんですよ。それが突然やってくるかもしれない。これは、国債暴落リスク、金利急騰リスク、ハイパーインフレリスク、財政破綻リスク、こういうものを抱えながら、今はよく、いいように見えている。
 コストについて言うと、今から伺いますけれども、実質金利はマイナス、実質賃金、可処分所得が十八カ月、十七カ月マイナス、日銀が付利金利をつけている、国庫納付する分がその分減るというコストがある。そういうものがある。
 では、図九(配布資料)をお願いします。済みません、手元資料ですね、失礼いたしました。名目金利から予想インフレ率を引いたものが実質金利でありますけれども、実質金利はどうなっているかというと、ずっとマイナスですよね。これは、黒田総裁とは財務金融委員会でも議論したことがありますけれども、実質金利がマイナスということはどういうことかということでありますけれども、国の債務は目減りをして、つまりはマイナス金利ですから、そして国民の資産も目減りをしている、こういうことに今なっているということですね。事実関係、イエスかノーかだけで結構です、黒田総裁。

黒田参考人 最近の金融市場を見ますと、確かに、十年国債の金利が〇・四%程度まで低下している一方で、予想物価上昇率も全体として上昇しておりますので、実質金利はマイナスで推移しているというふうに思います。
 ただ、これは、いわば量的・質的金融緩和ということで、投資を刺激し、消費を刺激するという政策に合致したものであるというふうに思っております。(前原委員「質問に答えていない。だから、国の資産が、国の債務が目減りをして……」と呼ぶ)

大島委員長 手を挙げて、もう一回言ってください。(前原委員「いやいや、質問に答えてください。覚えているでしょう」と呼ぶ)

黒田参考人 今申し上げたとおり、量的・質的金融緩和の経済に対する波及メカニズムの重要なものの一つとして、イールドカーブ全体を引き下げ、物価上昇期待を引き上げることによって実質金利を下げる、これが投資、消費を刺激し、経済を浮揚させ、さらに言えば二%の物価安定目標を達成するということでありますので、経過的にいろいろな部門においてさまざまな影響が出るということは常に金融政策であるわけですけれども、基本的に、経済の好循環のもとで物価安定目標を達成するということに向けて、所期の効果を発揮しているというふうに思っております。

前原委員 答えていないんですよ、だらだらと。つまり、実質金利、そんな政策目的はわかりますよ、そうなっているかどうかは別にして。そんなに貸し出しもふえていないし。
 聞いているのは、その政策効果がどうのこうのじゃなくて、実質金利がマイナスということは、結果的に、国民の資産が目減りをして、国の借金も目減りをしているということですねということを聞いているんですよ。イエスかノーかで答えてもらったらいいんですよ。

黒田参考人 先ほどから申し上げておりますとおり、金融政策で金利が上がる、あるいは金利が下がる、金融を引き締めれば金利が上がる、あるいは緩和すれば下がる。その場合に、名目金利ではなくて実質金利が経済活動に一番大きな影響を与えるということはよく知られたことでありまして、現在で、現時点で重要なことは、経済の好循環を実現して、物価を二%に向けて徐々に引き上げていくということであるというふうに思っておりまして、先ほどから申し上げているとおり、その過程で、債権者、債務者について、それだけとったらプラスになるかマイナスになるかということはあり得るんですけれども、あくまでも経済全体の好循環を実現するという目的のために行っているわけでありまして、この点は御理解をいただきたいと思います。

前原委員 答えになっていないよ。これ、ひどいですよ。全体のことを聞いていないでしょう。全体のことを聞いていなくて、実質金利がマイナスだったら、国の借金は減る、目減りをする、国民の金融資産は目減りをする、それはあるのかどうなのかということを聞いているんですよ。それを言わないで、全体がどうのこうのなんて聞いていない。それはひどいでしょう。聞いていることに答えていない。(発言する者あり)いや、ひどいよ。そこの部分についてイエスかノーかを答えてくださいと言っているんですよ。おかしいよ、そんなの
。  誰も金融抑圧を認めろと言っているんじゃないんだ、それは。その部分だけをとってみれば……(発言する者あり)違うよ、その部分だけとれるよ。国民は知らないでしょう、実質金利がずっとマイナスで、ほっといたら自分たちの資産が目減りをしているなんて誰も知らないじゃないですか。そういうことをしっかりと、リスクとして、コストとして言わない。アベノリスクの、アベノミクスの、国債暴落、金利急騰のリスクも言わない。いいことだけを言って国民の関心を持っている。だからおかしいと言っているんだ、私は。
 日銀総裁、今度はまともに答えてください。その部分について聞いているんだ。全体のことについて聞いているんじゃない。

黒田参考人 先ほど来申し上げていますとおり、部分部分をとると、あるいは経過的な部分をとると、金利上昇あるいは金利低下が、さまざまな影響が出るということは認めているわけであります。(前原委員「ちょっと、そんな答弁だったら要らないよ。その部分を聞いているのを、同じ答弁ばかり繰り返して、質問時間を浪費しているじゃないですか」と呼ぶ)

大島委員長 ちょっと静かに。

黒田参考人 あえて申し上げますと、これまでデフレが続いてくる中で、実質金利が高どまりしていたわけです。その際には、逆に言えば、国の実質債務はふえていたわけですね。現時点で、実質金利がマイナスになっているということによって、国の実質的な債務負担が減っているということは事実であります。
 ただ、これは、先ほど来申し上げていますとおり、経済全体として好循環を実現し、物価安定目標を達成するために必要な金融緩和であるということを御理解いただきたいと思います。

前原委員 ですから、要は、全体でうまくいくと言いながら、国民に対してはちゃんと説明していなかったんですよ。国債を買うことによってイールドカーブを下げて、そして、インフレ期待を持たせることによって、名目金利からいわゆるインフレ期待を引いたもの、実質金利はマイナスで、つまりは、国民の金融資産に課税をして、その部分を国の借金の返済に回しているのと同じ仕組みなんですよ、これは。そういうものがあるということについて、全く国民は知らない。
 全体がうまくいっていると言うけれども、さっき申し上げたように、この政策が未来永劫続くかどうかはわからないですよ。どこでこのリスクが出てくるかわからない。そういうことを我々は指摘しているわけでありまして、これはしっかりと経緯を見させてもらいたいというふうに思います。それでは、最後、五、六分になりましたけれども、国の税や社会保障保険料の徴収漏れについてお話をしたいと思います。
 このグラフ(配布資料)を見ていただいたらおわかりでありますけれども、これはそれぞれの政府の機関からお話を伺いました。これはどういう仕組みになっているかといいますと、国税、地方税、徴収決定額が幾らか、そして未収額は幾らか。未収額は次の年度に先送りされるわけでありますが、それがまた収納額として入る場合もあり、未収額として残る場合もある。最終的に、税は五年、そして社会保険料は二年で滞納残額もしくは不納欠損額ということで確定をする、こういうことであります。
 これを見ていただいたらおわかりのように、いわゆる滞納残額というのは、税と年金、そして医療、そして失業保険、労働保険、合わせて六・二兆円、これだけの滞納があって、毎年毎年の不納欠損額というのは大体一兆四千億円ぐらいあるわけですね。そのぐらい、つまりは未収額として残っていっている。一番大きなものは、上の段を見ていただいて、国民年金ですよ。国民年金についてこれだけ未納がある、こういうことであります。
 国民の皆さん方、税と社会保障の保険料は分けなければなりませんけれども、例えば年金というものが取れなかった場合、最終的に生活保護になる方がいるということになると、それは生活保護費として国民の負担に回る可能性がある。つまりは、こういうものがしっかりと取れていないことは、例えば医療もそうです、あるいは失業保険もそうかもしれない、回り回って皆さん方の負担になるということから考えると、これだけの未納、未収がある、しかも憲法の中で納税の義務というのがあるわけであります、そういう意味では、これはやはりしっかりともらうような仕組みをつくらなきゃいけないということであります。
 我が政権のときに、マイナンバー制というものを導入いたしました。このマイナンバー制というものを導入していく中で、どうやって、言ってみれば徴収額を上げていくのかということも大変重要な話でありますし、また、これは資料を皆さん方におつけをしておりますけれども、例えば資料の十五、十六(配布資料)においては、それぞれどういう強制手続の法的根拠があるかということになっています。
 税を見ますと、督促しなければならないという強制性があるわけであります。もちろん社会保障の保険料もあるわけでありますが、国民年金については、督促することができる、こういうことになっておりますし、延滞金を見てみますと、なければならないということに税はなっているんですが、社会保障の方で見ると、督促をしたときということで、かなり緩やかになっている部分があるわけであります。
 さて、時間がありませんので、これは甘利大臣になるんでしょうか、こういう税や社会保障保険料の取りっぱぐれがあって、毎年毎年一兆四千億円ずつ欠損が生まれている。消費税にすると一%の半分ぐらいが、もちろん全部税ではないですけれども、先ほど回り回って国民の負担にかかわってくる可能性があるということを考えると、毎年毎年消費税の一%の半分、〇・五%分ぐらいが欠損金として処理されている。これをどうやって徴収率を上げていくのかということについては、さまざまな取り組みをやっていかなきゃいけない。
 これは、我々も三年三カ月政権与党をさせていただいて、先ほども申したマイナンバー制、これをしっかりと導入する中でその徴収率を上げるとか、さまざまなことを考えられると思うんですが、このいわゆる現実を見た上で、安倍政権としてどういうふうにこの徴収率を上げていったらいいと考えておられるか、このことについて御答弁をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 まず一つ、去年の十二月に国税庁から年金機構に情報が提供されました。これは、本来、社会保険対象の事業所で実態との乖離を埋めていく情報を提供されていまして、この乖離が、確認されているものと、未確認を含めて七十五万事業所ぐらいありますか、これをしっかり埋めていくということになります。
 それから、今御指摘のマイナンバーの活用ということがあります。来年の一月以降マイナンバーの利用ができる。そして、再来年の七月以降、情報提供のネットワークシステムが自治体とつながっていくわけです。そこで、もちろん、個人の情報を取り扱うわけですから、しっかり監視をしながら管理をしていきますけれども、その中で、個人の情報、それから法人にも番号が付されるわけですが、これは活用が自由ですから、それと整合性をとっていって、徴収率をしっかり上げていくということに取り組んでいきます。

前原委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、やはり、払っている人と払わない人、払えない人、この不公平さの中で差が生じるということがあってはいけないし、やはりしっかりと国としてこういうものについては法律の改正も含めて取り組むということが大事だと思います。
 また予算委員会の質疑がありますので、各大臣に、私は、そういったところの具体的な取り組みというものをまたただしていくということを表明しまして、今日の質問は終わります。

(議事速記録より)
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